7月10日(木)に行われた2025年クラブW杯準決勝で、パリ・サンジェルマン(PSG)はレアル・マドリードに4-0の完勝を収め、決勝進出を決めた。
この試合は、すでに退団が決まっているルカ・モドリッチにとって、レアル・マドリードの一員として戦う最後の試合となった。一時代を築いた名手がレアルでのキャリアに幕を下ろす舞台で、反対側では未来の中盤を担う新たな存在が、その才能を輝かせていた。
新時代の中盤トリオが躍動
PSGの勝利を支えたのは、ヴィティーニャ、ファビアン・ルイス、ジョアン・ネベスによる中盤トリオだ。バロンドール候補にも挙げられるヴィティーニャは、この日もパスと展開力でピッチを支配し、ファビアン・ルイスは2得点、20歳のネベスは攻守両面で抜群の存在感を見せた。
パス成功数631本、(対するレアルは255本)という数字が物語るように、PSGはゲームの主導権を握り続けた。ヴィティーニャは105本のパスを成功させ、ネベスはパス成功率97%に加え、4度のタックルを成功させた。ファビアン・ルイスもパス成功率93%と完璧な働きを見せた。
試合後、ファビアン・ルイスは「結局のところ、僕たちはチームで戦っている。大事なのは個人ではなく、全体としてどう機能したかだ。」と語り、「今日は自分が2得点という形で貢献できたけれど、相手はとても手強いレアル・マドリードだった。そんな中で、チームとして素晴らしい試合ができたと思う。」と胸を張った。
結束と多様性が生む完成度
PSGはカウンターで破壊力を見せるだけでなく、広報からのビルドアップも巧みにこなす。相手が守備を固めてきても崩す力があり、速攻でも遅効でも、サイドからも中央からも、多様な攻撃パターンを備えている。そのすべての起点となるのが中盤のトリオであり、ヴィティーニャが攻撃を操り、ジョアン・ネベスが背後をカバーし、ファビアン・ルイスが前線とのつなぎ役を担う。この3人の役割がぴたりとかみ合い、すべてが美しく機能しているのだ。
「すべては選手たちの素晴らしいクオリティのおかげだよ。」と、ルイス・エンリケ監督は試合後に語った。「彼らは本当に献身的なんだ。2025年はすでに100得点以上を挙げ、失点も最小クラス。それを可能にしたのは、選手の質と姿勢なんだ。」
アクラフ・ハキミも「僕らの間のつながりや連携は本当に素晴らしい。こんなチームの一員でいられることを幸運に思う。」と語り、チームの一体感を強調した。
次なる黄金時代へ
エムバペ、メッシ、ネイマールという超攻撃的な布陣だった前体制のPSGは、確かに圧倒的な攻撃力を持っていたが、強豪相手には”前からのプレスが効かない"という明確な弱点があった。
だがこの日のPSGは、エムバペが加わったレアル・マドリードに対してチームへの献身性という価値を突きつけた。レアルは連動した守備の意識が見られず、PSGの中盤は誰にも邪魔されることなく自由にピッチを支配した。
白いシャツを着たモドリッチの時代が終わりを迎える中で、世界の舞台には新たな伝説級の中盤が現れた。この3人もまた、かつてのレアルの黄金時代のように、将来語り継がれる存在になる可能性を秘めている。
原文:PSG midfield shines vs. Real Madrid: 'Generous' Vitinha, Fabian Ruiz excel in Club World Cup semifinal
翻訳:小山亮(スポーティングニュース日本版)