NBAドラフト・ロッタリーの勝者と敗者は? クーパー・フラッグを引き当てたマブスと落胆のジャズ、ウィザーズ

Stephen Noh

小野春稀 Haruki Ono

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NBAドラフトの上位指名権を引き当てることは、常に重要である。しかし、今年はいつにもまして重要だった。クーパー・フラッグはフランチャイズ全体を好転させる可能性を秘めている。各チームはシーズン終盤、あらゆる手を尽くして彼を獲得する確率を高めようとした。

報われたのはマーベリックスだった。

ダラスは明らかに勝者だ。フラッグを獲得できる確率はわずか1.8%だったが、彼らは奇跡を起こした。ルカ・ドンチッチのトレード後、ファン・ベースの心が離れていたチームにとって、喉から手が出るほど欲しかった全体1位指名権だ。

ドラフト・ロッタリーの勝者と敗者についてまとめていく。

2025年NBAドラフト・ロッタリーの勝者

マーベリックス

ビクター・ウェンバンヤマがスーパースターになることは誰もが知っていた。フラッグは過去6年間で2番目に有望な選手だ。

マーベリックスとの相性は魅力的だ。アンソニー・デイビス、デリック・ライブリー2世、ダニエル・ギャォードを擁し、センターの層は厚い。フラッグは、これらのビッグマンと一緒にパワーフォワードでプレーし、強力なディフェンスラインナップを作り上げるだろう。

「ディフェンスがチャンピオンシップを勝ち取る」というニコ・ハリソンの信念を証明するときがきた。

スパーズ

サンアントニオにはディラン・ハーパーがやってくる。

誰もがフラッグを望んでいたが、ハーパーも素晴らしい選手だ。彼のドラフト全体2位指名はほぼ確実だ。彼はNBAの血を継いでいる。父のロンは5つのリングを持つベテランで、兄のロン・ハーパーJrもNBAでプレイしている。

ディランはハーパーの血筋の中で最高の選手になるだろう。彼はピック&ロールが得意で、攻守両面で貢献できる。彼はシュートクリエイトもできるし、6フィート6というサイズもあるので、あらゆるパスを通すこともできる。

ディアロン・フォックスとステフォン・キャッスルとガード陣の層は厚いが、ハーパーはビクター・ウェンバンヤマと難なくフィットするはずだ。

ロケッツ

ロケッツは27位指名権をネッツに譲渡する。その代わりに、彼らはサンズの指名権を受け取った。

サンズから得た指名権は、ドラフト・ロッタリーでトップ4を当てる確率が17.3%あった。そこまでの幸運には恵まれなかったが、それでもシーズンをリーグ4位の成績で終えた後、このドラフトで10位指名権を得たことに感激しているはずだ。

 全体10位指名権は貴重なトレード資産となるかもしれない。ロケッツはこの夏、大きく動くことができる。ケビン・デュラントは移籍するだろう。ヤニス・アデトクンポも動くかもしれない。この夏、ロケッツはスーパースターを獲得する可能性が高い。

76ers

76ersは抽選に臨むチームの中で最も多くのリスクを抱えていた。彼らの指名権はトップ6までプロテクトされていた。そのままトップ6を確保できる確率が63.9%、あるいは中盤順位の指名権となってサンダーに譲渡する確率が36.1%だった。

彼らにとって最高の結果となった。彼らは指名権をキープしただけでなく、全体3位指名権を引き当てた。10.6%という確率を現実のものにしてみせたのだ。

全体1位、2位以降はタレント力が大幅に落ちるが、それでも76ersは良い選手を獲得できる。エース・ベイリー、V.J.エッジコム、コン・クヌッペル、トレ・ジョンソンなどはみな優れたNBA選手になるだろう。

76ersにはまだやるべきことが山ほどある。ジョエル・エンビードとポール・ジョージは、長期的な不良債権になる可能性がある。しかし、この指名権により、この夏にビッグネームを狙うか、タイリース・マクシーとジャレッド・マケインに次ぐ若い才能をドラフトで獲得するかという選択肢が生まれ、チームに光明が見えてきたのは確かだ。

2025年NBAドラフト・ロッタリーの敗者

ジャズ、ウィザーズ

ジャズとウィザーズは、リーグワーストとワースト2位の成績でシーズンを終えたため、トップ4指名の確率が最も高い状態でロッタリーに臨んだ。

結果的に、ジャズは全体5位、ウィザーズは全体6位に落ちた。それぞれ64敗、65敗を喫して得たものがこれでは、現実を受け入れるのは厳しいに違いない。

ブルズ

ブルズは何を目指しているのだろうか。今年、ほとんどのチームが中位フィニッシュを避けようと懸命に努力する中、シカゴはそれを避けようとしなかった。彼らはワースト12位の成績で終わったが、そのほとんどは年末にロッタリーチームに勝ってしまったからだ。彼らに残された1つの道は、運良くロッタリーで高順位を引き当てることだった。

それは叶わなかった。ブルズが得たのは全体12位指名権。昨年は全体11位でマタス・ブゼリスを獲得した。彼らは来年も、4年連続でプレーイン・トーナメントに出場する運命にあるのかもしれない。

エース・ベイリー

これは厳密にはドラフト・ロッタリーの前に起こったことだが、ベイリーがNBAドラフト・コンバインで計測した値が公表され、それが彼の指名順位に悪影響を与えるかもしれない。ケビン・デュラントに匹敵する6フィート10インチと思われていたベイリーだったが、計測の結果によると彼は靴なしで 6フィート7.5インチだった。

そうはいってもベイリーは全体3位から10位で指名されるだろう。ただ、彼にとって良い日ではなかったのは確かだ。 

2025年NBAドラフト・ロッタリー結果

指名順位チーム
1マーベリックス
2スパーズ
376ers
4ホーネッツ
5ジャズ
6ウィザーズ
7ペリカンズ
8ネッツ
9ラプターズ
10ロケッツ
11トレイルブレイザーズ
12ブルズ
13ホークス
14スパーズ
15サンダー
16マジック
17ティンバーウルブズ
18ウィザーズ
19ネッツ
20ヒート
21ジャズ
22ホークス
23ペイサーズ
24サンダー
25マジック
26ネッツ
27ネッツ
28セルティックス
29サンズ
30クリッパーズ

原文:NBA Draft Lottery winners & losers 2025: Cooper Flagg's fit with Mavericks, freefalls for Wizards and Jazz

抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)

Stephen Noh

Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

小野春稀 Haruki Ono

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。大学生。元はスポーティングニュースのNBAニュースを毎日楽しみにしていた読者であったが、今では縁あってライターとして活動している。小学生の時にカイリー・アービングのドリブルに魅了されNBAの虜に。その影響で中高6年間はバスケに熱中した。主にNBAの記事を執筆している。