2025年夏の欧州移籍市場が9月1日に閉幕した。毎年恒例の移籍市場は例年通り大きな盛り上がりを見せたが、今夏はクラブワールドカップの影響もあり、より活発な動きが目立った。大会に出場したクラブには選手補強の猶予が与えられ、チェルシーはその制度を活用して大会中にジョアン・ペドロを獲得。新加入のストライカーは準決勝・決勝の両試合でゴールを挙げ、早速結果を残した。
今季の移籍市場最終日には、アレクサンダー・イサク(ニューカッスル→リバプール)やイルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ→ガラタサライ)といったビッグネームの移籍も決定。各クラブが来季の戦力補強や財政戦略を巡って駆け引きを繰り広げ、最後まで目が離せない夏となった。
本記事では、今夏の移籍市場で最も積極的な補強を行ったクラブや、選手売却で大きな収益を上げたクラブをランキング形式で紹介する。
今夏最も多額の移籍金を費やしたクラブ
総支出ランキング
2025年夏の移籍市場で最も積極的に投資を行ったのはリバプールだった。クラブはフロリアン・ヴィルツやアレクサンダー・イサクらのビッグネームを立て続けに獲得し、プレミアリーグの移籍金記録を2度更新。さらにウーゴ・エキティケ、ミロシュ・ケルケズ、ジェレミー・フリンポン、ジョバンニ・レオーニ将来有望なタレントを加え、攻守両面で大幅な補強に成功した。
その背中を追うのは、今年7月に世界王者に輝いたチェルシーだ。ジョアン・ペドロやジェイミー・ギッテンスら多くの即戦力の獲得を進め、締め切り間際にはマンチェスター・ユナイテッドからアレハンドロ・ガルナチョとの契約も完了した。総支出は3億ユーロを突破し、世界王者の名にふさわしい積極補強を見せている。
アーセナルはヴィクトル・ギェケレシュ、マルティン・スビメンディ、エベレチ・エゼを次々と獲得し、今季は悲願のタイトル獲得へ向けて勝負に出た。
ニューカッスルも移籍市場終盤でニック・ヴォルテマーデやヨアネ・ウィサを迎え入れ、前線の厚みを増強。さらにマンチェスター・ユナイテッドはベンヤミン・シェシュコ、ブライアン・エンベウモ、マテウス・クーニャを加え、攻撃陣の迫力を一気に高めた。
順位 | クラブ | 支出 | 最大の補強選手 |
1. | リバプール(英) | €483.7m(約836億円) | アレクサンダー・イサク (€144.0m) |
2. | チェルシー(英) | €328.2m(約567億円) | ジョアン・ペドロ (€63.7m) |
3. | アーセナル(英) | €293.5m(約507億円) | ヴィクトル・ギェケレシュ (€70.0m) |
4. | ニューカッスル(英) | €288.9m(約499億円) | ニック・ヴォルテマーデ (€85.0m) |
5. | マンチェスター・ユナイテッド(英) | €250.7m(約433億円) | ベンヤミン・シェシュコ (€76.5m) |
※移籍情報は Transfermarkt.comより引用。(2025年9月2日現在)
純支出ランキング
総支出額でトップとなったリバプールだが、今夏は選手売却で多額の資金を回収したため、純支出ランキングでは2位にとどまった。ルイス・ディアスのバイエルン移籍や、ジャレル・クアンサのレバークーゼン移籍が大きく影響している。
一方、純支出で首位となったのはアーセナルで、大型補強を行ったにもかかわらず売却益はわずか1,000万ユーロ(約17億円)にとどまった。
3位にはトッテナムが入り、エゼ獲得こそ逃したものの積極補強を実施。マンチェスター・ユナイテッドもベンヤミン・シェシュコらを加えたが、移籍市場最終日に売却を進めたことで支出を一定程度抑えている。
レアル・マドリードはディーン・ハイセンやトレント・アレクサンダー=アーノルドらを獲得し、クラブワールドカップでも早速活躍が見られたが、スター選手の売却は実現せず。ルカ・モドリッチのACミラン移籍も移籍金なしで行われたため、収入にはつながらなかった。
順位 | クラブ | 支出 | 収入 | 純支出 | 最大の補強選手 | 最大の売却選手 |
1. | アーセナル(英) | €293.5m | €10.3m | €283.2m(約489億円) | ヴィクトル・ギェケレシュ (€65.8m) | ヌーノ・タバレス (€5m) |
