マンチェスター・シティの“三獅子”がイングランド代表トーマス・トゥヘル監督に送ったメッセージとは?

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イギリス中で今月末に発表される財務大臣の予算案についてあれこれ議論が交わされている中、マンチェスター・シティのサポーターたちには一つだけ確かな慰めがある。「死と税金、そしてアーリング・ハーランドのゴール」だ。

試合前の記者会見で、古巣ボルシア・ドルトムントとのチャンピオンズリーグ戦(4−1でシティ勝利)を前にしたハーランドは、今季自身の得点記録を更新できるかと問われた。「傲慢に聞こえるかもしれないけど、どの記録のこと?」と、彼は笑みを浮かべて答えた。

そしてその夜、彼はさらに記録を一つ加えた。29分、ジェレミー・ドクからのパスを叩き込んだハーランドは、3つの異なるクラブ(RBザルツブルク、ドルトムント、シティ)でチャンピオンズリーグ5試合連続得点を記録した史上初の選手となった。改めて、この事実がどれほど異常なことかを考えてみてほしい。

ハーランドは来年、初のワールドカップに臨む予定で、北米でもさらなる記録に挑むことになるだろう。一方、彼のイングランド人チームメートたちはそう単純ではない。

シティのイングランド代表は何人いる?

トーマス・トゥヘルは「安定」を好む。それは10月の代表ウィークで全く同じメンバーを招集したことからも明らかだ。そのため、ジュード・ベリンガムやフィル・フォーデンのような選手たちは招集外となった。今週のセルビア戦とアルバニア戦に向けた選考も、消化試合とはいえ意味深いものになるだろう。

昨シーズンの代表戦では、イングランド代表にマンチェスター・シティの選手は1人もいなかった。これは、チーム全体が2024-2025シーズンに苦戦したことの象徴であり、2005年10月以来初めてのことだった。ちなみにシティの選手たちは先週のハロウィンパーティーを「I Know What You Did Last Season(お前が去年何をしたか知っている)」と題して皮肉を込めて開催した。

ジョン・ストーンズはその後、戦列に戻っている。彼のコンディションは依然として繊細で、9月の代表戦では負傷を理由に辞退し、ペップ・グアルディオラを苛立たせた。しかし、10月には両試合に出場している。

トゥヘルは選考においてクラブでのパフォーマンスを重視するタイプで、今季のシティではルベン・ディアスとヨシュコ・グヴァルディオルが主にセンターバックを務め、ストーンズは出番を待つ立場が続いていた。それでも、ドルトムント戦での彼のパフォーマンスは、85キャップを誇るこのベテランが今なおイングランド最高のセンターバックであることを静かに証明した。ボール保持時も、守備時もだ。

前半、シティが主導権を握っていた時間帯には攻撃をスムーズに組み立て、後半にヴァルデマール・アントンが1点を返して3−1とした場面では、ストーンズが最後の局面でブロックして事態を収拾した。

この記事は「トゥヘルにメッセージを送る」と題しているが、ストーンズが大声を出す必要はない。ウインクと微笑みだけで十分だ。トーマスには伝わっている。彼の身体さえ裏切らなければ、飛行機のチケットは確実に用意されるだろう。

フィル・フォーデンは代表に呼ばれるのか?

10月の注目は、ベリンガムが肩の手術から復帰したばかりで招集外になったことに集まったが、フィル・フォーデンもまた復調していた。2023-2024シーズンのPFA年間最優秀選手とFWA年間最優秀選手に輝いた男が、低迷の1年を経て再び輝きを取り戻していたのだ。

彼の不調は、キャリア最高のシーズンの直後に迎えたユーロ2024での不発から始まった。デンマーク戦やオランダ戦ではポスト直撃のシュートを放つも得点には至らず、それが彼の分岐点となった。

だが、水曜夜のドルトムント戦で、25歳の彼がゴール左下を狙った2本のシュートはどちらもネットを揺らした。2点目は彼のシティでの通算104ゴール目にして、特に芸術的だった。

フォーデンは代表で45試合4ゴールと物足りない数字だが、イングランドに彼のような選手はいない。特に今季のように、ポジションをやや下げて中盤のテンポを支配し、味方を生かす役割を担っているフォーデンは、グアルディオラの指導を受けて約10年で進化を遂げた存在だ。

最初のゴールの直前には、印象的な場面があった。自陣に下がってストーンズからパスを受け、完璧なトラップでターンし、ドルトムント中盤のプレスをかわして一気に攻撃を組み立てたのだ。トゥヘルはこの一連のプレーを見ておくべきだろう。

ニコ・オライリーのポジションは?

Nico O'Reilly

Getty

トゥヘルがイングランド代表監督として迎えた初陣では、アーセナルの新星マイルズ・ルイス=スケリーが代表デビューを果たし、アルバニア戦でゴールを決めて2−0の勝利に貢献した。

だが、もしトゥヘルが「中盤出身のサイドバックが攻撃的に前進するスタイル」を好むのなら、彼の理想像はニコ・オライリーだ。先月、怪我人の代わりに初めてA代表に招集されたこのシティの若手に、トゥヘルはもう一度チャンスを与えるはずだ。

オライリーはいまだポジションを学習中で、試合序盤にはよく相手に斜めのロングボールを送られて試される。昨季のFAカップ決勝では、クリスタル・パレスのエベレチ・エゼに決勝ゴールを許した場面もその典型だった。

しかし、今季のドルトムント戦で危険なカリム・アデイェミに競り勝ったように、彼は吸収が早い。また、攻撃のセンスを発揮すべき場面も理解している。左ハーフスペースをドリブルで突破する姿には、かつて年代別代表で10番を背負っていた面影がある。

ペナルティエリアへの飛び出しのタイミングも天性のものだ。週末のボーンマス戦では3−1の勝利に貢献する見事なゴールを決め、この日もハーランドの前を駆け上がって決定機を演出した。

ワールドカップイヤーには、毎回 「彗星のごとく現れる選手」 がいる。シーズン開幕時には、誰も代表入りを予想しなかったが、翌夏には人生を一変させる存在。ニコ・オライリーは、その“ボルター”になるかもしれない。

原文:Man City's three Lions send message to England boss Thomas Tuchel
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)

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