オジー・オズボーンからスコッティ・ピッペンまで『Take Me Out to the Ball Game』のワースト・パフォーマンス集

石山修二 Shuji Ishiyama

Daniel Mader

オジー・オズボーンからスコッティ・ピッペンまで『Take Me Out to the Ball Game』のワースト・パフォーマンス集 image

歌のパフォーマンスはMLBの試合の一部といっていい。プレイボール前の国歌斉唱から7回裏の攻撃が始まる前、『セブンスイニング・ストレッチ』での『Take Me Out to the Ball Game(私を野球に連れてって)』まで、ファンはスタジアムで有名なアメリカの歌を楽しむ。

しかし、時にはパフォーマンスがうまくいかず、間違った理由で話題になってしまうことがある。誰もが覚えているのは、2024年のホームランダービーでイングリッド・アンドレスが歌った国歌斉唱のアレンジだろう。

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国歌斉唱以上に、球場を訪れた歌手や他のエンターテイナー、スポーツ選手などの有名人が披露することが多いのが『Take Me Out to the Ball Game』だ。俳優ビル・マーレイがダフィー・ダックとして歌った2016年のワールドシリーズのように、奇妙ながらも盛り上がるパフォーマンスもあるが、歌詞を忘れるなど様々な理由で失敗するケースもある。

ここでは、スタジアムで披露された『Take Me Out to the Ball Game』のワースト・パフォーマンスの数々を紹介する。なお、そのほとんどは『セブンスイニング・ストレッチ』を広めた歴史的な場所であるリグレー・フィールドで披露されたのものだ。

9. ウィリアム・ハン(2004年5月、ロジャース・センター)

ウィリアム・ハンは2004年、「アメリカン・アイドル」の第3シーズンオーディションに参加し、審査員から激しい批判を浴びたことで一躍有名になった。歌唱スキルが優れていたわけではないにもかかわらず、彼は多くのファンを獲得し、ある種の有名人となった。

2004年5月までに、彼は「ザ・エレン・デジェネレス・ショー」から「デートラインNBC」まであらゆる番組に出演し、ファンの要望で「アメリカン・アイドル」の特別エピソードにも再出演した。その絶頂期に、ハンはトロントで開催されたMLBの試合でその才能を披露した。

ブルージェイズのファンを前に、ハンは『Take Me Out to the Ball Game』をほとんどつまずくことなく歌い切った。

ただ、香港出身のハンは幼少期にアメリカに移住したため、英語は母国語ではない。そのため、この歌で最も重要な単語の一つである「ピーナッツ」の発音を間違えてしまった。

それを除けば、ハンは「root, root, root」の前に「it's time to」を挟むなど、カナダの観客のために素晴らしいパフォーマンスを披露したと言える。

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8. ミスターT(2009年5月、リグレーフィールド) 

2009年5月、元俳優でプロレスラーとしても活動していたミスターTが、リグレー・フィールドに登場した。

「よし、カブスファン、声を聞かせろ!」

ミスターTは歌詞を間違えることもなければ、「ワン、ツー、スリー、ストライクアウト!」と叫ぶ様子は面白い光景だった。しかし、曲全体を通してメロディ感はほとんどなく、ただただ叫んでいただった。

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7. コナー・マクレガー(2021年9月、リグレー・フィールド)

UFCのファンでなくても、コナー・マクレガーの派手で目立つ性格はよく知られている。彼を無視するのは難しい。

2021年、『ザ・ノトーリアス』はリグレー・フィールドを訪れ、始球式を行うと、『セブンスイニング・ストレッチ』でマイクを握った。

「調子はどうだ、シカゴ?」「行こうぜ、シカゴ・カブス!」とマクレガーは始めた。

歌い始めは悪くなかったが、曲が進むにつれ、音程がどんどん外れていった。アイルランド出身のマクレガーはこの曲のリズムを一度も聞いたことがなかったに違いない。

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6. スコッティ・ピッペン(2016年10月、リグレー・フィールド)

スコッティ・ピッペンはシカゴのスポーツ界の伝説的な人物だ。殿堂入りを果たしたバスケットボール選手として、少なくとも1度や2度はリグレー・フィールドでカブスの試合を観戦したことがあると思うだろう。しかし、2016年のナ・リーグのチャンピオンシップシリーズで歌い始めた時のピッペンは、まるで初ステージに立つ新人のようだった。

歌っている間ピッペンはずっと笑顔を絶やさなかったが、歌詞の2行目に差し掛かったところで調子が狂った。

ブルズの殿堂入り選手は歌詞を数行を飛ばしてしまったが、その後はなんとか歌に戻り、残りをミスなく歌い切った。

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5. アレックス・クーパー(2025年7月、リグレー・フィールド)

