大相撲九州場所は17日、9日目の取組が行われた。幕内の取組開始前にはいつも通りに横綱土俵入りが行われたが、同日はその最中に客席の一部ファンが指笛を吹くという残念なワンシーンがあった。
場内に指笛が鳴り響いたのは、東横綱・大の里の土俵入り中のこと。露払いに西小結・高安、太刀持ちに東小結・隆の勝を従えて土俵に上がった大の里は、その場でそんきょして柏手を2回打った後に土俵中央へ進む。正面を向いて再び柏手を2回打ち、四股を踏むために右足を上げようとした時、突然客席から指笛が飛んだ。
すると、大の里は右足を上げた際に少しぐらついた様子を見せ、何とか四股は踏めたものの場内は少しざわついたような雰囲気に。ただ、そこからは特に変わった様子はないまま土俵入りを終え、その後の取組では西前頭4枚目・欧翔馬をわずか2秒ほどで土俵外へ押し出し完勝している。
横綱土俵入りは本場所の初日から千秋楽まで、横綱が出場する日は必ず行われる。「よいしょー!」という観客の掛け声とともに四股を踏んだ横綱が右手(雲竜型)、もしくは両手(不知火型)を広げながらせり上がる姿は大相撲を象徴する光景の一つだ。これを目当てに来場しているファンも少なくないが、今回指笛を飛ばしたファンもテンションが上がって思わず吹いてしまったのかもしれない。
ただ、数キロ以上の重さがある綱を締めた状態で一連の動作を行うことは肉体的にも精神的にも負担が大きいとされており、過去には白鵬翔氏(元横綱)が取組を2番行うのと同じくらい消耗すると語ったことも知られている。また、観客も横綱が四股を踏む時以外は静かに見守ることが望ましいとされているが、それ以外のタイミングで大声や指笛を飛ばすことは横綱の集中力を削ぎ、所作の乱れや失念などを招くリスクにつながりかねない。
大相撲観戦時のマナーや禁止行為について定める『相撲競技観戦契約約款』では、「相撲場内外でみだりに気勢を上げ騒音を出す行為」、「相撲競技の円滑な進行または他の観客の観戦を妨げまたは妨げる虞のある行為」などは禁止されており、主催者である日本相撲協会の判断次第では退場処分となる可能性もある。9日目終了時点では、今回の指笛について大の里が何かコメントしたとは特に伝えられていないが、心当たりがあるファンには今一度節度が求められるところだ。
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