ダニエル・レヴィ会長はなぜトッテナムを去ったのか? 退任の理由とスパーズに残した功績とは?

Joe Wright

小鷹理人 Masato Odaka

ダニエル・レヴィ会長はなぜトッテナムを去ったのか? 退任の理由とスパーズに残した功績とは? image

2025年9月2日、プレミアリーグのトッテナムは、長年クラブ会長を務めてきたダニエル・レヴィ氏の退任を突然発表し、サッカー界に衝撃を与えた。

クラブは声明でこのニュースを正式に認め、退任する会長に敬意を表すとともに、ノースロンドンで「長期的なスポーツの成功」を実現するための人事面での変化に触れた。

2001年にスパーズの会長に就任し、クラブの親会社と関わりを持つレヴィ元会長は、トッテナムをプレミアリーグのいわゆる 「ビッグ6」 の一角に押し上げ、財政的にも強化しながらタイトルを争う存在へと導いた人物である。さらに、彼は新たな本拠地であるトッテナム・ホットスパー・スタジアムの建設を主導し、2025年8月には「おそらくクラブでの最大の成果」と語っていた。

本記事では、レヴィ退任の理由、彼の純資産、そしてスパーズに残した遺産について整理する。

レヴィはなぜ退任したのか?

レヴィ本人もスパーズも、今回の退任について具体的な理由は明かしていない。単に、双方にとって区切りの良いタイミングと判断した可能性もある。

63歳となったレヴィに対して、サポーターからの不満はシーズンごとに浮き沈みがあった。特に、一部のファンは「ライバルクラブほど補強に資金を投じない」と批判してきた。しかし、9月4日の声明でクラブが強調したのは、「スポーツ面と商業面の力は今が史上最高の水準にある」 というものであった。

声明では次のように述べられている。

「過去四半世紀でトッテナム・ホットスパーは大きく変貌を遂げた。過去20シーズンのうち18シーズンで欧州カップ戦に出場し、世界で最も認知度の高いクラブの一つとなった。アカデミーや選手、施設への継続的な投資を行い、ワールドクラスのスタジアムや最先端のトレーニングセンターも整備した。直近のヨーロッパリーグ優勝を含め、数多くの素晴らしい成果を残してきた」

レヴィ自身も次のように語った。

「経営陣や従業員と共に築いてきた成果を非常に誇りに思う。クラブを世界トップレベルで戦える存在へと押し上げ、さらに地域コミュニティとも強固な絆を築いた。リリーホワイト・ハウス(クラブオフィス)やホットスパー・ウェイのスタッフ、そして選手や監督たちと共に働けたことは幸運だった」

レヴィ時代のタイトルは?

レヴィが会長を務めた25年間で、トッテナムが獲得した主要タイトルは2つである。

  • 2008年のリーグカップ(EFLカップ)優勝: チェルシーをウェンブリーで2-1で下した。
  • 2025年のヨーロッパリーグ優勝: 決勝でマンチェスター・ユナイテッドを撃破。
Ange Postecoglou

この間にスパーズは計7度の決勝に進出し、2019年にはクラブ史上初のチャンピオンズリーグ決勝(対リバプール)にも到達した。また、2016-17シーズンにはプレミアリーグで2位に入り、アントニオ・コンテ率いるチェルシーに次ぐ成績を残した。

ダニエル・レヴィの純資産は?

レヴィの純資産は投資に大きく依存しているため正確には不明だが、サンデー・タイムズ長者番付2025によれば、およそ6億5,000万ポンド(1ポンド=190円、約1300億円)とされ、英国の富豪トップ250に名を連ねている。

トッテナムのオーナーは?

トッテナムの大株主はENIC Sportsで、クラブ株式の86.91%を保有している。
その親会社ENICグループは、英国実業家ジョー・ルイスが所有しており、純資産は50億ポンド(約6.7兆円)以上とされる。彼の財産の大半は投資会社タヴィストック・グループを通じて築かれたものである。

レヴィと家族はENIC株式の一部(約3割)に関わりはあるものの、直接クラブを所有しているわけではない。あくまで少数株主にとどまっており、トッテナムのオーナーではない。

原文:Why did Daniel Levy leave Tottenham? Spurs statement, ownership, net worth and more to know as chairman steps down
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)

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