人気ポッドキャスト『Call Her Daddy』のホストであるアレックス・クーパーも、リグレーフィールドで歌ったことがある。公平を期すために言えば、彼女は少なくとも良いパフォーマンスをしようと努力していた。

カメラの前に立ち、2人の友人が「バックダンサー」としてサングラスをかけて付き添う中、クーパーは低い声で歌い始めた。

しかし、彼女のパフォーマンスに対する観客の反応はかなり悪かった。リグレー・フィールドにはクーパーの歌声が聞こえないほどのブーイングが鳴り響いた。

クーパーは歌詞を間違えたわけではないし、振り付けを取り入れる試みもみせた。しかし、『Take Me Out to the Ball Game』の楽しみは、観客も一緒に歌うことにある。クーパーはその楽しみを提供することができなかった。

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4. ジェフ・ゴードン(2005年5月、リグレー・フィールド)

ジェフ・ゴードンはNASCAR史上最高のドライバーの一人だが、こと歌のパフォーマンスに関しては高く評価するのは難しい。

2005年、カブスの試合に登場したゴードンは観客に「みんな、準備はいいかい?」と尋ねると、『Take Me Out to the Ball Game』を歌い始めた。

全てがゴードンの責任ではないかもしれないが、最初の1行を歌い切る前にすでにオルガン奏者とリズムが合わなくなってしまった。彼が「ピーナッツとクラッカージャックを買って」と歌う頃には、観客はゴードンと全く異なる部分の歌詞を歌っていた。

最後まで歌いはしたが、途中で歌を中断してしまったゴードンはブーイングを浴びることになった。

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3. ウォーレン・G(2016年4月、リグレー・フィールド)

ウォーレン・Gはプロデューサー兼ミュージシャンだ。『Take Me Out to the Ball Game』の基本的な歌詞くらい知っていると思うだろうが実際は違った。

「カビー・ファン!」と観衆に叫んだ後、彼は歌い始めた。

「テイク・ミー・トゥ・ザ・ボールゲーム」

彼はこの有名な曲のタイトルにもある「out」を飛ばしてしまったため、シカゴで歓声と共にブーイングも浴びることとなった。

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2. マイク・ディトカ(1998年7月、リグレー・フィールド) 

シカゴのファンは、マイク・ディトカを愛している。選手としてもベアーズでプレーし、1963年のスーパーボウル時代以前のチームでNFLチャンピオンとなったディトカは、1986年の第20回スーパーボウルではヘッドコーチとしてチームにタイトルをもたらした、しかし1998年7月5日、シカゴのファンはディトカをブーイングする正当な理由があった。

『Take Me Out to the Ball Game』を歌うはずのディトカはブースに遅れて到着し、ファンをイライラさせながらもようやくマイクを手にすると、なんとかパフォーマンスを披露した。

ディトカは単にリグレー・フィールドから早く帰りたかっただけかもしれない。ただ、その早いペースにはオルガン奏者もついていくことはできなかった。ディトカは叫び続けると20秒とたたずに歌い終えた。

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1. オジー・オズボーン(2003年8月、リグレー・フィールド)

オジー・オズボーンはロック界のレジェンドだが、かなり個性的な人物でもあった。オジーの生涯で最も印象的な瞬間の一つは、2003年8月にカブスのファンたちの前で『Take Me Out to the Ball Game』を歌ったときだろう。

少なくとも、彼はショーの盛り上げ方を熟知していた。

「本物のクレイジーな観客の声を聞かせてくれ。一緒に歌おう。準備はいいか?」オジーはリグレー・フィールドに集まった何千人もの観客に尋ねた。

シャロン・オズボーンが隣に立つ中、オジーは「Take me out to the ball game」と「Two, three strikes you're out at the old ball game」の部分を歌ったくらいで、曲の中盤部分は呟く程度の歌声だった。

オジーの名誉のために言えば、曲のメロディは完璧だった。だが、ほとんどが意味不明な言葉の羅列だった。

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原文:9 worst 'Take Me Out to the Ball Game' performances, ranked from Ozzy Osbourne to Jeff Gordon
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)


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石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。

Daniel Mader

Daniel Mader is a Content Producer for The Sporting News. He joined SN in 2024 as an editorial intern following graduation from Penn State University. He has previously written for Sports Illustrated, NBC Sports, the Centre Daily Times, the Pittsburgh Post-Gazette, The Daily Collegian and LancasterOnline. Daniel grew up in Lancaster, Penn., with a love for baseball that’ll never fade, but could also talk basketball or football for days.