【フィギュアスケート】ミラノ五輪でロシア復活!日本勢の順位へどのように影響するのか?

ながさきひな Hina Nagasaki

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9月に入り、各地で地方大会が開催されるなど、シーズンの始まりを感じさせるニュースが増えてきた。

昨年12月、ISUはロシアとベラルーシの選手に対して、身体検査などの条件付きで国際大会への参加を許可。強豪ロシアの復活は、日本や各国のメダル候補へどのように影響するのだろうか。

ロシア選手のオリンピック出場枠は1名ずつ

今年3月の世界選手権に出場できなかったロシア勢がオリンピックに出場するには、選考会で出場権を獲得する必要がある。この選考会は9月21日まで北京で行われていた。

結果としてロシア勢は、男女シングルともに優勝で予選通過。演技を確認すると、ジャンプの難易度をあえて落とした安全な構成で挑んでおり、余力を残して優勝した印象だ。

(ペア・アイスダンスについてはロシア選手のオリンピック出場なし。)

この予選会は「枠取り」なので、オリンピックにどの選手が派遣されるか未定。先述したようにロシア選手の国際試合参加は身体検査などの条件付きなので、まずはその条件をクリアできる選手でなくてはならない。

また、今回ロシアに与えられたオリンピック出場枠は1。強豪国は3枠がセオリーであり、前回の北京オリンピックもロシアからは3人の選手が出場している。(以下、北京五輪に出場したロシア代表3人の写真。)今回ロシアは、1枠をめぐって国内で激しい代表争いをしなければならない。

日本のライバルになるのはロシアかアメリカか

高難度のジャンプを武器に、主に女子シングルでの活躍が目覚ましかったロシア選手だが、ミラノオリンピックでの勢力図にはどのように影響するのだろうか。

今回ロシアからは男女シングル各1人の出場なので、日本選手にも表彰台のチャンスがあることは確かだが、気になるのはやはりトップ争いに食い込むことができるかだ。

ロシアはここ数年の国際大会に参加していないためレベルの比較が難しいが、ロシア国内の試合を確認するとやはり4回転ジャンプを武器に戦う選手が多い。

対して日本には、4回転を安定的に成功させている女子選手はいない。

難度の高いジャンプを武器に戦う選手として怪我からの復活が期待されていた紀平梨花選手は、先日SNSで中部選手権の棄権を発表。実質、オリンピック選考から外れることなった。

しかし、多くの日本選手はジャンプの出来栄え点を稼ぐ戦い方を得意としており、状況によっては高難度のジャンプ以上の得点源となる。 実際に北京オリンピックでは、ロシア選手のトリプルアクセルよりも坂本花織選手のダブルアクセルのほうが高い得点を獲得している。

北京オリンピック女子SP アクセル点数比較

最終順位選手名(国)ジャンプ点数
1アンナ・シェルバコワ(ロシア)2A4.29
2アレクサンドラ・トルソワ(ロシア)3A3.20
3坂本 花織(日本)2A4.81
4カミラ・ワリエワ(ロシア)3A5.26

また、オリンピック予選会でのロシア選手の得点を見ると、レベルを落とした構成だったとはいえ、歴代最高点と比べて低い印象だ。ロシアは近年のISU公式記録がないため、本来のレベルが反映された得点の予測ができないが、それを考慮しても北京オリンピックのシーズンよりは国ごとの点数差がない。

さらに、近年勢いを取り戻してきたアメリカ勢の活躍も素晴らしく、アリサ・リュウ選手、アンバー・グレン選手も手ごわいライバルだ。

いずれにしても、採点基準の見直しの影響や、トリプルアクセルを跳べる選手が増えたことにより、北京オリンピックよりも4回転ジャンプの有無による点差が大きくない傾向にある。

オリンピックに派遣されるロシア選手は誰になるのか、日本選手やその他優勝候補の選手がロシア選手とどう戦っていくのか、注目が集まる。

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ながさきひな Hina Nagasaki

フリーランスライター。音楽大学出身、元公務員という経歴をいかし、音楽、福祉、地元紹介など幅広いジャンルの記事を執筆。スポーツ記事では、主にフィギュアスケートを担当。幼少期に村主章枝選手の高速スピンに衝撃を受けて以来、毎シーズン観戦している。夏は情報収集、冬は試合観戦のため年中繁忙の日々。