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【フィギュアスケート】ミラノ五輪のメダルにトリプルアクセルは必要か 女子シングルの現状を徹底解説

ながさきひな Hina Nagasaki

【フィギュアスケート】ミラノ五輪のメダルにトリプルアクセルは必要か 女子シングルの現状を徹底解説 image

Jiji Press

全日本選手権が終わり、ミラノ五輪の日本代表が確定した。女子シングルは坂本花織、中井亜美、千葉百音が選出。その中でトリプルアクセル(3A)を跳ぶのは中井のみだ。かつて勝利の鍵といわれた3Aだが、この3人のなかで中井が特に有利という印象はない。今回のオリンピックにおいて3Aはどの程度武器になるのか。4回転を跳ぶ選手が減った今だからこそ注目したい3Aについて、他国の選手も比較しながら解説する。

トリプルアクセルとは

アクセルとは簡単に言うと半回転多いジャンプのことだ。つまりトリプルアクセルは3回転半。ジャンプは後ろ向きに踏み切って後ろ向きに着氷するのがセオリーだが、アクセルは前向きに踏み切って後ろ向きに着氷する。これが半回転多く回る仕組みだ。

唯一前向きに踏み切るジャンプのため、他と感覚が異なり得手不得手がはっきりわかれるジャンプでもある。選手によっては、ダブルアクセルよりもトリプルジャンプが得意というケースもあるほどだ。

全日本選手権でのトリプルアクセル

今年の全日本選手権は3Aを跳ぶ選手が非常に多く、特に若手選手の挑戦が目立った。しかし、武器として活かすことができた選手ばかりではない。上位10人中5人がプログラムに3Aを組み込んでいるが、上位を占めているとはいえない結果となっている。

順位選手名3Aの有無
1坂本花織 
2島田麻央
3千葉百音 
4中井亜美
5青木祐奈 
6岡万佑子
7渡辺倫果
8樋口新葉 
9三宅咲綺
10三原舞依 

実際に、今回5連覇を達成した坂本花織は3Aを跳ばない。フィギュアスケートは変化の激しいスポーツだ。5年もあれば、採点基準やそれに伴う戦い方の傾向、さらに選手層も大きく変わる。その中で、3Aや4回転を跳ばずに勝ち続けるのは至難の業だ。採点基準など賛否両論あることも多いが、坂本の出来栄え点の合計は時に4回転1本分に匹敵することもあり、技ひとつひとつの質の高さがわかる。

だからこそ、出来栄え点に伸びしろがある若手選手は、3Aを武器に上位を狙っていくというのが日本の現状だ。今回の結果を見ても、3Aを跳んだ選手の上位3人がジュニア、または今季からシニアの若手選手である。

しかし、3Aが跳べるだけではフリープログラムで結果を出すことが難しい。上位にいる島田や中井は出来栄え点もしっかり獲得しており、3Aのみで高得点を獲得しているわけではないのだ。

国際大会のトリプルアクセル

オリンピックや世界選手権では、国内の予選を勝ち抜いてきた3Aジャンパーが出そろうことになる。実際にアメリカ代表入り確実と思われる(現時点では全米選手権が終わっていないため代表未確定)アリサ・リウとアンバー・グレンは3Aを跳ぶが、細かな加点も獲得できる選手だ。ちなみに、日本代表のパーソナルベスト(PB)と比較すると以下の通り。

選手名3Aの有無PB
坂本花織 236.09
アリサ・リウ入れる予定226.67
中井亜美227.08
千葉百音 217.23
アンバー・グレン215.54

もちろんこの点数はPBであり今季の点数ばかりではないが、質の高い3Aを跳ぶ選手の中で坂本や千葉が健闘していることがよくわかる。

北京オリンピックは4回転を跳ぶ選手が多くいた一方で、質の高い3Aを跳ぶ選手は少なかった。回転不足で減点された3Aより、坂本の跳んだ2Aのほうが得点が高かったほどだ。しかし現在は4回転を跳ぶ選手が少なく、質の高い3Aを跳んでいる選手が多い。シーズン後半は、既に質の高い3Aを跳んでいる選手がどこまで出来栄え点をのばせるかに注目だ。

また、かつてジャンプ天才といわれていたアリサ・リウは、12月16日にインスタグラムで3Aの着氷動画を公開。


オリンピックにはプログラムに入れてくると思われる。そうなると点数的にも坂本の最大のライバルとなるだろう。

まずは2026年1月6日から始まる全米選手権に注目したい。

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Editorial Team