2. | リバプール(英) | €483.7m | €219.5m | €264.2m(約456億円) | アレクサンダー・イサク(€144m) | ルイス・ディアス (€70m) |
3. | トッテナム(英) | €210.6m | €35.5m | €175.1m(約302億円) | シャビ・シモンズ (€65m) | ソン・フンミン(€22m) |
4. | レアル・マドリード(西) | €167.5m | €2m | €165.5m(約286億円) | ディーン・ハイセン (€62.5m) | アルバロ・ロドリゲス (€2m) |
5. | マンチェスターユナイテッド(英) | €229.7m | €74.2m | €155.5m(約268億円) | ベンヤミン・シェシュコ (€76.5m) | アレハンドロ・ガルナチョ (€46.2m) |
※移籍情報は Transfermarkt.comより引用。(2025年9月2日現在)
今夏最も多額の移籍金を得たクラブは?
総収入ランキング
今夏の移籍市場で最も多額の収入を得たのはチェルシーだった。クラブは史上初めて3億ユーロ(約518億円)を突破し、プレミアリーグの新記録を樹立。イングランド代表ノニ・マドゥエケのアーセナル移籍をはじめ、多くの主力選手を売却した結果だ。
一方で、純収入でトップとなったのはフランスのASモナコだ。移籍市場最終日にブリール・エンボロやエリース・ベン・セギルらを放出し、大幅な黒字を計上した。
ボーンマスもディーン・ハイセンやミロシュ・ケルケズ、イリア・ザバルニーの売却により、純収入で2位にランクイン。OGCニースやブライトンも堅実なビジネスで黒字を確保したが、その代償がピッチ上でどう影響するか注目される。
Rank | Club | 収入 | 最大の売却選手 |
1. | チェルシー(英) | €332.3m(約574億円) | ノニ・マドゥエケ (€56m) |
2. | ボーンマス(英) | €238.4m(約412億円) | イリア・ザバルニー(€63m) |
3. | バイヤー・レバークーゼン(独) | €229.5m(約396億円) | フロリアン・ヴィルツ (€125m) |
4. | リバプール(英) | €219.5m(約379億円) | ルイス・ディアス (€70m) |
5. | ニューカッスル(英) | €175.0m(約302億円) | アレクサンダー・イサク (€144m) |
純収入ランキング
順位 | クラブ | 支出 | 収入 | 純収入 | 最大の補強選手 | 最大の売却選手 |
1. | ASモナコ(仏) | €13m | €116.6m | €103.6m(約179億円) | スタニス・イドゥンボ (€10m) | エリース・ベン・セギル(€32m) |
2. | ボーンマス(英) | €138.1m | €238.4 | €100.3m(約173億円) | バフォデ・ディアキテ (€35m) | イリア・ザバルニー(€63m) |
3. | シュトゥットガルト(独) | €49.0m | €125.7m | €76.7m(約132億円) | バドレディン・ブアナニ(€15m) | ニック・ヴォルテマーデ (€85m) |
4. | ブライトン(英) | €80.0m | €155.0m | €75.0m(約129億円) | チャラランポス・コストゥラス (€35m) | ジョアン・ペドロ (€63.7m) |
5. | ニース(仏) | €33.7m | €107.8m | €74.1m(約128億円) | イサク・ヤンソン (€10m) | ジャン=クレール・トディボ (€40m) |
※移籍情報は Transfermarkt.comより引用。(2025年9月2日現在)
原文:Which club has spent most money in the transfer window? Updated figures for 2025 after Isak closes out summer
翻訳:小山亮(スポーティングニュース日本版)
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