大相撲九州場所は19日、11日目の取組が行われた。前日まで優勝争いトップタイだった東関脇・安青錦は、東前頭5枚目・義ノ富士に突き出しで敗れた。
安青錦は9勝1敗、義ノ富士は7勝3敗で迎えたこの一番。立ち合い、安青錦はいつも通りに頭を低く下げて鋭く当たりにいったが、こちらも頭から勢いよく前に出た義ノ富士に突き起こされる。そこから回転のいい突っ張りで追撃され、ほとんど体勢を立て直せないまま土俵外へ突き出された。
前日まで東横綱・大の里と並んでいた安青錦は一歩後退したが、この後の取組で西横綱・豊昇龍が2敗を守った一方で大の里は敗れたため、この3名が2敗で並ぶことに。一方、3敗にも義ノ富士、西前頭14枚目・時疾風、東前頭15枚目・錦富士の3名が並んでおり、優勝争いは混沌の様相を呈している。
賜杯の行方に大きな影響を与えた今回の一番だが、この日NHK大相撲中継で解説を務めた湊川親方(元大関・貴景勝)は「(立ち合い)当たって、2発目はあごをグイっと上げてから、次の肩口がよかったですね。肩は前にも後ろにも動かないので、威力を全部吸収してしまうんですね。押して動こうとしても、硬い部分ですので(突きを)当てやすい」と指摘。安青錦の上体を起こした後、突き押しの威力が伝わりやすい肩付近に狙いを絞った義ノ富士の戦略が吉と出たという。
また、同親方は「休まずどんどん突いたことがシンプルによかったと思いますね。安青錦関に立て直す時間、余裕を与えなかったことがこの勝負のポイントだったと思います」と、義ノ富士が攻めの手を緩めず最後まで前に出続けたことも安青錦にとっては苦しかったと述べている。
安青錦は新入幕を果たした2025年春場所から先場所まで4場所連続で11勝をマークし、一気に大関候補に名乗りを上げている力士。対戦力士の多くが苦戦を強いられる中、義ノ富士が非常に有効な対策を示した格好だが、今後の戦いにどのような影響を及ぼすのだろうか。
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