右膝不安の大関・琴櫻、九州場所出場は4年前の“成功体験”が影響!? ロンドン公演も追い風になるか

柴田雅人 Masato Shibata

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時事

■右膝に不安残るも初日から出場

大相撲九州場所は、本日9日にいよいよ初日を迎える。多くの力士にファンの期待が集まる一方、コンディション面が不安視されている力士もいる。その一人が東大関・琴櫻だ。

琴櫻は9月の秋場所13日目、西横綱・豊昇龍を立ち合いから一気の攻めで寄り切る見事な相撲を見せたが、この一番で右膝を痛めたことにより、翌14日目に日本相撲協会に「右膝内側側副靱帯損傷で全治3週間の見込み」との診断書を提出し休場。10月に行われたロンドン公演も不参加だったが、この間は再生医療を受けるなど回復に努めていたといい、その甲斐もあって今場所は初日から出場予定となっている。

力士にとって膝の故障は特に悪化や再発のリスクが高いこと、2日に行われた二所ノ関一門の連合稽古で東横綱・大の里相手に3勝12敗と今一つ調子が出ていないことなどから、SNS上では今場所の琴櫻の先行きを案じるファンの声も少なからず見受けられる。ただ、本人や師匠で父親の佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は、4年前の経験も元に決断を下した可能性がある。

■4年前は左膝故障から見事復活

琴櫻は2021年秋場所で、3勝6敗と黒星が先行していた10日目に「左膝内側側副靱帯、左膝内側半月板損傷により全治10日間の見込み」との診断書を協会に提出して休場。次の九州場所は初日から出場するも、6勝9敗に終わり2場所連続で負け越した。ただ、2022年初場所では11勝4敗の好成績を残すと、そこから2024年九州場所まで、新型コロナの影響で7勝の状態から休場を強いられた2022年名古屋場所以外はすべて勝ち越しを記録するなど復活を果たしている。

後年の報道により判明したことだが、当時琴櫻は医師からは手術を勧められていたというが、長期休場を回避するために再生医療を選択したところ断裂した靭帯が再生。これに徹底的なリハビリや相撲スタイルの見直しが加わったことで、キャリアを揺るがすような大アクシデントが“怪我の功名”につながったという。

今の琴櫻の怪我は左右の違いはあれど4年前と似通っているが、佐渡ヶ嶽親方は靭帯は切れていないと説明したことが10月初旬に伝えられている。そのため、4年前と同様に取り組めば土俵に上がりながら復活していけると判断し、今場所の出場を決めたという線もゼロではないかもしれない。

■不参加だったロンドン公演も追い風に?

大関は横綱に次ぐ地位として、優勝争いに絡むような好成績が求められる。琴櫻も出場する以上は、最低でも2ケタ勝利はクリアして大関の責任を果たしたいところだが、怪我で不参加だったロンドン公演が追い風になる可能性もある。

ロンドン公演は全5日間のチケットが完売するなど盛況の内に終わったが、参加力士は本格的な稽古はほとんどできなかった上、帰国後は時差ぼけに悩まされた力士も少なくなかったという。そのため、ほとんどの幕内力士は普段より少ない稽古量で九州場所に臨むとみられるが、日本で調整を続けてきた琴櫻にとっては好都合な展開ともいえそうだ。

琴櫻は昨年の九州場所では、豊昇龍との千秋楽相星決戦を制し14勝1敗で悲願の初優勝を果たした。いいイメージが色濃く残っているであろう同地で、復活の狼煙を上げるような活躍を見せることはできるだろうか。

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Editorial Team