プレミアリーグの夏の移籍市場は幕を閉じたものの、現在も契約先を持たない実力派選手が市場に名を連ねている。移籍期間外であっても即戦力として加えられるのがフリーエージェントの特徴であり、クラブにとっては補強の切り札となり得る存在だ。一方で選手にとっても、停滞したキャリアを再び軌道に乗せることができる絶好の機会となる。
本記事では、いまだ新天地が決まっていない注目のフリーエージェント5選手を紹介する。
注目のフリーエージェント
デレ・アリ
かつてヨーロッパ屈指の逸材として将来を嘱望されたデレ・アリだが、今夏コモ(イタリア)との契約が解除されて以来、所属クラブがない状態が続いている。
トッテナムで10代の頃から輝きを放ち、イングランド代表としても国際舞台で名を馳せたが、近年はケガやコンディション不良に悩まされ、本来の実力を発揮できない時期が続いている。
それでも彼のポテンシャルは疑いようがなく、新天地の選択はキャリアを再び上昇気流に乗せられるかどうかを左右する重要な決断となりそうだ。
アレックス・オックスレイド=チェンバレン
かつてリバプールやアーセナルで名を馳せた攻撃的MFは、ベシクタシュとの契約終了に伴い無所属となった。
すでに複数クラブから関心が寄せられており、中にはチャンピオンシップのバーミンガム・シティの名前も挙がっているが、いまだ所属クラブが決まっていない。過去のパフォーマンスを取り戻すべく、最適なクラブ選びを進めている。
クリスティアン・エリクセン
デンマーク代表の名手も、マンチェスター・ユナイテッドとの契約満了をもってフリーエージェントに。
鋭い視野と卓越した技術を武器とするプレーメーカーは、現在所属クラブを持たないものの、コンディション維持のためスウェーデンのクラブで練習を重ねる姿が目撃されている。その豊富な経験と鋭い視野は、特に中盤の創造性を必要とするクラブにとって、間違いなく大きな戦力となるだろう。
セルヒオ・レギロン
スペイン代表経験を持つ左サイドバックのスペシャリストは、トッテナムとの契約を終了し新たな挑戦の場を模索している。
これまでマンチェスター・ユナイテッドやブレントフォードなどへのローン移籍も経験しており、プレミアリーグでの豊富な実戦経験を持つ。スピードと攻撃参加を得意とする彼のプレースタイルは、ディフェンスラインの厚みを増したいチームにとって大きな戦力となるだろう。
冨安健洋
そして、我らが日本代表DFも注目のフリーエージェントの一人である。7月にアーセナルとの契約を双方合意のうえで解除して以来、負傷によるリハビリに専念しており、今も無所属の状態が続く。
2021年のアーセナル加入以降、数々のビッグマッチで安定したパフォーマンスを発揮し、対人守備の強さや戦術理解の高さは世界でもトップレベルと評されてきた。度重なる負傷により出場機会は限られていたものの、センターバックから両サイドまで最終ラインならどのポジションでもこなせる万能性を備えているのも彼の強みである。
現在はリハビリ中ながらも、彼の実力と年齢を考えれば、リスクを受け入れられるクラブにとっては魅力的な補強候補であるだろう。

フリーエージェントが“お買い得”な理由
フリーエージェントは、現代サッカーにおける重要な存在だ。高額な給与や契約金を必要とするケースもあるが、最大の魅力は移籍金が不要な点にある。高騰を続ける移籍市場ではトップ選手の移籍金が数億単位にのぼることも珍しくない。その中で同等の実力を持つ選手を無償で獲得できるのは、大きな戦略的メリットとなる。
浮いた資金を若手選手への投資やチーム全体の強化に充てられるため、特に予算の限られたクラブには理想的な手段だ。さらに、契約前にコンディションを直接確認でき、交渉も代理人を介してスムーズに進められる。売却元クラブが存在しないことで話が早く、仮に期待外れの結果に終わっても損失は給与や契約金にとどまる。
「フリー」という言葉は決してコストゼロという意味ではないが、その柔軟性とリスクの低さは非常に魅力的だ。フリーエージェント市場は、今やクラブの補強戦略において欠かせない選択肢となっている。
原文:Who are the best free agents still available for your Premier League club to sign
翻訳:小山亮(スポーティングニュース日本版)
✍️この記事はいかがでしたか? 読後のご意見・ご感想をぜひお聞かせください
関連記事
- 2025年夏の移籍市場ランキング|補強に最も資金を投じたクラブ&売却で稼いだクラブは?
- プレミアリーグが8月の月間MVP候補を発表 エキティケやグリーリッシュらが選出
- 2025夏、欧州サッカーの移籍市場はいつまで?