■大アクシデント乗り越え幕内へ帰還
11日に初日を迎える大相撲初場所(東京・両国国技館)では、3名の力士が十両から幕内に番付を上げて臨む。中でも、並々ならぬ思いを抱いているのが、唯一の再入幕力士である朝乃山だ。
朝乃山は当時大関だった2021年夏場所中、日本相撲協会が定める新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン違反が発覚。これにより6場所出場停止処分を受け、一気に三段目まで番付を落とした。
さらに、幕内へ戻って戦っていた中、2024年名古屋場所で左膝に大怪我を負うという大アクシデントが発生。同場所5日目~2025年初場所千秋楽まで全休を強いられ、再び三段目まで番付が下落するという想定外の試練に見舞われた。
復帰後の朝乃山は三段目を1場所、幕下、十両をそれぞれ2場所で通過し再入幕までこぎつけたが、本来の実力や地位を考えると幕内復帰は通過点に過ぎない。本当の意味で復活を果たすためには、むしろここからが正念場といえるだろう。
■本人が明かした左膝の現状は
約1年半ぶりに幕内で戦う初場所を迎えるにあたり、最も気になるのは左膝の状態。朝乃山はこれについて、元関脇・豊ノ島大樹氏の公式YouTubeチャンネル『豊ノ島のお相撲ちゃん SUMO』が2日に投稿した動画の中で、当時の経緯も含めて言及している。
朝乃山が故障したのは、前出の名古屋場所4日目に行われた幕内・一山本戦でのこと。立ち合いから一山本に押し込まれた朝乃山は、左足を俵にかけて踏ん張ろうとする。するとその直後、朝乃山の左膝が突然内側に曲がった。転倒した朝乃山は四つん這いの状態で顔をしかめ、駆けつけた親方らの肩を借りながら花道を下がった。
朝乃山は「押されて土俵に残ろうとしたんですけど、左足だけで片足軸になってしまって、そこに全体重がかかって『バコッ!』っていったんです。自分でも音が分かったので。もう頭の中真っ白でしたね。起き上がろうとしたんですけど、起き上がったり歩いたりはできなくて」と、負傷前後の状況を生々しく回顧。
続けて、「帰って(取組の)VTRを見たんですけど、(故障したのは)膝なのに、立ち上がろうとする時にずっと足を押さえてたんです。多分アドレナリンが出てて、どこが痛いのかも分からなかった」と、どこを痛めたのか分からないほどの精神状態に陥っていたことを明かした。
同場所後に手術を受け無事に成功するも、術後は痛みのあまり足を動かせず、リハビリも相当苦しかったという朝乃山。ただ、腐らず地道に取り組んだ甲斐もあってか、「(2025年)九州場所も、何も悪化することなく終わることができた。筋力も計ったんですけど、だいぶ右の方に数値も近づいてきてるので、よくなってきてます」と状態は上向きだという。
■更なる復活へ前進あるのみ?
朝乃山は出場停止処分を経て再入幕を果たした2023年夏場所は、東前頭14枚目で12勝3敗の好成績を残した。下位力士に対して格の違いを見せつける形になったが、同16枚目で迎える初場所も同様の数字が求められているといえる。
期待通りの成績を残すためのポイントは多々あるが、最も重要なのは前に出る相撲をどれだけ貫けるかだ。大怪我を負った一山本戦もそうだったが、安易に引いたり、土俵際で無理に粘ったりするとその分身体への負担は大きくなる。怪我の再発という最悪の展開を避ける意味でも、積極的に前に出て逆に相手に負担を押しつけたいところだ。
初場所へ向けた調整はここまで順調だと伝えられている朝乃山。今年の目標に掲げているという三役復帰、そしてその先へ、初場所から始まる勝負の日々を乗り越えられるだろうか。
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