■雪辱を期す秋場所がいよいよスタート
大相撲秋場所(東京・両国国技館)は本日9月14日に初日を迎える。ここから始まる15日間の戦いに、並々ならぬ気合を入れているのが東横綱・大の里だろう。
大の里は2025年3月の春場所は12勝3敗、同年5月の夏場所は14勝1敗でそれぞれ優勝を果たし、同場所後に第75代横綱へと昇進した。ただ、7月の名古屋場所では、新横綱としては昭和以降ワーストとなる4個の金星を配給。優勝争いには今一つ絡めないまま11勝4敗で場所を終えた。
悔しさを味わった先場所から約2か月、昇進2場所目であり、横綱としては初めて国技館で行われる秋場所を迎える大の里。初めて東横綱を務めることも相まって緊張感を漂わせているというが、過去の先輩横綱たちは昇進2場所目は期待に応えたケースが多い。
■半数近くは賜杯をゲット
角界では平成以降、大の里より前に12名の横綱が誕生している。その12名の昇進2場所目の結果は以下の通りだ。
旭富士 12勝3敗(1990九州)
曙 13勝2敗(1993夏)
貴乃花 13勝2敗(1995春)
若乃花 12勝3敗(1998秋)
武蔵丸 12勝3敗(1999秋、優勝)
朝青龍 13勝2敗(2003夏、優勝)
白鵬 13勝2敗(2007秋、優勝)
日馬富士 15勝0敗(2013初、優勝)
鶴竜 11勝4敗(2014名)
稀勢の里 6勝5敗4休(2017夏)
照ノ富士 15勝0敗(2021九州、優勝)
豊昇龍 12勝3敗(2025夏)
12名中11名は2ケタ以上の数字をマークしている上、その内5名は優勝を記録している。あくまで単純計算ではあるが、これを元にすると秋場所の大の里は2ケタ以上の確率が約92%、優勝確率は約42%ということになる。なお、唯一負け越している稀勢の里は前場所に負った怪我が尾を引いた結果であり、万全の状態なら好成績を残せていた可能性が高い。
横綱に昇進した力士は次場所までに、昇進伝達式をはじめとした様々なイベントに対応する必要がある。加えて、場所が始まれば7キロほどの重さがある綱をつけての横綱土俵入りを毎日行わなければならない。コンディション調整が難しいこともあり昇進1場所目は苦戦するケースも少なくないが、さすが横綱というべきか、2場所目はきっちりアジャストしてきているようだ。
■先輩横綱たちに続けるかは悪癖次第か
もちろん、過去に好事例が多いからといって、秋場所の大の里もこれに続けるとは限らない。過去の先輩横綱たちと同じ道を歩むために必要なことは様々だが、一番は名古屋場所で度々露呈した引き癖の改善だろう。
同場所の稀勢の里は3連勝で迎えた4日目の王鵬戦で、立ち合い押し込み土俵際へ追い込んだまでは良かったが、そこから後方に引いてしまい敗戦を喫した。すると、翌日以降も8日目・伯桜鵬戦、12日目・一山本戦などで安易に引くような相撲が頻発。一山本戦は最初の一番、取り直しの一番のどちらも引きを見せており、この日NHK大相撲中継で解説を務めた舞の海秀平氏(元小結)も「深刻な病」と懸念を示していた。
場所後の大の里は8月末まで約1か月行われた夏巡業を完走しており、その後も所属部屋での稽古や出稽古などを精力的にこなしている。当然、この間には悪癖の修正にも相応の時間を割いたことは想像に難くないが、それがどこまで実を結ぶかが秋場所の結果を左右するのではないだろうか。
大の里は本日の初日は、先場所千秋楽まで優勝を争い11勝を挙げた小結・安青錦と対戦する。先場所対戦では立ち合い突き起こすとすぐに右のど輪で押し込み、取組時間わずか2秒ほどの完勝を収めているが、横綱としての初優勝へ向け勢いをつけるような相撲を見せることはできるだろうか。
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