■約1年前は互角の戦い演じる
2025年11月に行われた九州場所後に新大関へ昇進した安青錦は、同年1月の初場所時点では西十両5枚目だった。同場所では千秋楽まで優勝争いに加わり12勝をマークするなど、その後の快進撃を予感させるような活躍を見せた。
その初場所で安青錦とともに優勝争いに参戦し、千秋楽で激闘を演じた力士がいる。それが当時東十両14枚目だった生田目だ。11勝3敗同士で迎えた一番、立ち合いから頭を下げ低く当たった安青錦に対し、生田目は顔面から胸元にかけて強烈な突っ張りを繰り出し応戦。約20秒に渡る攻防の末、最後は安青錦が土俵下へ押し出し勝利した。
取組終了後、安青錦は土俵へ戻ろうとする生田目に手を差し伸べると、生田目も頭を下げて謝意を示した。結果的にはどちらも優勝には届かなかったが、力を出し切った両力士の将来に大いに期待が持てる好取組だった。
■思わぬ誤算で三段目まで転落…
両力士の激闘からは1年が経とうとしているが、安青錦はあれから期待以上の出世を果たし、角界の看板力士の仲間入りを果たしつつある。一方、生田目は膝の故障・手術の影響で、西三段目28枚目まで番付を落としている。
生田目はかねてから膝に不安を抱えていた中、2025年春場所中に左膝前十字靱帯損傷、左膝内側半月板損傷を負い一時休場。さらに、所属する二子山部屋で6月に行われた合宿中にも患部が悪化したため、師匠の二子山親方(元大関・雅山)の説得もあり、万全の状態に戻すために手術を受けることになった。
術後の生田目は同年名古屋場所~九州場所まで3場所連続で全休しており、2026年初場所も現時点では全休濃厚とみられている。ただ、二子山親方は部屋の公式YouTubeチャンネル『二子山部屋 sumo food』(登録者53.7万人、2025年12月27日現在)が2025年7月11日に投稿した動画の中で、生田目の休場期間について4場所程度になるという旨を語っているため、2026年春場所では戻ってこられる見通しだ。
■試練乗り越え復活果たせるか
生田目は身長176センチ、体重168キロの体格から繰り出す突き押しを武器に、初土俵を踏んだ2020年初場所から約4年で十両昇進を果たした。まだ23歳であること、膝に不安を抱えながらも十両までは上がれたという点を考えると、長期離脱後の伸びしろは十分といえるだろう。
また、所属する二子山部屋では生田目が離脱して以降、十両・三田(2025年九州場所で右膝前十字靭帯損傷を負い長期離脱)や幕内・狼雅(左短橈側手根伸筋起始部損傷、左肘外側側副靱帯損傷、左上腕骨外顆骨挫傷を理由に冬巡業を休場)など他関取にも故障が相次いでいる。部屋としても暗いムードを吹き飛ばすため、明るいキャラクターでファン人気も高い生田目には何としても復調してほしいところだろう。
生田目は将来的には、師匠の現役時代の四股名である「雅山」を継げるような力士になることを目標に掲げている。思わぬ試練により遠ざかる形となっているが、2026年はうっぷんを晴らすような活躍を見せたいところだ。
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