ジャック・グリーリッシュのマンチェスター・シティとの別れは、月曜の朝にファブリツィオ・ロマーノの「Here We Go」で確定情報となりつつある。1年間の期限付き移籍でエバートンに向かう予定で、彼はブラムリー・ムーア・ドックで新時代の顔となることを楽しみにしているはずだ。
過去2シーズン、イングランド史上初の1億ポンドプレーヤーとして2023年の三冠達成の象徴となったグリーリッシュだが、本人もペップ・グアルディオラも、思い描いた活躍にはならなかったことに少なからず落胆している。
今夏は10度目のイングランド王者にとって刷新の夏になるはずだった。ライアン・シェルキ、タイアニ・ラインデルス、ライアン・アイート=ヌーリ、ジェームズ・トラフォードが加わり、1月にはアブドゥコディル・クサノフ、オマル・マルムーシュ、ニコ・ゴンサレスも加入。いずれも将来性豊かな選手で、21歳のブラジル人ウィンガー、サヴィーニョもその一人だった。
サポーターの間では、ケビン・デ・ブライネに続き、ベルナルド・シウバ、イルカイ・ギュンドアン、マテオ・コバチッチら経験豊富な中盤のうち数人が退団するだろうと予想されていた。
しかし、プレミアリーグ開幕戦(ウォルヴァーハンプトン戦)を5日後に控えた今、ベルナルド・シウバは新キャプテンに就任し、ギュンドアンとコバチッチも在籍中(ただしコバチッチは治療中)。一方、サヴィーニョはトッテナムから関心を寄せられ、本人もノースロンドン行きに前向きな姿勢を見せている。では、シティで何が起きているのか。
シティはなぜサヴィーニョを売るのか?
現時点では、必ずしも売るわけではない。
ロマーノによると、トッテナムは初回のオファーとして4,325万ポンド(約50億円)を提示したが、シティはこれを拒否。5000万ポンド(約67億円)であれば本格的な交渉に応じる姿勢だという。
今夏の市場価値を示す例として、23歳のノニ・マドゥエケがチェルシーからアーセナルへ移籍した際の金額は5200万ポンドであり、チェルシーはかつてのシティの若手ジェイミー・ギッテンスをドルトムントから獲得するためにも同額を用意している。

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5000万ポンド前後の金額であれば、昨夏にCFG傘下のトロワからラ・リーガのジローナ(同じCFG傘下)でのレンタルを経て3080万ポンドで獲得したサヴィーニョに対し、シティにとっては十分な利益となる。
比較的低めの額で入札を始めるのは珍しい交渉術ではない。そして、トッテナムとシティの評価額の差は大きくないため、現時点で最も重要な情報はサヴィーニョ本人が移籍に前向きであることだ。
これはグアルディオラも見逃さないだろう。彼はマンチェスターでの指揮期間を通じて、「選手が移籍を望み、クラブが納得できるオファーを持ってきた場合は送り出す」という方針を貫いてきた。
例外はある。代表的なのは、数シーズンにわたり去就が注目されたベルナルド・シウバだ。2023-2024シーズンにカイル・ウォーカーをバイエルンから守り切ったこともあり、彼はプレミアリーグ4連覇の一員となった。ただし、そのウォーカーも2024-2025シーズン途中、ACミランへ期限付き移籍する形でチームを去っている。
むしろ、このウォーカーの事例が、グアルディオラに「一度でも移籍を考えた選手は、すでに半分チームを去っているようなもの」という信念を強めさせるかもしれない。今回のサヴィーニョ移籍は、フェラン・トーレスがマンチェスターでの18か月を経て2022年1月にバルセロナへ移籍したケースや、昨年のフリアン・アルバレスのアトレティコ・マドリードへのクラブレコードでの売却に似ている。
いずれの場合も、グアルディオラは彼らを高く評価し、残留を望んでいたが、本人が移籍の意思を示した時点で道を阻むことはしなかった。
マンチェスター・シティはサヴィーニョを売るべきか?
昨季、全公式戦48試合で3得点を記録した選手を倍額で売却できるなら、迷う必要はないように思える。しかもサヴィーニョは合計3087分間プレーしており、ジェームズ・マカティのように出場機会不足が移籍理由になるわけでもない。
とはいえ、ウィンガーとしての全盛期はまだ数年先であり、プレー面では好材料も多かった。Optaによると、昨季の全公式戦でサヴィーニョのドリブル数(161回)とプログレッシブキャリー(172回)を上回ったのはジェレミー・ドクだけだ(ドリブル数:216回、プログレッシブキャリー:239回)。ファイナルサードでのボール奪取数もブラジル人ウインガーの27回を上回ったのはベルナルド・シウバの28回のみだった。
得点数の少なさは11アシストで相殺できる。そのうち6本はアーリング・ハーランドへのもので、デ・ブライネ退団後、またハーランドが他のサポートアタッカーとうまく連携できていない時期に、このコンビネーションをしていたことは軽視すべきではない。

ただし、ここで重要なのは、シティには「サポートアタッカー」が非常に多いということだ。もしサヴィーニョがグリーリッシュや(おそらく)マカティと共に今月エティハドを去っても、グアルディオラにはドク、フィル・フォーデン、ライアン・シェルキ、オマル・マルムーシュ、オスカー・ボブがハーランドの両翼を務める選択肢として残る。
この中で純粋なウィンガーはドクだけだが、昨季終盤やクラブワールドカップでのグアルディオラの戦術、攻撃的左SBライアン・アイト=ヌーリの加入、右SBマテウス・ヌネスの起用継続などを踏まえると、幅をサイドバックで確保する戦術を再び採用する可能性は高い。
このポジション争いの過密さは、シティが三冠達成後に例外的なスカッド計画の緩みを見せた証拠とも言える。役割が曖昧な状況が、サヴィーニョのトッテナム移籍につながっている可能性もある。逆に言えば、ハーランドへのアシスト役が空席の今に移籍希望を見せることは、監督の評価を下げる要因にもなり得る。
さらに、UEFAチャンピオンズリーグ登録メンバー25人のうち、外国籍枠は17人までという規定もある。クラウディオ・エチェベリが予定通りレンタルで移籍し、第3GKシュテファン・オルテガが移籍先を見つけたとしても、依然として外国籍枠は18人となる。
サヴィーニョが放出候補の筆頭だったわけではないが、月曜には、彼の移籍が成立した場合に備えて、レアル・マドリードのロドリゴやRBライプツィヒのシャビ・シモンズといった代役候補にシティが関心を示しているとの報道も出ている。
いずれにせよ、開幕直前になってもこれほど多くの駒が動く可能性を抱えているグアルディオラのシティは珍しい。
サヴィーニョの移籍金はいくらだったのか?
シティは2024年7月、トロワからサヴィーニョを3080万ポンド(約4,150万ドル)で獲得したと報じられている。
契約期間は5年で、週給は基本4万ポンド(約5万3850ドル)とされている(Capology調べ)。
原文:Why would Man City sell Savinho? Reasons for Pep Guardiola to green-light shock Spurs transfer bid
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)
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