シカゴ・カブスは北米プロスポーツにおいて、最も豊かな歴史を持つチームの一つだ。その歴史には伝統が伴う。
リグレー・フィールドを彩るツタからピンストライプのホームユニフォームまで、カブスには数多くの伝統がある。その一つは21世紀に入って大きな現象となった。注目を集めたのは近年とはいえ、その起源ははるか昔にさかのぼる。
スポーツの目的は試合に勝つことであり、カブスの最も有名な伝統の一つはそれを体現するものだ。単純な方法が効果を発揮することが多いように、カブスは勝利を収めた時、リグレー・フィールドに「W」フラッグを掲げる。
「W」フラッグを掲げること自体はシンプルな行為だが、そこにはそれ以上の意味が込められている。ここではカブスの「W」フラッグの意味、この伝統がチーム史上最も輝かしい瞬間の一つと永遠に結びつくに至った経緯を紹介する。
「W」フラッグの意味
「W」フラッグは、カブスが試合に勝ったことを示す。
これはリグレー・フィールドの伝統となっている。勝利後、スタジアムのスコアボード上部に「W」フラッグが掲げられ、通行人も試合結果を知ることができる。ダブルヘッダーで2勝を挙げた場合はフラッグが二枚掲げられる。

「W」フラッグのセレブレーションを始めたのは誰?
スコアボードの操作員がチームと連携してこのセレブレーションを開始した。1946年の試合プログラムにはこの旗の仕組みと意味が解説されている。
「W」フラッグが伝統となったのはいつ?
具体的な日付は不明だが、野球殿堂博物館によれば1930年代に始まったと考えられている。
1930年代にチームが新たな観覧席、手動式スコアボード、そして特徴的なツタを整備した後、「W」フラッグは定番の象徴となった。リグレー・フィールドで初めてこの旗が掲げられた正確な日付は不明だ。1937年から1938年にかけて球場には多くの変更が加えられため、新たなフラッグについては言及すらされなかったようだ。
「W」フラッグはどんなもの?

「W」フラッグは、白地に青で「W」と書かれたものだ。
負けた時には「L」フラッグがある?

カブスの敗戦を示すフラッグもある。負けた時に掲げられるフラッグは、青地に白で「L」が記されている。
カブスがダブルヘッダーを1勝1敗で終えると、「W」と「L」のフラッグがそれぞれ掲げられる。
カブスのライバルチームのファンはこの「L」旗を好んで掲げ、ライバル意識を煽ってきた。2019年にはミルウォーキーのセントラル蒸留所が『Lフラッグ・バーボン』を再発売した。そのラベルはカブスの敗戦を示す旗を模したものだ。
「W」フラッグが人気となった理由は?

勝利の「W」を掲げることは、瞬く間に勝利と成功の代名詞となる伝統となった。2016年にカブスがワールドシリーズ制覇へ歴史的な快進撃を遂げると、このクションに新たな命が吹き込まれ、カブス・ファンの結束の象徴となった。
2016年ワールドシリーズ第7戦の終了後にリグレー・フィールド外に掲げられた「W」フラッグは優勝を記念する初のフラッグとなった。
「W」フラッグの歴史
「W」フラッグの歴史は、リグレー家がカリフォルニアのカタリナ島を買収したことに遡る。買収にはウィルミントン運輸会社も含まれており、同社の船がファンや選手をチームのスプリングトレーニングが行われるカタリナ島へ運んだ。
その船は青地に白く「W」と描かれたフラッグが掲げられた。
1930年代に入って、この「W」フラッグがリグレー・フィールドの伝説の象徴となった。スコアボード係がカブスの勝利時には「W」フラッグを、敗戦時には「L」フラッグを掲げたためだ。これにより、試合を観戦しなかった近隣住民も簡単に試合結果を知ることができた。
当初はフラッグの配色は逆だった。勝利時には青地に白の「W」、敗北時には白地に青の「L」のフラッグが使われていたが、1980年代に現在の配色に変更された。白地に青の「W」フラッグは、背番号を青で刺繍したチームのレジェンドたちを称えるフラッグとマッチするためだ。
この伝統は瞬く間に定着し、数十年にわたりトレードマークとして受け継がれている。
SNS上の「W」フラッグ
「W」フラッグの伝統に絡めて、カブスは「Fly the W!」 というフレーズを少なくとも2015年シーズンからソーシャルメディア上で勝利を示すものとして使ってきた。この言葉にはソーシャルメディア特有の要素も伴っている。
「W」フラッグのgif
非常にシンプルだが、カブスは勝利後に「W」フラッグのアニメーションをSNS上に共有する。
CUBS SWEEP!
— Chicago Cubs (@Cubs) September 28, 2025
Final: #Cubs 2, Cardinals 0. pic.twitter.com/BTZOE1I8Jb
「W」フラッグのハッシュタグ
「#FlyTheW」というハッシュタグは、X(旧Twitter)で使われることが多い。伝統に従い、このハッシュタグは通常、カブスの勝利後に使用される。
このハッシュタグには「W」フラッグのグラフィックも伴う。
THE MOMENT. #FlyTheW pic.twitter.com/M5hRqecb6A
— Chicago Cubs (@Cubs) October 3, 2025
原文:Why do the Cubs fly the W? Explaining the meaning and history behind Chicago's victory celebration
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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