■今年は三役目前の位置まで到達
大相撲の世界において、力士たちの序列は年6場所行われる本場所の成績によって決められる。各力士は自己最高位、さらにはその上を目指して日々稽古に励んでいる。
その自己最高位を今年、6場所中5場所で更新した力士がいる。それが幕内・伯桜鵬だ。2024年九州場所終了時点での自己最高位は西前頭9枚目(2023年秋)だったが、2025年は東前頭15枚目で臨んだ初場所で10勝を挙げると、春場所で東前頭9枚目となり自己最高位を更新。その後も7枚目、4枚目、2枚目と番付を上げ続け、九州場所では東前頭筆頭に。迎えた同場所は6勝9敗に終わったものの、2026年に新三役昇進が実現する可能性は十分といえるだろう。
伯桜鵬が所属する伊勢ヶ濱部屋は九州場所後の12月3日、公式YouTubeチャンネル『伊勢ヶ濱部屋 SUMO』に動画を投稿。その中で、本人は「目標にしてた三役目前の番付にようやく来たんですけど、上位の壁に跳ね返されてしまったことは本当に悔しい。今の自分の実力を受け入れて、やるべきことをしっかりやっていきたいと思います」とリベンジを誓っている。来年は言葉通りの活躍を期待したいところだが、一筋縄ではいかなそうな不安要素もある。
■過去の古傷が再発?
角界では現在冬巡業が行われているが、故障を理由に休場している力士が複数名いる。伯桜鵬もその一人で、「右上腕二頭筋腱長頭断裂」が休場理由となっている。
気がかりなのはこの右腕故障が、過去の故障の再発・悪化によるものである可能性があることだ。伯桜鵬は2024年夏場所で右腕の上腕二頭筋を断裂すると、2025年秋場所で再び同箇所を負傷。上腕二頭筋付近が膨れ上がるなど明らかに普通ではない様子だったが、本人はどちらの場所も休場はせず。痛み止めやテーピングなどを使用して出場を続け、秋場所では最終的に勝ち越している。
ただ、直後の九州場所で負け越したこと、右腕故障を理由に冬巡業を休場していることを考えると、強行出場のツケが回っているという可能性も決してゼロではなさそうに思える。大事をとっての休場ならいいが、そうでない場合は来年初場所も苦しむかもしれない。
■対上位の相性も改善必須か
もう一つ不安なのは、乗り越えるべき壁である上位力士たちに現状分が悪すぎる点だ。来年初場所は横綱が豊昇龍・大の里、大関が琴櫻・安青錦、関脇が霧島・高安、小結が王鵬・若元春or一山本という顔ぶれになると予想されているが、この中で伯桜鵬が勝ち越しているのは高安(3勝1敗)、一山本(1勝0敗)の2名のみだ。
その他については、大の里(2勝2敗)、霧島(2勝2敗)は五分で豊昇龍(1勝3敗)には負け越し。琴櫻(0勝3敗)、安青錦(0勝4敗)、王鵬(0勝3敗)、若元春(0勝3敗)の4名相手には一度も勝てていない。新三役を目指す上では各力士に対する相性の改善、特に全敗中の4名の対策は必須ではないだろうか。
当の伯桜鵬は同場所では、前頭3枚目付近になるとみられている。勝ち越せば新三役が見えてくる位置からスタートする2026年、不安が杞憂に終わるような活躍を見せることはできるだろうか。
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