直前に優勝しながら負け越した力士も!? 大相撲初場所、一山本・義ノ富士が初挑戦する「平幕筆頭」の壁

柴田雅人 Masato Shibata

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Jiji Press

■自己最高位を更新して平幕筆頭へ

日本相撲協会は22日、来年1月に予定される大相撲初場所(1月11日初日、両国国技館)の新番付を発表した。平幕(前頭)の最上位である筆頭には、東に一山本、西に義ノ富士が入った。

一山本は東前頭8枚目で臨んだ先の九州場所で、11勝4敗の好成績をマークし敢闘賞を獲得。同5枚目の義ノ富士も東横綱・大の里、東関脇・安青錦(現大関)を下しての9勝6敗で技能賞に選ばれるなど活躍し、双方ともに自己最高位を更新した。

来たる初場所は他力士の成績との兼ね合いもあるが、勝ち越しなら新三役昇進が見えてくる。どちらの力士もこのチャンスを逃さずにいきたいところだが、初めて平幕筆頭を務める力士は壁に跳ね返されるケースが少なくない。

■後の横綱・大関でも一筋縄ではいかず

令和の大相撲では先場所までに、自己最高位を平幕筆頭に更新して本場所を迎えた力士が16名いる。その16名の当場所成績は以下の通りだ。

朝乃山 :7勝 8敗  (2019年名古屋:東前頭筆頭)
大栄翔 :8勝 7敗  (2019年九州 :東前頭筆頭)
豊山  :5勝10敗 (2020年7月  :西前頭筆頭)
隆の勝 :10勝5敗 (2020年秋  :西前頭筆頭)
霧馬山 :3勝12敗 (2020年九州 :東前頭筆頭)
若隆景 :7勝 8敗  (2020年九州 :西前頭筆頭)
豊昇龍 :5勝8敗2休(2021年秋 :東前頭筆頭)
宇良  :4勝11敗 (2022年春  :西前頭筆頭)
翔猿  :10勝5敗 (2022年秋  :東前頭筆頭)
翠富士 :7勝8敗  (2022年秋  :西前頭筆頭)
琴ノ若 :9勝6敗  (2022年九州 :西前頭筆頭)
錦木  :10勝5敗 (2023年名古屋:東前頭筆頭)
熱海富士:6勝9敗  (2024年初  :西前頭筆頭)
王鵬  :6勝9敗  (2024年九州 :東前頭筆頭)
安青錦 :11勝4敗 (2025年名古屋:東前頭筆頭)
伯桜鵬 :6勝9敗  (2025年九州 :東前頭筆頭)

現在は大関まで番付を上げている安青錦を含め4名が2ケタ勝利、2名が1ケタ勝ち越しを記録した。一方、その他の11名はいずれも負け越しを喫している。

11名の中には朝乃山、霧馬山(現霧島)、豊昇龍など、後に横綱・大関まで出世する力士も含まれている。朝乃山は直前の場所で自身初優勝を飾りながら、その勢いを維持できず惜しくも勝ち越しを逃がすという形になった。

直近のケースである伯桜鵬も勝ち越しには届かず、以前から目標にしている新三役昇進はお預けに。ただ、当該場所では豊昇龍、小結・欧勝馬を破るなど上位力士に全く歯が立っていないわけではないため、早い段階でのリベンジ達成が期待されるところだ。

■両力士は高い壁を乗り越えられるのか

大相撲の番付では一般的に、平幕筆頭~3枚目付近が上位総当たりの地位とされている。中でも、筆頭は初日や2日目にいきなり横綱戦が組まれることも少なくないため、出鼻をくじかれその後も調子に乗れずという負の流れに巻き込まれやすい面がある。

また、目と鼻の先にある新三役の座を掴みたいという思いが気負いや焦りにつながったり、そもそも上位力士と渡り合えるような実力がまだついていないといった不安要素も考えられる。角界では古くから「番付が一枚違えば家来同然、一段違えば虫けら同然」という言葉があるが、三役と平幕筆頭の間にも高い壁が立ちはだかっているのだ。

その壁に挑む一山本、義ノ富士は安定感でいえば、初土俵を踏んだ2024年夏場所から10場所連続勝ち越し中の義ノ富士の方が目立っている。一方、一山本も先場所、実に2年ぶりに2ケタ11勝をクリアするなど勢いは上々。約2週間後に迫る初場所では、両力士ともに壁を乗り越えるような活躍を期待したいところだ。

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