存在感示した先場所から一転… 「足に力が入っていない」解説陣からも心配の声挙がる実力派力士は

柴田雅人 Masato Shibata

存在感示した先場所から一転… 「足に力が入っていない」解説陣からも心配の声挙がる実力派力士は image

時事

大相撲秋場所は19日、6日目の取組が行われた。同日終了時点で優勝争いトップに立つのは、6戦全勝の西横綱・豊昇龍。5勝1敗で東横綱・大の里、東大関・琴櫻、平幕6名が追う展開となっている。

上位を中心に優勝争いが徐々に本格化しつつある一方で、ここまでまさかの苦戦を強いられている力士もいる。東小結・高安はその代表格だ。先場所は西小結で2ケタ10勝を挙げており、今場所も同等以上の成績なら九州場所での大関とりもあり得た。ところが、今場所は初日から6連敗を喫し、早くも大関とりの足固めに失敗した格好だ。

西小結・安青錦と対戦した6日目は、立ち合いから激しい突き押しを見せるも相手を引かせられず、逆に懐に入られ寄り切られた。先場所対戦では右腕で安青錦の左腕を抱え込んで動きを止めると、相手がとっさに繰り出してきた内無双をこらえつつ、肩越しに右上手を掴んでそのまま投げ捨てたが、今回の対戦ではそうした力強さは今一つ感じられなかった。

現在35歳の高安は初土俵を踏んだ2005年春場所から先場所まで、幕内在位84場所、三役在位19場所(関脇8場所、小結11場所)、大関在位15場所を記録している。突き押しや左四つを武器に、長らく幕内の舞台で存在感を発揮している実力派力士の一人だ。

一方、キャリアの中では両足太もも、左腕、腰、左大胸筋など、様々な箇所の故障に見舞われている。特に腰の故障はこれまでに何度も再発しており、8月の夏巡業でも一時休場を強いられたことは記憶に新しいところだろう。

今場所に入ってからは、高安の故障に関する情報は特に伝えられていない。だが、ここまで6連敗と元気がないこと、取組後に土俵を降りる際に慎重に足を動かすような様子が見受けられることを踏まえると、コンディション面に何らかの問題が発生している可能性もゼロではなさそうだ。

実際、高安の現状についてはNHK大相撲中継の解説陣からも心配の声が挙がっている。4日目に正面解説を務めた舞の海秀平氏(元小結)は「相撲を見ていても足に今一つ力が入っていないな、踏ん張りが弱いなという感じがしますね」と、下半身に問題があるように見えるとコメント。

また、5日目の正面解説を務めた琴風浩一氏(元大関、前尾車親方)も「どこが痛いとか、どこが悪いなんてことは言いたくないんだとは思いますけど、やっぱりこの5連敗を見ていると、高安らしからぬ相撲かなっていう気はしますよね」と、明らかに精彩を欠いていると指摘している。

高安は6日目終了時点では休場の情報はなく、7日目以降も出場を継続する見込みだ。既に大きく黒星が先行してしまっているが、ここから巻き返しを見せることはできるのだろうか。

✍️この記事はいかがでしたか? 読後のご意見・ご感想をぜひお聞かせください

柴田雅人 Masato Shibata

スポーティングニュース日本版スポーツコンテンツライター。福岡県出身。幼少期から相撲、野球、サッカーを中心に幅広くスポーツを観戦。大学卒業後からライター活動を開始し、主にスポーツ記事の企画立案、取材、執筆などに携わる。現在もスポーツ観戦が一番の趣味で、複数競技を同時に視聴することもしばしば。