UEFAチャンピオンズリーグは世界で最も視聴されているクラブチームの大会であり、フォーマット、日程、予選方式にわずかな変更があるだけでも、何百万人もの人々が細部までチェックする。
しかし、今回は小さな変更ではない。レアル・マドリードが2024年に史上最多となる15度目の優勝を果たした後、大会は大規模な改革を行い、フォーマットと日程を完全に刷新した。これにより、クラブやリーグは大きな構造的変更に対応するため、スケジュールを調整する必要が生じた。
スイスモデルの導入によって、ファンや監督はヨーロッパの大陸選手権に対する考え方を変えることを求められている。
2024-2025シーズンに新フォーマットを採用した最初の大会は大成功を収め、世界中から高い評価を得た。試合のドラマ性、競争の緊張感、スリリングな結果により、クラブはすべての試合に全力を注ぐことになった。最終的にPSGが優勝し、ヨーロッパの頂点に立った。
ここではスイスモデルがどのように機能するのか、誰に影響を与えるのか、そしてチャンピオンズリーグのフォーマットがどのように変わるのかを詳しく解説する。これらの変更が良いものなのか悪いものなのかを判断するのは読者次第だ。
スイスモデルとは何か? チャンピオンズリーグからグループステージが廃止
従来のフォーマットでは、32チームがグループステージに参加し、4チームずつ8つのグループに分かれていた。各グループの上位2チームが16チームによるノックアウト方式のトーナメントに進出していた。
しかし2024年からは、いくつかの消化試合を減らし、よりハイレベルで注目度の高い試合を増やすことを目的に、ヨーロッパの大会は全く新しいフォーマットを導入した。
新フォーマット「スイスモデル」では、グループステージは「リーグステージ」と呼ばれ、36チームが一つの大きなテーブルにまとめられる。各チームは難易度の異なる相手と8試合を行い、従来通り勝利で3ポイント、引き分けで1ポイントを獲得する。
対戦カードは抽選で決まり、36チームは9クラブずつ4つのポットに分けられ、各クラブはそれぞれのポットから2チームずつと対戦する。
8試合終了後、上位8チームが直接ラウンド16に進出し、9位から24位のクラブはホーム&アウェー方式のプレーオフに回る。
プレーオフの勝者がラウンド16に進み、敗者はヨーロッパから完全に脱落し、ヨーロッパリーグやカンファレンスリーグのノックアウトステージにも回れない。
そこから先は従来通り、16チームによるノックアウト方式に戻る。まとめると以下の通りだ。
- 36チームによる単一テーブルのリーグフェーズ
- 各チームは4つポットから2チームずつ、計8試合を実施
- 上位8チームがラウンド16に進出
- 9位から24位はホーム&アウェーのプレーオフ
- プレイオフ2戦合計の勝者8チームがラウンド16進出し、負けたチームは敗退
チャンピオンズリーグのフォーマットは変わったのか?
この変更により、2023-2024シーズンが従来のフォーマットで行われる最後の大会となった。これまでは32チームが4チームずつ8グループに分かれ、各グループの上位2チームがノックアウトラウンドに進出していた。

なぜフォーマットが変更されたのか?
スイスモデルを採用した理由はいくつかある。この方式は、チェスやバドミントン、一部のeスポーツ、トレーディングカードゲーム(マジック・ザ・ギャザリング、ポケモン、遊戯王、グウェントなど)でも多様な形で採用されている。
まず、試合数が増えることで放映権収入が増える。従来のグループステージでは32チームで96試合が行われ、その後半分のチームが敗退していた。
新方式では、36チームがリーグフェーズで144試合を行い、さらにプレーオフで16試合が追加される。つまり、試合数は従来より64試合増え、66.7%の大幅な増加となる。
大会全体では125試合から225試合へとほぼ倍増する。しかし、この試合数の大幅増加は、すでに国内リーグ、カップ戦、国際大会で過密スケジュールとなっているクラブや選手にさらなる負担をかけることになる。
さらに、新フォーマットはチャンピオンズリーグに出場できるクラブを増やすための枠も追加する。これによりビッグクラブがさらに参加しやすくなるが、競技性の観点では物議を醸している。しかし、大規模なファン層をさらに取り込むことで視聴者数が拡大し、放映権の価値も一層高まる。
チャンピオンズリーグの出場枠は拡大したのか?
2024-2025シーズンからは、予選から決勝まで、出場クラブ数がわずかに増えた。
特にリーグフェーズは32チームから36チームに拡大され、4枠が追加された。ひとつはUEFAランキング5位の国内リーグ(現在はフランス)に与えられ、これまでの「リーグフェーズ3枠+プレーオフ1枠」から「リーグフェーズ4枠」に増えた。
さらに、小国リーグの優勝クラブが争う「チャンピオンズパス」の予選ラウンドに1枠が追加された。
そして最も物議を醸すのが、UEFAクラブ係数で最も高いが、通常の条件では出場できない2クラブに与えられる追加枠だ。これはヨーロッパリーグまたはカンファレンスリーグに出場できるクラブのみが対象で、完全に欧州大会圏外のチームは対象外となる。
この仕組みはビッグクラブを優遇しており、UEFAがスーパーリーグ構想を進めようとするクラブをなだめるための策と批判されている。
原文:What is the Swiss Model in Champions League? UEFA's new UCL format replacing group stage explained
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)
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