審判はサッカーの試合において大きな権限を持っており、90分間を通じて秩序を保ち、試合の流れを管理している。
審判が下す重要な処分のひとつが、反則に対するイエローカードやレッドカードの提示である。
選手がレッドカードを受けた場合、それが一発退場であれ、イエローカード2枚によるものであれ、「退場」となり、その試合にはもう出場できなくなる。
レッドカードは自動的に出場停止が伴うが、その内容は反則の種類やシーズンを通じた選手の懲戒歴など、いくつかの要素によって処分が異なる。
リーグや大会ごとに処分の扱いは多少異なるものの、スポーティング・ニュースではプレミアリーグにおける処分の仕組みと、不当な退場だと考える場合にクラブがどのように異議申し立てできるかについて解説する。
レッドカードで何試合出場停止になるのか?
プレミアリーグでは、他の多くのリーグと同様に、退場の理由によって処分内容が変わる。
サッカーでの一発退場の主な理由は「暴力的行為」または「決定的な得点機会の阻止」であり、さらに「イエローカード2枚による退場」でも出場停止が科される。
暴力的行為
危険なタックル、押す、殴る、蹴るなどの暴力行為による退場は、原則3試合の出場停止となる。
ただし、プレミアリーグ規定によれば、事案がより悪質と判断された場合には処分が延長される可能性がある。リーグの懲戒規定には以下のように記されている。
「極めて例外的な状況において、加盟協会は退場処分に対する標準的な処分が明らかに不十分であると判断した場合、追加処分を求めることができる。この申し立ては、(a) 悪質なファウルプレー、(b) 暴力的行為、(c) 相手選手または他者への唾吐き、に限られる。」
決定的な得点機会の阻止(DOGSO)
決定的な得点機会を阻止した場合の退場は、1試合の出場停止となる。
この反則は競技の精神に反するものの、暴力行為のように他者の安全を脅かすものではないため、処分は軽く設定されている。
イエローカード2枚による退場
イエローカード2枚で退場した場合も、1試合の出場停止となる。
イエローカードは軽度の違反に対して与えられるため、処分も比較的軽い。
審判への異議
極めてまれだが、審判への異議で一発退場となった場合、2試合の出場停止となる。
通常、異議はイエローカードで処理されるため、このケースは非常に珍しい。
唾吐き
相手選手に唾を吐いた場合、最低6試合の出場停止が科される。
シーズン中の複数回退場
シーズン中に複数回退場となった場合、退場のたびに追加で1試合の出場停止が科される。
例えば、シーズン2回目の退場なら+1試合、3回目なら+2試合となる。
プレミアリーグにおける1人の選手のシーズン最多退場記録は3回で(直近は2015-2016シーズン)、もし4回退場すれば、基準処分に加えてさらに3試合の追加出場停止が科されることになり、これは前例がない。
プレミアリーグでの退場はFA杯やカラバオ杯に影響するのか?
プレミアリーグで提示されたレッドカードは、FAカップやカラバオカップといった他の国内大会にも適用される。
また、その逆も同様で、FAカップやカラバオカップでの退場もプレミアリーグに持ち越される。
しかし、国内大会での退場処分はUEFA大会やFIFA大会などの国際大会には適用されないため、選手はそうした試合には出場可能である。
例えば、ある選手がプレミアリーグの試合で暴力的行為により退場し、3試合の出場停止を科されたとする。この場合、そのクラブの今後の予定が「プレミアリーグ → FAカップ → チャンピオンズリーグ → プレミアリーグ」という日程であれば、その選手はプレミアリーグとFAカップの国内3試合には出場停止となるが、チャンピオンズリーグには出場可能だ。
レッドカードは取り消されることがあるのか?
クラブ(個人の選手ではなく)は、判定が誤り、不当、または規則に反していると感じた場合に、「レッドカードに対して異議申し立て」を行うことができる。
ただし、異議申し立てが可能なのは一発退場のみであり、イエローカード2枚による退場には適用されない。これは、イエローカードの判定は主観的な要素が強い一方で、一発退場は映像証拠に基づいてより客観的に判断できるからである。
クラブは期限内に申し立てを行い、退場が不当であると証明する証拠を提出しなければならない。誤りがあったことを立証する責任はクラブにある。
プレミアリーグの懲戒規定によれば、クラブは証拠を懲戒委員会に提出し、審判助言パネルのメンバーがこれに加わる。審理の場にはクラブ側もFA側も出席せず、委員会は提出された書面や映像証拠だけを基に判断を下す。
すべての案件は、出場停止処分が正式に決定される前に処理される。そのため、異議申し立てが行われた場合、審理が終了するまでは選手が出場可能になることもある。
もちろん、試合自体をやり直すことはできないが、処分が取り消されれば、選手は次の試合から出場可能となる。
ただし、FAはクラブがこの仕組みを乱用しないよう規定しており、根拠の乏しい「軽率な」アピールであると判断された場合、逆に処分が重くなる可能性もある。
プレミアリーグにおけるイエローカード累積の出場停止ルール
プレミアリーグでは、複数試合にわたるイエローカードの累積によっても出場停止処分が科されることがある。
累積の扱いのため、シーズンは区切られており、最初の19試合までにイエローカードを5枚受けた選手は、1試合の出場停止となる。
その後、すでに前半戦で出場停止を受けた選手はさらに厳しく監視される。シーズン33試合までに合計10枚に達した場合、2試合の出場停止が科される。
シーズン全体を通しては、15枚で2試合、20枚で3試合の出場停止となる。プレミアリーグにおけるイエローカードのシーズン最多記録は14枚であるため、15枚や20枚の規定が適用されることはほとんどない。
なお、レッドカードの場合とは異なり、イエローカード累積による出場停止はプレミアリーグ限定であり、FAカップやカラバオカップには持ち越されない。
原文:Red card suspension rules in Premier League: How many games players must miss when sent off
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)
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