MVPシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは本当にフロッパーなのか?

Stephen Noh

小野春稀 Haruki Ono

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シェイ・ギルジャス・アレクサンダーがNBA2024-2025シーズンのMVPに選ばれた。彼について多くの人が言っていること言葉をそのまま借りるならば、彼は最大のフロッパーでもある。カンファレンス決勝の現地のテレビ中継でも話題になったほどだ。

マイク・ブリーンはオクラホマシティ・サンダー対ミネソタ・ティンバーウルブズの第1戦で、「彼は4分半ですでに7本のフリースローを打っている」とコメントした。

「NBAのTwitterが彼をフリースロー商人と呼ぶのには理由があるんだ、マイク」とドリス・バークは答えた。

フリースローは選手、ファン、メディアをイライラさせる。第1戦SGAのフリースローの1つは、テクニカルファウルの結果として起こった。アンソニー・エドワーズは、SGAがまたもやファウルを獲得したことで明らかに腹を立て、シェイにボールを投げつけた。

フロッピングを好む人はいない。SGAがこのプレーオフを通して、時にそれをやってしまったことは否めない。彼が獲得したファウルの中には、明らかにおかしく見えるものもあるのだ。

このようなプレイの瞬間は、私たちの記憶に強く残っている。では、実際のところ、彼のフロッピング問題はどれほど深刻なのだろうか?

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シェイ・ギルジャス・アレクサンダーのフロッピングへの批判は大げさである

サンダーの対戦相手からすれば、サンダーはリーグで笛を最も味方につけているチームであろう。しかし、数字はそれを裏付けるものではない。

第1戦を観戦したファンのほとんどに聞けば、サンダーに有利な笛だったと言うであろう。だが実際には、両チームとも22個のファウルを吹かれたのだ。

サンダーはフリースローで26対21と優勢だったが、ペイント内得点でも54対20とウルブズに驚異的な差をつけ、ファストブレイクポイントでも12対0と優位に立った。ウルブズの3Pシュートはサンダーの21本に対して51本と信じられないほど多い。一般に、ドライブしてペイント内を攻めているときは、ジャンプシュートを打っているときよりも接触が増えるため、必然的にファウルが起きやすくなる。

サンダーはリーグのどのチームよりもフィジカルなオフェンスを展開する。レギュラーシーズンもプレーオフも、1試合あたりのドライブ数は2位。しかし、なかなかフリースローにつながっておらず、ヘッドコーチのマーク・デイグノートはシーズンを通してそのことを嘆いてきた。

実はレギュラーシーズンでは、対戦相手の方が270本も多くフリースローを打っているのだ。

NBA free throw differential in the playoffs — the Thunder have taken five more free throws than opponents this year

だから、サンダーはチームとして有利な笛を吹かれているわけではない。では、SGA個人としてはどうだろう?

第1戦のファウルコールをすべて見てみるとよい。フロップも混じっているし、狡猾なファウルドローもある。だが、彼が正当にファウルを受けている場面も多い。自分の目で確かめてほしい。

SGAのフロップは起きているが、人々の反応は非常に大げさだ。それは彼のような動きをする選手は他にいないからだ。Basketball She Wroteのケイトリン・クーパーは、うまく表現している。

フリースロー商人という呼び名は、SGAがどれほど優れた選手であるかを正当に評価していない。彼は5年連続で1試合あたりのドライブ数でNBAをリードしている。卓越したアスリートでなければ、これは容易なことではない。独創的なドライブムーブでペイント内に入り込む、見ていて最も賢い選手の一人だ。

SGAはまた、フリースローで得点することはあまりない。彼の得点のほとんどは、フィールドゴールの成功から生まれる。プレイオフ中のフリースローによる得点の割合は、ジャレン・ジャクソンJr.やスコッティ・ピッペンJr.のような選手と同じである。彼らはフリースロー商人として批判されているだろか?

選手フリースローが得点に占める割合(プレイオフ)
1. スティーブン・アダムス* 40.0%
2. クリスタプス・ポルジンギス36.5%
3. ジョン・コンチャー36.3%
4. ミッチェル・ロビンソン* 36.0%
5. アサー・トンプソン30.4%
6. ジミー・バトラー30.4%
7. ベネディクト・マサリン29.5%
8. デイミアン・リラード28.5%
9. ジャレット・アレン27.3%
10. ルカ・ドンチッチ27.1%
11. ジェイレン・デューレン26.8%
12. ヤニス・アデトクンポ26.7%
13. シェイ・ギルジャス・アレクサンダー26.5%
14. ジャレン・ジャクソンJr. 26.5%
15. スコッティ・ピッペン Jr.26.0%

*ハック戦術(故意にファウルして、フリースローを打たせること)の対象になった選手

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SGAのフリースロー得点率を歴代のMVPと比較すると、彼はかなり低く見える。偉大なスコアラーは多くのファウルをもらう。彼のフリースロー得点率は、他のMVPガードとほぼ同じだ。

If you're going to call Shai Gilgeous-Alexander a free throw merchant, then you have to do the same for most of the MVP guards throughout NBA history. Getting a quarter of your points from the line when you're an MVP-caliber guard is not unusual.

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— Steph Noh (@stephnoh.bsky.social) April 11, 2025 at 10:42 AM

SGAのプレースタイルには賛否両論があるかもしれない。確かに、ドライブのたびに接触をアピールする選手を見て楽しめないのは道理である。しかし、彼のプレーをファウルの数だけで片付けるのは、彼がいかに偉大な選手であるかということを見誤っている。彼がサンダーを優勝のチャンスに導いているのは、主に彼の攻守にわたる貢献、賢さ、そしてなんといってもスコアリングのおかげだ。

原文:Shai Gilgeous-Alexander free throw merchant investigation: Yes, he flops, but not as much as you think

抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)


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Stephen Noh

Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

小野春稀 Haruki Ono

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。大学生。元はスポーティングニュースのNBAニュースを毎日楽しみにしていた読者であったが、今では縁あってライターとして活動している。小学生の時にカイリー・アービングのドリブルに魅了されNBAの虜に。その影響で中高6年間はバスケに熱中した。主にNBAの記事を執筆している。