イス席が1枚1万円以上の値段に!? 相撲協会の呼びかけを“ガン無視”、秋場所チケットの転売行為に不満相次ぐ

柴田雅人 Masato Shibata

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■久しぶりにブームが起きつつある裏で…

大相撲では過去に何度か、日本中を巻き込むような熱狂的なブームが起こっている。中でも、1990年代初頭に起きた若花田(後の横綱・若乃花)、貴花田(後の横綱・貴乃花)を中心とした「若貴ブーム」は史上空前の盛り上がりだったと今でも語り継がれている。

時は移り2024年。その若貴ブームの真っただ中にあった1996年以来、実に28年ぶりに年6場所・全90日間の入場券が完売したことが大きな話題となった。2025年も人気の勢いは健在で、9月14~28日にかけ開催予定の秋場所も、一般販売が始まった8月9日時点で既に全日程・全席種のチケットが完売している。

ただ、各チケットが全て相撲ファンに行き渡っているかというと少々怪しい部分があるようだ。日本相撲協会は8月8日、公式X(旧Twitter)に「前売券販売開始!販売開始:8月9日(土)10:00〜 『チケット大相撲』『チケットぴあ』『セブン-イレブン』にてお求めいただけます。※チケット流通センターやチケジャムなど、チケット転売サイトでの購入・販売は禁止されています」と投稿しているが、引用リポストを見ると「いっぱい転売されてます」、「転売行為を規制してください」、「購入と販売が禁止なら出てるチケット全部取り締まって」といった不満の声が複数挙がっている。

■ほとんどの席種が2倍以上の値段に

引用リポストでの指摘通り、前出の2サイトでは秋場所の観戦チケットが少なからず出品されている。8月10日午前0時時点では、チケット流通センターで全124件(取引中含む)、チケジャムでは全78件の出品がそれぞれ確認できた。

チケット流通センターで取引中のチケットの一例を挙げると、初日の2階イスB席が2枚連番で22000円。取引方法の記入欄には「重複当選の為、出品致します」などともっともらしいことが書かれているが、同席種の正規料金は1人当たり土日祝5500円、平日5000円であること、チケット流通センターは相撲協会が指定する正規のリセールサイトではないことを考えると、転売目的の出品と見てまず間違いはないだろう。

チケジャムの方でも、イス席を中心に2倍前後の値段が設定されたチケットが多数出品されている。純粋に本場所を観に行きたいと考えている相撲ファンがため息をつくのも当然といえるのではないか。

■相撲協会の厳格な対応に期待

日本相撲協会は公式サイト上に「日本相撲協会では『相撲競技観戦契約約款』において、営利を目的としたチケットの転売を禁止しております。また『大相撲公式ファンクラブ利用規約』でも同様に禁止しております。しかしながら、以前よりチケット転売仲介サイトやフリマアプリでは大相撲のチケットが取引される事案が見受けられております。現在関係各所と連携し、出品されているチケットや取引が完了したチケットも含め、入場拒否対応を進めております。転売されたチケットでご来場いただいても入場できない可能性があります。予めご承知おきください。また転売が確認された場合、ファンクラブ会員資格の停止や、チケット大相撲アカウントの停止などの手段をとらせていただく場合がございます」とはっきり記している。

また、今年3月にはチケットを転売していた公式ファンクラブ会員を複数特定し、強制退会処分にしたことも公式サイト等で公表している。秋場所のチケット転売についても時間はかかるだろうが、出品者を特定して厳しい処分を下す必要があるといえるだろう。

転売行為によってファンの観戦機会が奪われつづけると、せっかく本格化しつつあるブームが一気にしぼんでしまうリスクもある。相撲協会は今後の大相撲人気を左右しかねない問題であると、危機感を持って適切に対応することが求められている。

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柴田雅人 Masato Shibata

スポーティングニュース日本版スポーツコンテンツライター。福岡県出身。幼少期から相撲、野球、サッカーを中心に幅広くスポーツを観戦。大学卒業後からライター活動を開始し、主にスポーツ記事の企画立案、取材、執筆などに携わる。現在もスポーツ観戦が一番の趣味で、複数競技を同時に視聴することもしばしば。