本サイトに掲載されているリンクから商品の購入やサービスの契約をされた場合、本サイトが収益を得ることがあります。

レアル・マドリードはなぜシャビ・アロンソ監督を解任したのか? スーペルコパ・デ・エスパーニャ決勝敗戦後の決断に至った背景

Dom Farrell

浄見耕志 Koushi Kiyomi

レアル・マドリードはなぜシャビ・アロンソ監督を解任したのか? スーペルコパ・デ・エスパーニャ決勝敗戦後の決断に至った背景 image

シャビ・アロンソ新監督の初のエル・クラシコでレアル・マドリードがバルセロナを2-1で下した時点では、サンティアゴ・ベルナベウに不安の影は見当たらなかった。

スーパースターのキリアン・エムバペとジュード・ベリンガムがそろって得点を記録。ラ・リーガでは首位に立ち、2位に勝ち点5差をつけていた。さらに6日後の11月1日(日本時間2日)、バレンシアを4-0で破ると、2025-2026シーズンは公式戦14試合中13勝。「白い巨人」は盤石に見えた。

ところが、それから2か月あまりが過ぎた今、シャビ・アロンソ監督は職を失っている。スーペルコパ・デ・エスパーニャ決勝でバルセロナに3-2で敗れたことが決定打となり、“目玉補強”として迎えられ、期待された指揮官は解任された。

クラシコの結果が、世界屈指の熱量を誇るライバル関係において極めて大きな意味を持つのは確かだ。しかし、この混乱は「バルサに負けたから慌てて解任した」という単純な話ではない。バルセロナは11月時点のビハインドをひっくり返し、ラ・リーガ首位で4ポイントのリードを築いたが、レアル・マドリードの内部ではそれ以前から不穏な空気が漂っていた。

ここでは、レバークーゼンでの実績により欧州屈指の注目指揮官となったシャビ・アロンソ監督を、なぜレアル・マドリードが手放し、後任にBチーム指揮官として経験の浅いアルバロ・アルベロア監督を据えたのか。その背景をひもといていく。

▶Amazonでサッカーグッズをチェック!

なぜレアル・マドリードはシャビ・アロンソを解任したのか?

定まらなかった戦い方

今回のレアル・マドリードの解任劇は、マンチェスター・ユナイテッドを取り巻く混乱と重なる部分が少なくない。欧州サッカーの歴史を象徴する巨大クラブが、その“格式”ゆえに場当たり的な判断を下してしまう、そうした構図が見て取れる。

シャビ・アロンソ監督は、レバークーゼンで歴史的な成功を収めてから12か月後にマドリーへやってきた。レバークーゼンはブンデスリーガを無敗で駆け抜け、悲願の初優勝を達成。その快挙は、3-4-2-1を基軸とする緻密に仕込まれたチームによって成し遂げられたものだった。

しかし、スポルティングで同様のシステムを武器にポルトガル国内を席巻し、ユナイテッドでもそれを頑なに貫いたルベン・アモリム氏とは違い、シャビ・アロンソ監督はより現実的だった。3バックの採用はマドリディスタに受け入れられない、そう理解していたからだ。今季のマドリーは、基本的に4-2-3-1のバリエーションで戦っている。

ただし、その戦い方は「確信に基づく決断」というより、「落としどころを探った末の妥協」に見えた。シーズン序盤の連勝期間にも、内容が伴わないままスコアだけで逃げ切った試合がいくつかあった。新体制のチームと監督が互いに適応していく過程としては決して責められるものではないが、レアル・マドリードの首脳陣は“我慢のなさ”を誇るかのようなクラブでもある。

転機となったのは、無得点で終えた1週間だった。アンフィールドで調子の上がらないリバプールに0-1で敗れ、続くラージョ戦も0-0。このあたりから、チームは失速していった。

