【フィギュアスケート】女子シングル勝利の鍵、アクセルジャンプを徹底解説!

ながさきひな Hina Nagasaki

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Jiji Press

フィギュアスケートの見どころであるジャンプ。技の種類に詳しくない方でも「トリプルアクセル」という単語は聞いたことがあるだろう。4回転が当たり前となっても、トリプルアクセルは結果を左右する重要なジャンプである。

なぜアクセルは昔も今も試合運びのポイントとして扱われるのか。今シーズン注目のアクセルジャンパーは誰なのか。

この記事では、4回転時代だからこそ知っておきたいアクセルジャンプの情報をわかりやすく解説している。

アクセルジャンプとは

アクセルとは簡単に言うと半回転多いジャンプのことだ。例えば、ダブルアクセルは2回転半、トリプルアクセルは3回転半を回って着氷する。ジャンプは後ろ向きに踏み切って後ろ向きに着氷するのがセオリーだが、アクセルの踏み切りは前向きだ。これが半回転多く回る仕組みである。

前向きに踏み切ることで他のジャンプと感覚が異なるため、得手不得手がはっきりわかれるジャンプでもある。選手によっては、ダブルアクセルよりもトリプルジャンプが得意というケースもあるほどだ。

トリプルアクセルの昔と今

トリプルアクセルが高難度だった時代

4回転時代となった今、トリプルアクセルが大技という印象は薄い。

しかし、多くの女子選手が4回転を跳ぶようになる前までは、トリプルアクセルがもっとも基礎点の高いジャンプだった。だが、フィギュアスケートは出来栄え点が加算されるため、不安定なトリプルアクセルより安定したダブルアクセルのほうが点数が高いことがある。そのためトリプルアクセルは諸刃の剣であり、点数を大幅に上げる可能性を秘めた起爆剤のような扱いであった。

浅田真央だけじゃない!歴代のアクセルジャンパーたち

そのような時代に、プログラムに積極的に取り入れていた国のひとつが日本だ。

4回転時代に突入する前までのトリプルアクセル成功者をみると、日本人が圧倒的に多い。世界で初めての成功者である伊藤みどり、持ち味はスピンでありながらトリプルアクセルも成功させた中野友加里、皆さんご存じの浅田真央など、多くの日本人がトリプルアクセルを武器にしていたことがわかる。

また、日本の傾向として初期に成功者を輩出していることや、アメリカの長洲未来選手の両親が日本人であることなどにも注目したい。このことからフィギュアスケート界では、アクセルジャンプは日本人と相性が良いといわれている。

4回転時代前までの3A成功者一覧(公式試合認定順)

伊藤 みどり日本
トーニャ・ハーディングアメリカ
中野 友加里日本
リュドミラ・ネリディナロシア
浅田 真央日本
エリザベータ・トゥクタミシェワロシア
紀平 梨花日本
長洲 未来アメリカ
アリサ・リュウアメリカ
アリョーナ・コストルナヤロシア

 4回転時代のトリプルアクセル

現在は、4回転を試合に入れる女子選手が増えたことで、ただトリプルアクセルを跳ぶだけでは大きな差がつかなくなってきた。

しかし、出来栄えで減点されることが多い4回転ジャンプへの対抗策として、3回転ジャンプの質を磨く傾向があり、全体的にトリプルアクセルをクリーンに跳ぶ選手が増えている。

また、アクセルジャンプを跳ばなくてはならないとき、4回転が跳べる選手は必然的にトリプルアクセルを選びがちだが、出来栄え点を狙ってダブルアクセルを選ぶ選手もいる。

プログラムの中にアクセルをどう組み込むのか、ミラノオリンピックでも勝利の鍵を握るジャンプとなるだろう。

今シーズン注目したいアクセルジャンパー

最後に、オリンピックにむけて把握しておきたいアクセルジャンパーを紹介する。

特に女子選手はショートプログラム冒頭に組み込むことが多いので、試合1発目のジャンプに注目だ。

坂本花織

トリプルアクセルを跳ばずに多くの試合を制してきた選手。質の高いダブルアクセルは、満点に近い出来栄え点を安定的に出すことができる。北京オリンピックでは、ロシア選手のトリプルアクセルの得点を上回る、圧巻のダブルアクセルを披露した。

アリサ・リウ

ジュニア時代にトリプルアクセルと4回転ルッツを成功させた、アメリカの天才ジャンパー。北京オリンピック後に引退をしたが、昨シーズンより復帰し、世界選手権優勝。ミラノオリンピックにむけて、トリプルアクセルの再習得へ動きだしていることが明かされた。

アンバー・グレン

現在25歳とベテランながら昨シーズン最も勢いがあった、アメリカの遅咲きスケーター。昨シーズンのグランプリファイナルでは、6名中5名が日本代表という状況で見事頂点に立った。背が高く、ダイナミックなトリプルアクセルが持ち味。

ミハイル・シャイドロフ(男子シングル)

珍しい組み合わせの連続ジャンプを跳ぶ、カザフスタンの選手。昨年成功させた「トリプルアクセル-シングルオイラー-4回転サルコウ」の連続ジャンプが話題となった。今シーズンもジャンプに注目が集まる選手。

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ながさきひな Hina Nagasaki

フリーランスライター。音楽大学出身、元公務員という経歴をいかし、音楽、福祉、地元紹介など幅広いジャンルの記事を執筆。スポーツ記事では、主にフィギュアスケートを担当。幼少期に村主章枝選手の高速スピンに衝撃を受けて以来、毎シーズン観戦している。夏は情報収集、冬は試合観戦のため年中繁忙の日々。