大相撲九州場所は10日、2日目の取組が行われた。結び前の一番では東横綱・大の里と東前頭筆頭・伯桜鵬が戦ったが、この一番で伯桜鵬が見せた動作が物議を醸している。
焦点となっているのは、仕切りが制限時間いっぱいを迎えた後の場面。両力士は仕切り線の土を足で払いつつ向かい合うと、大の里が先に腰を下ろして両手を地面につく。伯桜鵬も後を追うように腰を下ろしたが、そこから両腕を軽く回しつつ一瞬中腰のような体勢をとると、左手をつく際にも体を前後にゆらゆらさせた。
すると、大の里は呼吸を合わせられずに混乱したのかつっかけてしまい、最初の立ち合いは不成立に。2度目の立ち合いでも伯桜鵬は同様の動きを見せたが、大の里は今度は呼吸を合わせて立つと、得意の形ではない左四つになりながらも厳しい攻めで伯桜鵬を寄り倒した。
結果的には大の里が順当に勝利を収めた形だが、取組後に『東スポWEB』(東京スポーツ新聞社)が報じたところによると、九重審判長(元大関・千代大海)は伯桜鵬の立ち合いについて「手をつくかなと思ったら、立ち上がったり。あんなのはしちゃいけない。横綱が手をついて待っているんだから」と注文をつけたとのこと。
また、日本相撲協会公式YouTubeチャンネルが2日目終了後に投稿した取組動画のコメント欄にも「横綱が先に両手をついて待っているのに、あの立ち合いはない。何を考えているのか、理解に苦しむ」、「さすがに手つきが遅い。あれじゃ相手と呼吸合わないよ」、「せっかく力はあるのだから、今のうちに矯正してほしい」といったファンからの苦言が寄せられている。
相撲の取組において、立ち合いは勝敗の8割以上を左右するとされるほど重要な要素とされている。そのため、呼吸を合わせる過程である程度駆け引きが発生することは常であり、伯桜鵬にも立ち合いで少しでも優位に立ちたい思いがあったものと推測される。
ただ、今回の場合は先に両手をつき動かずに構える大の里に対し、フェイントをかけるような動作が目立ったことで印象が悪くなってしまった形に。また、伯桜鵬は今場所の幕内では3番目に若い22歳ながら三役目前まで来ていること、対大の里戦は先場所まで通算2勝1敗と勝ち越していたことなどから、小細工をせずに正攻法で臨んでほしかったという思いを抱いたファンも少なくなかったようだ。
思わぬ形でケチがついた伯桜鵬だが、3日目以降にどのような影響を及ぼすことになるのだろうか。
✍️この記事はいかがでしたか? 読後のご意見・ご感想をぜひお聞かせください