カンファレンス・ファイナルに残った4チームは、NBAが新しい時代に入ったことの象徴だ。ペイサーズとウルブズは優勝経験なし。ニックスが最後に優勝したのは1973年。そしてサンダーは、彼らがまだシアトル・スーパーソニックスだった1979年以来優勝していない。
群雄割拠の時代へようこそ!王朝はスカイフックのように消え去り、過去7年間は連覇がなく、それぞれ新しい王者が誕生している。
残った4チーム全てに優勝する力はある。それぞれ不利な状況でも勝てることを証明してきたのだから、誰が最後に栄誉を掴んでもおかしくない。ラリー・オブライエン・トロフィーを掲げる可能性の高いチームを上から順にランキングしてみた。
カンファレンス決勝を戦う4チームで優勝する可能性が高いのは?

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1位:オクラホマシティ・サンダー
優勝できる理由
我々はプレーオフ第2ラウンドですでにNBAファイナルを見たのかもしれない。ナゲッツとサンダーのシリーズはそれほどにレベルが高かった。
ニコラ・ヨキッチはプレーオフの大半を通じてNBA最高の選手だった。サンダーはヨキッチに対して、予想し得ない答えを見つけた。196センチ、84キロのアレックス・カルーソは、ヨキッチとマッチアップするという最もタフな仕事を引き受けた。彼とアイザイア・ハーテンシュタインは、挫折した昨年のサンダーとの違いを生み出してきた。彼らは相手の心を折るようなサンダーのディフェンスを率いている。
シャイ・ギルジャス・アレクサンダーはオフェンス面で十分な働きを見せ、プレイオフに残っている全選手の中で平均29.0得点でトップ。しかし、サンダーは彼のワンマンチームではない。選手層が厚いため、さまざまなタイプのラインナップを組むことができ、先述のヨキッチへのディフェンスのように、相手がどのような戦略を試みても対応できる。彼らはレギュラーシーズンの強豪であり、プレイオフでもそれがまぐれではないことを証明したのだ。
優勝できない理由
ここまで勝ち進んできたチームは、大きな怪我を避けてきた。サンダーが最も健康的なチームのひとつであるのは、選手たちの出場時間を抑えているためでもある。ただこれからは、特定の選手の出場時間が増えることもあるだろう。カルーソのような怪我をしやすい選手もいる。
サンダーのオフェンスにも疑問符がつく。第7戦ではジェイレン・ウィリアムズが見事な活躍を見せたが、彼はまたプレイオフでのキャリアを通じてひどいパフォーマンスに終わったこともある。もし信頼できるセカンド・オプションが得られないなら、シェイに多くの負荷がのしかかり、相手に勝ち筋を与えてしまうだろう。
最後に、サンダーの素晴らしいディフェンスが最も効果的なのは、審判のコールが緩いときだ。彼らは非常にフィジカルで、ファウルの境界線ギリギリでプレイしている。もし、厳しい笛を吹く審判がいたら、彼らはディフェンスで頭を悩ませることになるだろう。

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2位:インディアナ・ペイサーズ
優勝できる理由
ペイサーズは今シーズンをすさまじい勢いで駆け抜けた。彼らは10勝15敗のスタートでつまずいた後、40勝17敗の成績で1年を終えた。
ペイサーズを優勝候補から除外するには相当の勇気が必要だ。ペイサーズは、疑いの声を黙らせ続けるだろう。
ESPN really went 0-22 from the field 🫣🤣 pic.twitter.com/WWE3Xj5jjK
— WOJ ARTEST🇦🇺 (@NbaWoody) May 17, 2025
確かに、キャブスの主力選手の怪我はペイサーズの第2ラウンド突破に有利に働いた。しかし、それはペイサーズを十分に評価したことにはならない。彼らのディフェンスは昨シーズンから劇的に改善され、ハリバートンはクラッチプレーに次ぐクラッチプレーで、過大評価されているという声を黙らせている。
優勝できない理由
ペイサーズはスピードに頼るチーム。一方のニックスはリーグでも遅いペースでプレイしてきたチームだ。ニックスはこれまでのラウンドで試合の流れをコントロールしてきた。カンファレンス・ファイナルでもそれができれば、おそらく勝てるだろう。
またペイサーズからは、シリーズのベストプレイヤーが出ないかもしれない。ハリバートンはオールNBAのタレントだが、ニックスにはジェイレン・ブランソン、ウルブズにはアンソニー・エドワーズ、そしてサンダーにはMVP候補筆頭ののシャイ・ギルジャス・アレクサンダーがいる。
今季のペイサーズはディフェンスが格段に良くなったとはいえ、まだトップ10に入るチームではない。優勝にはディフェンスが必要なことは、歴史をみても明らかだ。

