クリスタル・パレスはヨーロッパリーグに出場できるのか? マルチクラブオーナーシップ規則、UEFAの決定に対するCASへの上訴について解説

Dom Farrell

小鷹理人 Masato Odaka

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クリスタル・パレスの欧州挑戦は、UEFAの判断によって制限された。UEFAは、同クラブが2025/26シーズンのヨーロッパリーグに出場できないことを決定した。

FAカップを制したパレスだったが、マルチクラブオーナーシップに関する規則に抵触したため、ヨーロッパカンファレンスリーグに降格となった。

この結果、恩恵を受けたのはノッティンガム・フォレストであり、カンファレンスリーグからヨーロッパリーグへと繰り上げ出場が決まった。

「まず何より、サポーターのことを考えると本当に残念だ。他のクラブのサポーターたちもこの決定には落胆すべきだと思う。これは我々の夢だった」と、クリスタル・パレス会長のスティーブ・パリッシュ氏はSky Sportsに語った。

「選手たち、ファン、スタッフのことを思うとやるせない。これはフットボール界全体にとって悪い日だ。多くのまともなサッカーファンは、今回の決定がクラブにとってひどい不正であると感じるはずだ」

さらにパリッシュ会長は、UEFA自身もこの決定を望んでいなかったのではないかと述べた。では、なぜこのような判断が下されたのか?

クリスタル・パレスはヨーロッパリーグに出場するのか?

現時点では、クリスタル・パレスは2025/26シーズンのヨーロッパリーグには出場できない。UEFAのマルチクラブオーナーシップに関する規則にあるからだ。

問題の核心は、ジョン・テクスターが「イーグル・フットボール・ホールディングス」を通じてパレスの43%の株式を保有していることだ。テクスターはベルギーのモレンベーク、南米のボタフォゴ、さらに2022年12月にはリーグ・アンのリヨンの経営権も取得している。

UEFAの規則では、同一オーナーのクラブが同じ欧州大会に出場することはできない。リーグ・アンで6位に入ったリヨンは、プレミアリーグで12位だったパレスよりも順位が上のため、ヨーロッパリーグ出場権を得る。

パレス側は、テクスターはセラースト・パークの経営権を握っておらず、43%の株式を保有していても、ジョシュ・ハリス、デイビッド・ブリッツァー、そしてパリッシュとの共同所有によって、投票権は25%に過ぎないと主張している。

Crystal Palace

また、テクスターがNFL「ニューヨーク・ジェッツ」のオーナーであるウッディ・ジョンソンに自身の株式を売却することにも合意している。このような緩和要素もあったが、UEFAのクラブ財務管理機構(CFCB)には認められなかった。

パリッシュは、パレスがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴することを明言している。

なぜマンチェスター・シティとジローナはチャンピオンズリーグに出場できたのか?

マルチクラブ体制にあるクラブが、同じUEFA大会に出場する方法は存在する。実際、昨季のチャンピオンズリーグでは、マンチェスター・シティとシティ・フットボール・グループ(CFG)傘下のジローナがともに出場している。

これは、CFGがUEFAの規定に従い、ジローナの持ち株を2024年7月1日から2025年6月30日までの間、ブラインド・トラストに移し、UEFAが承認した独立委員会の監督下に置くことで実現した。

一方、パレスは、所有構造を変更してUEFAの規則に準拠させる期限である3月1日を過ぎていた。パリッシュによると、この件に関する通知はクラブの一般問い合わせ用メールアドレスに送られていたため見落としていたという。

「我々はUEFAの内輪にはいない」と彼はThe Athleticに語っている。「パレスの経営に15年携わっているが、これまでUEFAからメールを受け取ったことすらない」

「このルール変更の通知は [email protected] に送られていたが、誰も気づかず、何度も再送されていた。これは1月のことだった」

อิลคาย กุนโดกัน คริสตัล พาเลซ พบ แมนเชสเตอร์ ซิตี้ ฟุตบอลพรีเมียร์ลีก 2024-25

リヨンはリーグ・アンから降格したのか?

一時期、パレスに希望が見えたのは、リヨンが財務管理上の問題でリーグ・アンから降格処分を受けたときだった。テクスターはフランス国内でファンからの抗議にも晒されていた。

降格となれば、リヨンはUEFA大会に参加するライセンスを失うはずだったが、最終的にリヨンは上訴を経てリーグ・アン残留が決まった。

パレスの運命も、同様に仲裁によって決まることになる。

ノッティンガム・フォレストはヨーロッパリーグに出場するのか?

クリスタル・パレスがカンファレンスリーグに降格となったことで、彼らのヨーロッパリーグ出場権はノッティンガム・フォレストに引き継がれた。フォレストは昨季プレミアリーグで7位に入っており、当初はカンファレンスリーグへの出場が予定されていた。

BBC Sportによると、フォレストはパレスのヨーロッパリーグ出場資格に疑問を呈していた。オーナーのエヴァンゲロス・マリナキス氏は、フォレストと、もう1つ所有しているオリンピアコスがともにチャンピオンズリーグに出場しそうになった時点で、自身の持ち株をブラインド・トラストに移すことを選択していた。

原文:Will Crystal Palace play in Europa League? Multi-club ownership rules, CAS appeal against UEFA decision explained
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)

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Dom Farrell

Dom is the senior content producer for Sporting News UK. He previously worked as fan brands editor for Manchester City at Reach Plc. Prior to that, he built more than a decade of experience in the sports journalism industry, primarily for the Stats Perform and Press Association news agencies. Dom has covered major football events on location, including the entirety of Euro 2016 and the 2018 World Cup in Paris and St Petersburg respectively, along with numerous high-profile Premier League, Champions League and England international matches. Cricket and boxing are his other major sporting passions and he has covered the likes of Anthony Joshua, Tyson Fury, Wladimir Klitschko, Gennadiy Golovkin and Vasyl Lomachenko live from ringside.

小鷹理人 Masato Odaka

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。埼玉県出身。南アフリカW杯を機にサッカーに魅了され、欧州サッカーを中心に幅広く観戦。大学・大学院でスポーツマネジメントを専攻し、理論と実践の両面からスポーツを追求。フットサル部では全国大会出場経験あり。趣味はスポーツ観戦でサッカー、格闘技、MLBなど幅広く観戦。NBAは現在勉強中。