大関返り咲き後退の霧島、秋場所で大勝ちする可能性アリ!? 直近1年で頻発する幸運のジンクスは

柴田雅人 Masato Shibata

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時事

■大関返り咲きへの道は険しいが…

2025年名古屋場所で関脇を務めた霧島は、2023年名古屋場所~2024年夏場所にかけ大関に在位した経験を持つ。「三役で直近3場所33勝以上」という昇進目安は11勝(小結)、12勝(関脇、優勝)、11勝(関脇)と十分な成績でクリアし、昇進3場所目の2023年九州場所では13勝2敗で自身2度目の優勝も果たしたが、故障の影響もあり短命に終わった。

陥落から約1年後の2025年夏場所、霧島は関脇として11勝をマークし、大関返り咲きへの扉に手をかけたかと思われた。しかし、次の名古屋場所は8勝にとどまった上、千秋楽では同じく大関とりの足固めを狙う関脇・若隆景に敗戦。同場所10勝、2場所計22勝とした若隆景は秋場所が大関とりの場所と位置付けられた一方、霧島はほぼ白紙に戻ったと言っても過言ではない状況になった。

加えて、名古屋場所後に行われている夏巡業では手首を痛め、検査のために帰京したことが複数メディアから報じられている。一見すると、再起を図る秋場所への流れは良くないように見えるが、下馬評を覆して大勝ちする前兆である可能性もあるかもしれない。

■巡業の故障離脱は幸運のジンクス?

大相撲の世界では例年、春(春場所後の3~4月)、夏(名古屋場所後の8月)、秋(秋場所後の10月)、冬(九州場所後の12月)の4回にわたり地方巡業が行われている。幕内力士は怪我などの事情が無い限りは参加が義務となっているが、霧島は2024年の冬巡業は右手首痛で初日から休場、2025年の春巡業は背中の肉離れにより途中離脱しており、今回の秋巡業も含めると3回連続で故障に泣かされている。

力士にとって巡業は地方のファン層を拡大する場であると同時に、次場所へ向けて心身の状態を上げていく大事な期間だ。故障により満足に稽古を積めないとなると、次場所で本来の力を出せなかったり、焦って調整を行うことでまた怪我をしたりといったリスクも少なくない。

ただ、霧島は冬巡業明けの2025年初場所は11勝を挙げ敢闘賞、春巡業明けの2025年夏場所も11勝で技能賞受賞とどちらも好成績をマーク。この流れが続くと仮定すると、故障離脱した夏巡業を経て迎える9月の秋場所も11勝+三賞を記録する計算になる。実現すれば、大関とりの機運が再び盛り上がり始めることも濃厚だろう。

■アクシデントがありながら好成績を残せるワケは

霧島は2015年夏場所で初土俵を踏んだが、体重約70キロとほぼ一般人レベルのところから、熱心な稽古で身体や技術を磨き上げ大関まで辿り着いた力士だ。ただ、稽古熱心な性格が仇となり、過去にはオーバーワーク気味になったこともあるという。となると、巡業で故障しながらも好成績が出せているのは、故障により稽古量が抑えられる、コンディション調整に割く時間が増えることなどにより、逆に身体の仕上がりが良くなっている面があるからなのかもしれない。

また、本人はあまり表立って口にしてはいないが、大関復帰への思いが原動力になっていることも確かだろう。前回の在位期間は故障により本来のパフォーマンスが出せなかった部分が大きいため、万全の状態で大関としての相撲を見たいという期待はファンの間では根強いが、本人も内心ではリベンジに闘志を燃やしていることは想像に難くない。

巡業を一時離脱した霧島は、巡業終盤の8月下旬に再合流する見込みとされている。直近2回の巡業と同じように、思わぬアクシデントをポジティブな結果につなげることはできるのか。その答えが分かる秋場所は、9月14日に初日を迎える予定となっている。

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柴田雅人 Masato Shibata

スポーティングニュース日本版スポーツコンテンツライター。福岡県出身。幼少期から相撲、野球、サッカーを中心に幅広くスポーツを観戦。大学卒業後からライター活動を開始し、主にスポーツ記事の企画立案、取材、執筆などに携わる。現在もスポーツ観戦が一番の趣味で、複数競技を同時に視聴することもしばしば。