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3位:ニックス
優勝できる理由
接戦になったとき、ニックスにはリーグ屈指のフィニッシャーがいる。ジェイレン・ブランソンはチームを背負い、何度も何度も結果を出してきた。
ニューヨークはレギュラーシーズンで見たよりも良いチームだった。トム・シボドーベンチの多くの選手を信頼していないが、デュース・マクブライドとミッチェル・ロビンソンには安定したプレイタイムを与えている。特にロビンソンは、レギュラーシーズンのほとんどを欠場したが、プレイオフでは試合の流れを変える活躍を見せている。
優勝できない理由
ニックスはピストンズとセルティックスに対しては好調に見えた。しかし、レギュラーシーズンではそうではなく、ほとんどの重要な対戦で競争力を維持できず、勝率50%以上のチームとの対戦は15勝23敗と苦しんだ。
また健康状態にも常に疑問符がつく。ブランソンは、プレイオフを通して足首の痛みと付き合ってきた。チームのタフガイ、ジョシュ・ハートもフロアでうずくまり、出血した。ニックスの先発5人全員が、イースタン・カンファレンスのプレイオフの出場時間でトップ5に入っている。主力選手の誰一人として欠場する余裕はなく、ニックスの運命は彼ら5人とともにあるのだ。

4位:ミネソタ・ティンバーウルブズ
優勝できる理由
"Defense wins championships" ウルブズは今季もエリートレベルのディフェンスを作り上げた。ルディ・ゴベアのディフェンスが衰えたというのは間違っていた。彼は優れたリムプロテクターであり、ジェイデン・マクダニエルズは攻守で素晴らしいプレイを見せている。
アンソニー・エドワーズはウルブズが出場したすべてのシリーズでベストプレーヤーだった。レギュラーシーズンではリーグ屈指の3ポイントシューターに成長したが、プレイオフでは大胆不敵なリムアタッカーとして原点回帰。彼のパスもまたキャリアで最高のものだ。
最も重要なのは、ウルブズには素晴らしいベンチがいるということだ。NBAでは弱点がないことが重要視されるようになってきているが、彼らにはその弱点がない。ナズ・リードはプレーオフで最高の控えビッグマンだ。ドンテ・ディヴィンチェンゾは常に大きな得点源となる。ニキール・アレクサンダー・ウォーカーは、攻守で活躍するXファクターだ。
優勝できない理由
ウルブズをこのリストの最下位にするのは失礼だ。彼らはこの中で最悪のチームではない。しかし、彼らはサンダーと対戦している。
疲弊しきったウォリアーズ相手にオフェンスで苦労したウルブズにとって、サンダーのディフェンスは悪夢のようであろう。
エドワーズはこのシリーズで多くのことをこなさなければならない。彼はキャリアで最も厳しい試練に直面するだろう。サンダーには、ルー・ドート、カルーソ、ケイソン・ウォレス、ジェイレン・ウィリアムズ、シェイなど、彼を苦しめるペリメーター・ディフェンダーがたくさんいる。ただ彼のパスもこのプレーオフで向上している。まさしくプレッシャーのかかる強度の高い試合で、エドワーズは真価を試されることになる。
ジュリアス・ランドルも同様に、ポストシーズンでは見事なパサーとしてウルブズのオフェンスを牽引してきた。彼にとってもこのラウンドは簡単ではないだろう。ターンオーバーを抑えなければならないが、サンダー相手では誰もそれができなかった。ヨキッチでさえこのディフェンスを破れなかったのなら、ランドルがサンダーを相手に成功するのは難しいだろう。
原文:NBA Playoffs 2025: Ranking Pacers, Knicks, Thunder, Timberwolves chances of winning championship
抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)