バスケが最も強い国は?言うまでもなくアメリカだ。では個人として最強のバスケ選手は?
近年、後者の質問はアメリカ人にとって簡単に答えられるものではない。最後にMVPを受賞したアメリカ人は、2018年のジェームズ・ハーデンだ。
二コラ・ヨキッチ(セルビア)、ヤニス・アデトクンポ(ギリシャ)、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(カナダ)といった外国人選手から、MVPトロフィーを取り返す日は来るのか?
ジェイソン・テイタムは、2024-25シーズンにアメリカ人で最も多くのMVP票を集めたが、2025-26シーズンは全休の見込みだ。レブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、ケビン・デュラントらも、依然としてオールNBA級ではあるが全盛期ではない。ジョエル・エンビード(カメルーン生まれで、現在はアメリカ国籍)は怪我がついて回る。
今回は、MVP候補となり得るアメリカ人選手を5人紹介する。
2025-26シーズンにMVP候補になり得るアメリカ人選手

ジェイレン・ブランソン(ニューヨーク・ニックス)
2024-25スタッツ:65試合、26.0得点、2.9リバウンド、7.3アシスト
過去3年間でブランソンほど評価が急上昇した選手はいるだろうか?2018年のドラフト2巡目でダラス・マーベリックスに指名された控えポイントガードだったブランソンだが、今やエースとして名門のニックスを率いている。彼の存在を無視することはできない。
昨季、ポイントガードの得点ランキングではケイド・カニングハムに僅差で次ぐ2位だったが、シュート効率は上回っていた。彼の最大の強みは勝負強さだが、マイク・ブラウン新HCの下では、そうした局面でパスを捌く役割を求められる可能性もある。パスもオプションに含まれれば、ニックスはクラッチタイムで、さらに危険なチームになるだろう。
ブランソンがパス能力を向上させ、アシストランキング上位に食い込めば、投票者にとって大きな加点になる。いずれにせよ、来季のニックスは50勝以上を挙げ、イーストのトップ3を果たすことが濃厚だ。ブランソンが個人スタッツでも数字を残せば、彼を本命候補としてマークすべきだ。
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ケイド・カニングハム(デトロイト・ピストンズ)
2024-25スタッツ:70試合、26.1得点、6.1リバウンド、9.1アシスト
ケイドは次世代のアメリカを代表する存在であり、昨季のMVP投票では7位にランクインした。ケイドのキャリアはようやく軌道に乗り始めた。ピストンズの顔として、彼のあらゆる指標はプラスであり、ピストンズは50勝クラスのチームだ。
ケイドはMVP候補なら誰もが通る段階、つまり「良い選手」から「偉大な選手」へ飛躍する準備が整った段階にある。まさに全盛期を迎えつつあり、闘志と誇りを兼ね備えている。彼とピストンズがシーズン開幕から猛烈なスタートを切れば、MVP候補としての勢いはさらに加速するだろう。オールスターのスターターに選出されるかどうかも、重要なポイントだ。
もちろん、MVPとして真剣に検討されるまでにはあと1~2年かかる可能性もある。投票者たちの「まだ早い」という考え方に、翻弄されるかもしれない。それ以上に、「今が俺の時代だ」と言わんばかりの結果を残す必要がある。

アンソニー・デイビス(ダラス・マーベリックス)
2024-25スタッツ:51試合、24.7得点、11.6リバウンド、3.5アシスト
近年忘れられているが、デイビスはNBAで間違いなく最高の2ウェイプレイヤーであり、アメリカ人選手の中では間違いなくトップだ。複数のポジションを守り、ゴール下を守り、ジャンプシュートを決め、試合を支配する彼の能力に匹敵する選手は、NBAでも一握りだ。
デイビスにとって全ては健康にかかっている。だからこそ、彼のMVP受賞の可能性は、脆いものかもしれない。そもそもデイビスは、MVPやその他アワードの選考対象となる最低出場試合数(65試合)に達することができるのか? 2018年以降、65試合以上に出場したのはたった一度だけだ。
ダラスでの初のフルシーズンとなる2025-26シーズンは、デイビスにとって名誉挽回の機会となるだろう。彼はまだ全盛期にあること、チームを牽引できること、カイリー・アービング復帰までマブスを高い競争力に保てること、そして健康を維持できることを証明する必要がある。これら全てを達成すれば、MVP投票は自然とついてくるだろう。
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アンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
2024-25スタッツ:79試合、27.6得点、5.7リバウンド、4.5アシスト
エドワーズは多才なスキルをもち、それと同時に計り知れない意欲を持っている。エドワーズは貪欲であり、それを実現させるためも実力も備えている。2024-25シーズン、平均27.6得点(リーグ4位)を記録し、3Pシュートも向上し、成功数も増えた。さらに平均5.7リバウンド、4.5アシストを記録している。
2025-26シーズン、これらの数字をさらに伸ばす可能性もある。エドワーズが得点でトップ5を維持すれば注目を浴び、シーズンの大半または全期間を通じてリーグ得点王を争う立場になれば、有力なMVP候補になる。
しかし、ウルブズは強豪ひしめくウェストで60勝を挙げ、オクラホマシティ・サンダーと第1シードを争うチームにならなければならない。このチーム目標こそが、エドワーズにとって最大の挑戦となる。
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ドノバン・ミッチェル(クリーブランド・キャバリアーズ)
2024-25スタッツ:65試合、26.0得点、2.9リバウンド、7.3アシスト
特に第4クォーター終盤での試合を支配する能力、そしてチーム成績がミッチェルの追い風になる。昨シーズン、アメリカ人選手の中ではテイタムに次いで多くのMVP票を集めた。
キャバリアーズは64勝を挙げイーストの第1シードを獲得した。ボストン・セルティックス(61勝)はテイタムの怪我に加え、オフシーズンの主力選手の退団(ドリュー・ホリデー、クリスタプス・ポルジンギス)で戦力が低下する可能性が高く、キャバリアーズが再びイーストを制する確率が高い。上位チームの最優秀選手がMVP最有力候補となるのが通例だ。
あとは、ミッチェルが個人パフォーマンスで数字を残すことが求められる。MVP投票上位に入る選手は、必ずどこかの分野でトップクラスの数字を残している。ミッチェルは少なくとも、得点ランキングでトップ5入りする必要がある。
原文:5 American players with the best shot at winning Kia MVP in 2025-26
抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)