ボストン・セルティックスを破ったニューヨーク・ニックス、クリーブランド・キャバリアーズを破ったインディアナ・ペイサーズ――多くの人が予想しなかったこの2チームが、見事な東地区準決勝の番狂わせを演じ、東地区決勝で対戦することとなった。どちらかが「常にアンダードッグ」という立場からついに抜け出すことになる。
この2チームは互いによく知る間柄だ。1993年以降、プレーオフでの対戦は今回で9回目となる。昨年は、戦力が崩壊していたニックスをペイサーズが第7戦で下した。今年のニックスはより健康で、ミケル・ブリッジズとカール アンソニー・タウンズも加入し、今度こそリベンジを狙う。
ここでは、どちらに優位性があるのか、また両チームの鍵となる要素を見ていく。
ニックス対ペイサーズの予想
「NBAは3ポイントショットを打ちすぎだ」と感じているなら、このシリーズはあなた向きだ。レギュラーシーズンにおいて、ペイサーズの3ポイント試投率でリーグ21位、ニックスは28位だった。
ペイサーズはコート全体から得点でき、ニックスはペイント内で相手を圧倒する。両チームともシュート力に優れており、非常に見応えのあるシリーズになるはずだ。
昨年の東地区準決勝、ニックスは負傷者続出により崩壊した。今年はやや健康だが、ジェイレン・ブランソンは右足首をまだ痛めている。彼とタイリース・ハリバートンは、プレーオフ中に交互にクラッチタイムで輝いてきた。となれば、終盤戦の緊迫感は必見だ。
ニックスはファーストラウンドでデトロイト・ピストンズを6戦で退けた。セカンドラウンドではセルティックスに対して3勝1敗のリードを築き、第4戦終盤のジェイソン・テイタムの負傷で、セルティックスの反撃の芽も完全に絶たれた。
とはいえ、レギュラーシーズンでは勝率5割以上のチームに対して15勝23敗と大きく負け越しており、「本当に強豪に勝てるのか」という疑念は残る。セルティックス戦の3勝もすべて14点差以上のビハインドからの逆転だった。
ニックスの勝因は、毎試合見せる驚異的なハッスルだ。ジョシュ・ハートはルーズボールに全力で飛び込み、OG・アヌノビーとミケル・ブリッジズは試合の大部分に出場し、終盤に全力を注ぐ。そして、ブランソンはNBAでも屈指のクラッチプレイヤーとなっている。だが、同じようにハードに戦うペイサーズを相手にしたときにどうなるのか。
最終的に、我々はペイサーズに軍配を上げる。シーズン序盤はハリバートンのケガで苦しんだが、今は絶好調だ。レギュラーシーズン終盤は40勝17敗、プレーオフでは8勝2敗と圧倒的な結果を残している。ディフェンスもシーズンを通して向上し、パスカル・シアカムやハリバートンをはじめ、ロールプレイヤーたちもプレーオフでステップアップしている。
ペイサーズは選手層、コーチング(トム・シボドーへの敬意を込めつつも)、そして健康面でニックスを上回っている。これらがこのシリーズでわずかながら優位性を与える。
予想:第7戦でペイサーズ勝利
ニックス対ペイサーズ、2024-2025シーズンのレギュラーシーズン成績
レギュラーシーズンの対戦は2勝1敗でニックスに軍配。
- 2024年10月26日:ニックス 123-98 ペイサーズ
- 2024年11月11日:ペイサーズ 132-121 ニックス
- 2025年2月12日:ニックス 128-115 ペイサーズ
第1戦では、ハリバートンがキャリア最悪級のパフォーマンス(ショット8本全て失敗の無得点)。当時は背中のケガに苦しんでいたが、第2戦ではそれを乗り越え35得点、14アシストをマークして勝利をもたらした。
第3戦ではアヌノビーとマイルズ・ターナーが欠場。タウンズとハートが合計70得点を記録し、ニックスが全てのクォーターでペイサーズを上回る快勝を収めた。

ニックス対ペイサーズ注目ポイント:
ペイサーズのディフェンスは通用するか?
ニックスは補強により明確に戦力アップしているが、ペイサーズも内部成長を遂げている。昨季はディフェンシブ・レーティングでリーグ24位だったが、今季は14位に上昇。
プレーオフではさらに守備が強化されており、オフェンシブ・レーティング10位のバックス(ただしリラード欠場あり)とNBA歴代2位のオフェンシブ・レーティングを記録したキャブス(主力多数欠場)を相手に、どちらも平均以下の得点に抑えている。
ニックスのオフェンスはブランソンに大きく依存しており、彼を止められるかが鍵となる。ペイサーズにはアンドリュー・ネムハードという優れたポイント・オブ・アタック・ディフェンダーがいるが、ブランソンは過去にそのマッチアップで優位に立ってきた。
Jalen Brunson stuns the defense and cruises to the lane for the floater 😲
— NBA (@NBA) May 15, 2024
IND-NYK (2-2) | Game 5 on TNT#NBAPlayoffs presented by Google Pixel pic.twitter.com/Ia3LJtmLZK
よりフィジカルなディフェンダーであるアーロン・ニスミスの起用も考えられる。彼の方がやや抑えられているが、それでもブランソンは高得点をマークしている。
誰をマークに付けるにせよ、ペイサーズ全体の集中力が求められる。
ニックスはペイサーズを止められるか?
ペイサーズが勝つスタイルは明白で、NBA随一のトランジションオフェンスを誇る。このアドバンテージは通常プレーオフで減少するが、ペイサーズは例外で、全てのポゼッションでこのスタイルを貫くため、対策しても完全に封じるのは難しい。
ニックスも速攻を使うが、基本的にはスローなテンポのオフェンスを好む(ペースはリーグ26位)。ゆっくりした展開はニックスに有利に働く。
シボドーHCはおそらくリーグで最も要求の厳しいヘッドコーチだ。ニックスはレギュラーシーズン中、速攻からの失点をリーグ10位に抑えていた。ただ、プレーオフでは選手たちの極端な出場時間による疲労の影響もあってか、このディフェンスがやや低下している。
今シリーズではさらに厳しい試練が待ち受けているだろう。
原文:Knicks vs. Pacers prediction, odds, schedule, keys to the series for 2025 NBA Eastern Conference Finals
抄訳:佐藤瑞紀(スポーティングニュース日本版)