■故障も影響し結果を残せず
7月に行われた大相撲名古屋場所では、幕内に42名の力士が名を連ねた。トップの成績を記録したのは、自身初優勝を果たした平幕・琴勝峰で13勝2敗。一方、全15日間皆勤しながら1勝14敗に終わったのが平幕・千代翔馬だ。
同場所の千代翔馬は初日に平幕・宇良に敗れると、そこから中日までまさかの8連敗を喫し早々に負け越しが決定。9日目以降もほとんど調子は上がらず、平幕・嘉陽に勝利した12日目以外は全敗。初日から千秋楽まで皆勤した幕内力士の中ではワーストとなる1勝にとどまり、次の秋場所では昨年の同場所以来となる十両転落の可能性が極めて濃厚だ。今年の春場所で自己最高位の西前頭2枚目になったのもつかの間、一気に番付を落とす形となっている。
千代翔馬は名古屋場所の出場を迷うほど腰の状態が悪かったといい、場所後の夏巡業も腰椎椎間板ヘルニアを理由に休場している。現段階では秋場所は休場せず初日から出る意向だというが、復調への道のりは非常に険しくなりそうだ。
■前回の“皆勤1勝”力士は今も低迷中
幕内で全15日間皆勤しながら1勝にとどまったのは、2022年名古屋場所の志摩ノ海以来3年ぶりのケースとなる。この時の志摩ノ海は初日からの3連敗を4日目で一旦止めたものの、5日目から再び連敗地獄に。十両力士との対戦が組まれた14日目、千秋楽の取組でも勝てずに場所を終え、次の秋場所は東十両筆頭へ番付を落とした。
秋場所は1場所での幕内返り咲きを目指したが、4勝11敗と大負けし目標達成ならず。その後も十両からなかなか抜け出せない日々が続いた中、東十両12枚目で臨んだ2025年名古屋場所で3勝12敗を喫したことで、次の秋場所は2018年初場所以来となる幕下行きが確実な情勢に。もし1場所での関取復帰に失敗した場合は、現役引退を決断するのではないかという見方もされている。
志摩ノ海は当時33歳の年齢面に加え、2022年初場所で右ハムストリング損傷に見舞われたことが低迷の要因とみられている。現在34歳で腰の故障を抱える千代翔馬も、今後志摩ノ海と同じように幕内から遠ざかってしまう可能性は決してゼロではないだろう。
■故障を乗り越えての逆襲はなるか
近年の角界は、幕内と十両の実力差が縮まっているとしばしば指摘されている。先の名古屋場所で、新入幕力士の草野(11勝4敗、敢闘賞・技能賞)、藤ノ川(10勝5敗、敢闘賞)がいきなり好成績をマークしたことも好例だろう。裏を返せば、十両に落ちてきた元幕内力士が好成績を挙げるのも難しいということになるが、勝負は蓋を開けるまで分からないこともまた相撲の魅力だ。
千代翔馬が苦境を脱するために重要なポイントだが、まずは何と言っても身体のコンディションを上げることだ。前出の腰の故障で夏巡業を休場しているが、部屋での稽古にも大きな影響が出ていることが予想される。9月14日の秋場所初日までは残り半月ほどだが、患部のケアはもちろん、相撲勘を取り戻すことにも時間を割く必要があるだろう。
また、千秋楽まで途中休場せずしっかり取組をこなすためには、患部になるべく負担がかからないような相撲を取ることも大事になるだろう。受け身の相撲だと反り腰の体勢で相手の体重が乗っかるため、故障の悪化や別箇所を痛めるリスクが高くなる。そのため、立ち合いから積極的に前に出て、相手に自身の体重を乗せるように圧力をかける形を目指していきたいところだ。
千代翔馬は東十両筆頭で臨んだ昨年秋場所では、2ケタ10勝を挙げ1場所での幕内返り咲きに成功している。昨年のいいイメージも追い風に、苦境を打破するような相撲を見せることができるだろうか。
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