■名古屋場所のリベンジへ気合十分だが…
7月に行われた大相撲名古屋場所は、横綱・豊昇龍にとっては失望の場所に終わった。初日は小結・高安に勝利したが、2日目からまさかの3連敗を喫すると、左足親指の故障を理由に5日目から休場。1勝4敗10休と、自身ワーストとなる勝利数に終わった。場所後には横綱審議委員会(横審)から、金星を4つ献上した横綱・大の里も込みで「ファンの期待に応えられなかった結果を生んだことは残念至極だった」と厳しい評価を受けた。
本人も相当な危機感を抱いているのか、7日から合流している夏巡業では幕内力士と精力的に相撲をとっている。本日16日に北海道・旭川市で行われる巡業では、同巡業が昨年亡くなった元横綱・北の富士勝昭さんをたたえる「北の富士追悼巡業」として実施されること、日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)も視察に訪れることなどから、大の里と横綱同士の三番稽古を行う予定だという。
左足親指の故障はまだ完全には治っていないというが、豊昇龍は意に介さずに秋場所へ向けた調整に汗を流している。逆襲を期す思いが実を結べば万々歳だが、過去の結果を踏まえると、来場所後も横審に苦言を呈される可能性もゼロではない。
■秋場所は全6場所で唯一2ケタ勝利もナシ
豊昇龍は2020年秋場所で新入幕を果たすと、2025年名古屋場所まで幕内に30場所在位している。この間、秋場所では5回中4回(2020,2022-2024)勝ち越しを記録しているが、いずれの場所も白星は8勝止まり。優勝はおろか、2ケタ勝利すら達成したことが無いという状況になっている。
また、唯一負け越した2021年秋は勝ち越しなら新三役が見えてくる重要な場所だったが、2日目から3連敗を喫すると、急性扁桃炎を理由に5日目から休場。その後、中日から再出場するも前半の不振は取り返せず、5勝8敗2休と散々な成績に終わっている。
その他の場所では2ケタ勝利を複数回記録し、初場所(2025)と名古屋場所(2023)では優勝経験もある豊昇龍。それだけに、秋場所は明確に“鬼門”といえる場所になっている。同場所は名古屋場所と同様に猛暑の中行われること、場所前の夏巡業で疲労が蓄積することなどからピーキングが難しいとされているが、豊昇龍が同場所を苦手にしているのもこうした要素が絡んでいるのかもしれない。
■鬼門克服を左右するポイントは
ただ、相性の悪さを克服できないようなら、場所後に横審から再びやり玉に挙げられることは不可避といえる。そのため、今年に関しては何としても好成績を挙げ、これまでの悪い流れを払しょくしておきたい。
鬼門克服を左右するポイントとしては、とにもかくにも不安を抱える左足親指のケアが挙げられる。大相撲の力士にとって足の親指は、立ち合いの踏み込みや土俵際で耐える動きなどに大きくかかわる生命線ともいえる箇所。故障をきっかけに成績や番付が大きく下落したケースも少なからず存在するだけに、日々の状態には細心の注意を払う必要があるだろう。
また、豊昇龍は過去5回の秋場所全てで、中日までに4敗以上を喫している。前半戦の不安定さが最終成績に響いていることは明白なため、この期間をどのようにして上手く乗り切るかもカギとなるだろう。横綱として優勝争いに絡むことを考えると、どんなに悪くても黒星は2敗までにとどめたいところだ。
今年は初場所から12勝(優勝)、5勝、12勝、1勝と、好不調が交互にきている豊昇龍。周期を考えると今場所は好調の場所になるとも言えそうだが、新入幕場所から続く相性の悪さを覆し、横綱として力を見せつけることができるだろうか。
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