相撲ファンザワつく旧宮城野部屋勢の大量改名、なぜ炎鵬だけは“据え置き”に? いばらの道が待つ可能性も

柴田雅人 Masato Shibata

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Jiji Press

日本相撲協会は22日、来年1月に予定される大相撲初場所(1月11日初日、両国国技館)の新番付を発表。これと同時に、伊勢ケ濱部屋に所属する力士が一斉に四股名を改名し、相撲ファンの間で大きな話題となっている。

今回改名となったのは以下の9名で、良ノ富士以外の8名は旧宮城野部屋で入門した力士となっている。

幕内 ・伯桜鵬 (→ 伯乃富士)
幕下 ・聖白鵬 (→ 寿之富士)
幕下 ・天照鵬 (→三重ノ富士)
幕下 ・松井  (→  嵐富士)
三段目・泉翔鵬 (→  泉富士)
三段目・川副  (→ 花の富士)
三段目・美   (→  美富士)
三段目・大ノ蔵 (→ 蔵ノ富士)
序二段・良ノ富士(→ 翠河富士)

旧宮城野部屋は2024年3月、部屋で起きた暴力問題の影響で一時閉鎖処分に。これに伴い、師匠の前宮城野親方(元横綱・白鵬)や所属力士らは同年4月から伊勢ケ濱部屋に転籍し、処分の解除を待つことになった。

ところが、1年が経過しても部屋の再興にメドが立たないことなどから、前宮城野親方は2025年6月に相撲協会を退職。空いた年寄株は現宮城野親方(元横綱・旭富士)が継承したが、同親方は前宮城野親方の退職会見の中で、将来的には旧宮城野部屋勢の力士に年寄株を譲渡し部屋を再考させたいという意向を口にしていた。

そんな中、旧宮城野勢の四股名が一斉に“上書き”されたことを受け、SNS上では「軒並み四股名を改名したのはビックリした」、「ここに来て宮城野勢の多くが富士に改名とは」、「全面否定はしないけど、『鵬』が消えていく寂しさは計り知れない」といった驚きや落胆の声が飛び交っている。

一方、今回の一件では旧宮城野勢の中で唯一、幕下・炎鵬だけ改名がなかった点も注目されている。炎鵬は前宮城野親方の内弟子として角界入り(2017年春場所で初土俵)した経緯があるだけに、前師匠への愛や思い入れが人一倍強かったのかもしれない。

また、炎鵬は初場所の結果次第では十両復帰の可能性があるが、もしこれが実現すると、一般的な年寄株襲名の条件である「関取在位通算30場所以上」を満たすことに。そのため、一部ファンの間では将来的に「宮城野」を継承して部屋を再興する可能性を考慮して、炎鵬の改名は見送られたのではと予想する声も散見される。

ただ、仮にこの予想が現実になったとして、旧宮城野勢がどれだけ部屋に戻るかは不透明。場合によっては、“裸一貫”でのスタートを強いられる展開もあり得る。加えて、前出の条件では既存の部屋の継承は可能な一方、新たに部屋を創設することは認められないため、「一時閉鎖中の部屋」に対する相撲協会の判断次第では継承NGとなる可能性もゼロではないだろう。

今回の改名の理由については現段階では明らかになっていないが、いずれにせよ力士たちの本場所に影響するような事態にならないことを祈るばかりだ。

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