指笛の次は“行司気取り”…? 大相撲九州場所、宇良対高安戦に水を差した残念すぎるマナー違反

柴田雅人 Masato Shibata

指笛の次は“行司気取り”…? 大相撲九州場所、宇良対高安戦に水を差した残念すぎるマナー違反 image

時事

大相撲九州場所は19日に11日目の取組が行われたが、西前頭3枚目・宇良対西小結・高安戦で、またも一部観客による残念なマナー違反があった。

宇良、高安ともに前日まで5勝5敗で迎えたこの一番は、立ち合い高安がもろ手で突き起こそうとしたが、頭を低く下げてかいくぐった宇良が懐に入る。そこから左を差しつつ頭をつけて前に出ると、後退する高安の左足を右手で抱え込みながら土俵外へ。決まり手渡し込みで白星を先行させた。

勢い余って土俵下へ落下するほどの宇良の攻めに館内が沸いた一番だったが、マナー違反があったのは仕切りを終え立ち合いへ入るタイミングでのこと。行司が軍配を返し、向かい合った両力士がさあ腰を下ろそうかというところで、客席から突然「のこった!」と大声が飛んだ。

大相撲観戦時のマナーや禁止行為について定める『相撲競技観戦契約約款』では、「相撲場内外でみだりに気勢を上げ騒音を出す行為」、「相撲競技の円滑な進行または他の観客の観戦を妨げまたは妨げる虞のある行為」などは禁止されており、主催者である日本相撲協会の判断次第では退場処分となる可能性もある。今回の「のこった!」が禁止行為に該当することは明白だが、ただ大声を発する以上の悪質さがある。

大相撲の取組は対戦する力士はもちろん、様々な役職の人たちが関わって成立している。その中でも、行司は取組の判定や円滑な進行に携わる極めて重要な役職であり、上は立行司から下は序ノ口格行司まで全員が日々真摯に業務を行っている。前出の「のこった!」は彼ら行司が取組中に発するかけ声の一つだが、それを行司以外の人間が口にすることは取組に悪影響を及ぼしかねない迷惑行為であり、勝負に集中している行司や力士への敬意も欠いていると言わざるを得ない。

今年の角界では夏場所6日目の豊昇龍対玉鷲戦で両力士が腰を降ろした直後、客席から突然「はっけよい!」という大声が飛び、つられた他の観客から笑い声も挙がるという状況が発生。ファンはもちろん、同日のNHKラジオ中継で解説を務めていた中村親方(元関脇・嘉風)も「最高潮の雰囲気になって館内が静まり返っている時にお客さんからの『はっけよい!』。これは力士に敬意がないですね。こういうのはやめてほしいですね」と厳しく指摘したことが話題となっている。そこからわずか半年ほどで似たような事例が出てしまったというのも嘆かわしいところだ。

今場所は今回の一件以前にも、横綱土俵入り中の指笛や立ち合い前の大声・野次などが目立っている。観客の質が低下していることは明白だが、相撲協会側も何らかの対策を講じなければいけない段階にきているのかもしれない。

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Staff Writer