「それが横綱のやることか?」横綱・豊昇龍、高安戦でのダメ押しに苦言相次ぐ 過去には親方が“病院送り”になったケースも

柴田雅人 Masato Shibata

「それが横綱のやることか?」横綱・豊昇龍、高安戦でのダメ押しに苦言相次ぐ 過去には親方が“病院送り”になったケースも image

時事

大相撲九州場所は20日、12日目の取組が行われた。結びの一番では西横綱・豊昇龍対西小結・高安の一戦が行われたが、豊昇龍が“ダメ押し”を行ったとして物議を醸した。

豊昇龍は前日まで9勝2敗、高安は5勝6敗で迎えた一番。立ち合い、豊昇龍がもろ手、高安がかちあげ気味にぶつかると、そこから激しい突っ張り合いに発展。お互いに相手の顔面も何発か張るなどかなり気合いの入った攻防になったが、豊昇龍がタイミングを見て左四つの体勢に組み止めると、右を巻き替えつつ前に出て土俵外へ押し出した。

ただ、豊昇龍は土俵外へ出た高安をもう一度右手で強く押し土俵下へ転落させると、土俵上から睨みつけるような様子も見せた。幸いにも高安にどこか痛めた様子は見られなかったが、取組後の報道によると協会審判部は決着後のひと押しをダメ押しと判断し、豊昇龍を呼び出し口頭で注意したという。

豊昇龍にとって今回の一番は、2敗をキープした東横綱・大の里、東関脇・安青錦に並走するため絶対に負けられない一番だった。最後の塩に分かれる前に高安とにらみあいを演じるなど、取組前からかなり気合いが乗っていた様子だったが、激しい突き押しの応酬になったこともあり熱くなりすぎてしまった面があったようだ。

ただ、ダメ押しは食らった力士や土俵下の親方・観客が怪我をするリスクが高い行為であり、番付や理由にかかわらず好ましくないとされている。過去には2016年春場所中日の白鵬(第69代横綱)対嘉風(現中村親方)戦で、取組決着後に白鵬に土俵下へ投げ飛ばされた嘉風が井筒親方(元関脇・逆鉾)と激突。これにより同親方は左脚骨折の重傷を負い、翌日から休場を強いられたというケースもある。

今回の一件については、SNS上でも「せっかく良い相撲で勝ったのに、その後が勿体なかった」、「最後のダメ押しいらんやろ。それが横綱のやることか?」、「顔を張られて頭に血がのぼったんだろうけど、最後のダメ押しと睨みつけは要らないよ」といったファンからの苦言が相次いでいる。不必要な行為で評価を下げないためにも、今後は心は熱く、頭は冷静にという点を意識していく必要がありそうだ。

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