ついに横審からも苦言が! 九州場所でも物議醸した観戦マナー問題、“出禁”もやむなしの段階へ?

柴田雅人 Masato Shibata

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時事

■横審も相次ぐマナー違反を問題視

今年の大相撲は23日に行われた九州場所千秋楽をもって本場所全日程が終了した。今年は豊昇龍、大の里と2名の横綱が誕生し、九州場所で自身初優勝を果たした安青錦の大関昇進も確実と大いに盛り上がった年になった。

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一方、土俵上が盛り上がる傍らで度々話題になったのが、会場に詰め掛けた観客のマナー違反だ。九州場所でも横綱土俵入り中や立ち合い前のタイミングで大声や奇声、指笛が飛ぶ場面が何度もあった。いくつかの事例は当メディアでも取り上げたが、ファンからは「本当に最近の相撲では大声や指笛が非常に多くなっている」、「TV観戦でさえ不愉快だった。場所の周りのお客さんは相当迷惑だったでしょう」、「モラル低下にがっかりです。悲しいけど処罰も必要かと思います」といった苦言や批判が多数寄せられた。

また、千秋楽翌日の24日には、同日に開かれた横綱審議委員会(横審)の定例会合内でも観客のマナーを問題視する意見が出たことが報じられている。角界外部のファンのみならず、内部関係者の間にも危機感が広がっていることの表れといえるだろう。

■今以上に求められる注意喚起の徹底

改めて触れておくが、大相撲観戦時のマナーや禁止行為について定める『相撲競技観戦契約約款』では「相撲場内外でみだりに気勢を上げ騒音を出す行為」、「相撲競技の円滑な進行または他の観客の観戦を妨げまたは妨げる虞のある行為」などは禁止されており、主催者である日本相撲協会の判断次第では退場処分となる可能性があることが明記されている。この約款は協会公式サイトで誰でも内容を閲覧することが可能だが、現段階では今一つ周知が進んでいるとは言い難い状況のようだ。

であるならば、これまでとは違った方法で周知を進めるというのがまず考えられる改善策だ。本場所来場者に配布される取組表に約款の内容を表記する、取組の合間に定期的に場内アナウンスを入れる、協会公式Xで注意喚起のポストを固定しておくなどやれることは多そうだ。

また、協会公式YouTubeチャンネルの一つ『親方ちゃんねる』を通じて、現役親方にマナー遵守を呼び掛けてもらうのもいいかもしれない。引退後も高いファン人気を誇る湊川親方(元大関・貴景勝)、北陣親方(元小結・遠藤)などは適役ではないだろうか。

■厳しく対応する方が効果大?

注意喚起の徹底で事態が改善されれば万々歳だが、毎場所物議を醸している現状を考えるとどこまで効果が出るかは不透明といえる。また、注意喚起で自らを改めるような観客は、そもそもマナー違反を犯さないという面も否めないだろう。協会はもはや注意喚起を呼び掛けるのではなく、毅然とした対応を取っていく段階に入っているといえるのかもしれない。

ファンの意見として多く見受けられるのが、マナー違反を犯した観客には退場処分だけでなく、有期限or無期限の入場禁止処分を下すべきという意見だ。これは約款では可能と記されている対応で、“一発出禁”は少々重い感もあるが、もし複数回違反した場合なら妥当ではないか。処分を下した際は、公式サイトや各メディアを通じてその旨を広く公表すればさらに効果がありそうだ。

また、近年は本場所観戦ツアーを利用するファンも少なくないが、もし違反者がツアーで訪れていた場合は、ツアーを管轄する会社・組織にもチケットの割り当てを減らす、ツアー自体を打ち切りにするといったペナルティを与えるのも一手といえる。処分を恐れる管轄側が、今以上にツアー客に注意喚起を行うという形で自浄作用が働く展開も期待できるのではないか。

大相撲はここ数年人気が高まり続けており、九州場所では若貴ブームに沸いた1995年以来30年ぶりに、一般前売り初日でチケットが完売している。観客のマナー問題は盛り上がりの弊害ともいえるが、協会がどのような対策をとるかも今後の人気を左右するポイントになりそうだ。

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