新潟記念が将来的な『G2昇格』も視野に!? 豪華メンバー集結の理由とは?

加藤雅大 Masahiro Kato

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夏の新潟開催を締めくくる伝統の重賞・新潟記念(芝2000m・外回り)。今年はシランケドがレースを制し、秋G1へ向けて好スタートを切った。

注目すべきは、今年新潟記念に出走したメンバーの豪華さ。2023年エリザベス女王杯覇者のブレイディヴェーグや今年のヴィクトリアMでそれぞれ好走したクイーンズウォーク(※直前で競走除外)・シランケドなどG1で実績を残す実力馬が集結した。

夏競馬のG3とは思えない出走メンバーにSNSでは「G2レベル」「札幌記念より豪華メンバー」などと話題を呼んだ。最終的なレースレーティング次第ではあるものの、将来的なG2昇格も視野に入る豪華メンバーとなった。

負担重量が別定戦へ変更

今年有力馬が多く集まった最大の要因は、負担重量の変更。これまで新潟記念は、出走予定馬の実績や最近の状態などを考慮し、馬の能力に応じて重量を増減させる、ハンデキャップ競走として行われてきた。

ところが今年からは、レース毎に負担重量を決定する基準が設けられている別定戦へと変更。これまで「重いハンデ(斤量)を課されるため回避」となっていた実力馬でも、出走決定する陣営が増えた。その結果として実際に今年は以下のようなG1実績馬が顔を揃えた。

  • クイーンズウォーク(2025年ヴィクトリアM 2着)
  • シランケド(2025年ヴィクトリアM 3着)
  • ブレイディヴェーグ(2023年エリザベス女王杯1着)
  • ダノンベルーガ(2023年ドバイターフ2着)

※クイーンズウォークは直前で競走除外

勝利したシランケドの負担重量は55kg(牡馬換算57kg)。今春中山牝馬Sで重賞初制覇を飾ると、続くG1ヴィクトリアMでも3着に好走。例年のハンデ戦であればもう少し、斤量を背負わされた可能性が高く、別定戦の恩恵を受けたと言っても過言ではない。

夏競馬唯一のG2 札幌記念がメンバー手薄に

今年新潟記念の別定戦変更に影響を受けたのが、夏競馬唯一のG2となる札幌記念。海外遠征や秋G1を見据える有力馬が集まる舞台として知られた、北海道開催のビッグレースだ。

例年複数のG1馬が出走するレースではあるものの、今年は桜花賞馬のステレンボッシュ1頭のみ。昨年までのメンバーと見比べると、小粒感は否めない。

その理由としては、コースに大きな特徴があると言える。小回りの洋芝で展開の紛れが多い札幌記念に比べ、新潟記念はスローからの瞬発力勝負。地力が問われやすく、直線の長い東京や京都外回りの秋G1へ向かう馬にとってこれ以上ない始動戦の舞台となる。

来年も秋へ向けた始動戦を札幌記念ではなく新潟記念を選んでいく有力馬陣営も増えていくことだろう。メンバーレベルの高さから「スーパーG2」とも称される札幌記念に匹敵するような、レースレーティングを今後記録する可能性も考えられる。

天皇賞(秋)やエリザベス女王杯に向けた重要な前哨戦に?

新潟記念を制したシランケドは、次走として天皇賞(秋)かエリザベス女王杯のどちらかへ向かうと報じられている。新潟記念から秋G1への直行で結果を残すことができれば、重要な前哨戦として意味合いが強くなっていく可能性すら感じさせる。

来年以降も豪華メンバーを維持することができれば、将来的なG2昇格やスーパーG2化も見えてくる。薄暮開催の拡大や条件の大幅変更など大きな転換期を迎えた夏競馬が来年以降、どのような意味合いを持つか。

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加藤雅大 Masahiro Kato

スポーティングニュース日本版コンテンツライター。愛知県出身。大学卒業後、テレビ局でスポーツ番組の制作に携わり、幅広い競技に関わる中でスポーツの奥深さに魅了される。現在はスポーツライターとして活動しており、競馬を中心に、野球やサッカーも担当。レースや試合の展望はもちろん、データや戦術、駆け引きといった要素にも注目。多角的な視点からスポーツの魅力を伝える。