日程面でも追い打ちをかけた。アウェー6連戦という厳しいスケジュールが重なり、さらにベルナベウでは、4日間でセルタとマンチェスター・シティに立て続けに敗北。シャビ・アロンソ監督は崖っぷちに追い込まれた。

その後、バルセロナ戦の敗戦までに5連勝し、いったんは“首の皮一枚つながった”かに見えた。だが、問題のバルサ戦のスタッツを見ると状況は一目瞭然だった。あらゆる面で後手を踏み、ボール支配率は約30%。厳しい現実が突きつけられていた。

ジネディーヌ・ジダン氏やカルロ・アンチェロッティ氏の時代には、勢い、誇り、そして個の輝きで勝ち切る、いわば“雰囲気”に乗った成功もあった。しかし、シャビ・アロンソ監督に求められていたのは、そうした勝ち方から一段先へ進めることだったはずだ。最大のライバル相手にそれができないのなら、「では、結局この改革の意味は何なのか」と問われても仕方がない。

なお『AS』によると、シャビ・アロンソ監督は去就を決定づけたバルデベバス(練習場)での会議において、「この状況に疲れ果てている」と口にしたという。

▶Amazonでサッカーグッズをチェック!

スター選手のマネジメント

レアル・マドリードという特殊な重圧の中で戦う以上、「哲学」や「理念」を掲げるタイプの指揮官が成功すること自体、成功すること自体、極めて難しい。そうした意味で、クラブで愛された元選手でもあるシャビ・アロンソ監督なら、その“打開策”になり得る、少なくとも当初はそう見られていた。

レアル・マドリードにおける最大の課題の一つは、スター選手たちを納得させ、彼らの自尊心を巧みに扱いながら、自己主張の強い一団を何とかコントロール下に置くことだ。アンチェロッティ氏が成功したのもその能力があったからであり、一方でジョゼ・モウリーニョ氏が主要選手たちと公然たる「深刻な対立」の末に去ることになったのも、その難しさを物語っている。

気質的に見れば、シャビ・アロンソ監督はモウリーニョ氏よりもアンチェロッティ氏に近い。それでも、調子を落としていたビニシウス・ジュニオールとの関係が難しいのではないかという見方は、いつしか公然の噂となるほど広まっていった。先週のスーペルコパ・デ・エスパーニャ準決勝のアトレティコ・マドリー戦では、ディエゴ・シメオネ監督がブラジル代表FWに対し、ベルナベウでの存在感が薄れていることを揶揄する発言をしたほどだ。

Vinicius Jr. Xabi Alonso

スーペルコパ・デ・エスパーニャの時点では、ロドリゴも本来の序列に戻っていた。シーズン序盤には戦力として扱われていないようにも見えたが、結局ピッチに戻ってきた形だ。とはいえ、ロドリゴもビニシウスも深刻な得点難に苦しみ、その負担はあまりにもエムバペに偏った。フランス代表のエースも近頃は負傷に悩まされており、トレント・アレクサンダー=アーノルドがリバプールから華々しく加入したにもかかわらず、ラ・リーガで先発したのはわずか5試合にとどまっている。コンディション面の問題だけでは説明がつかない状況だ。

その結果、本来は中盤で圧倒的な存在感を放つフェデリコ・バルベルデが、右サイドバックの穴埋め役として不慣れなポジションで起用される時間が増えてしまった。

もちろん、2013年にイケル・カシージャスとセルヒオ・ラモスが中心となって起こした“モウリーニョへの反乱”のような出来事が起きたわけではない。だが、レアル・マドリードにおいて監督と大物選手たちの方向性が一致していないように見えた瞬間、結末はたいてい一つしかない。

レアル・マドリードのDNA

まさに“いつものマドリー”である。

アルバロ・アルベロア監督は、これまでトップチームで指揮官を務めた経験が一度もない。それでもジダン氏と同じように、マドリーの下部組織やカスティージャ(Bチーム)で指導に携わってきた。周囲はアルベロア監督を「クラブを知り尽くした人物」と評し、“適任”とみなした。

一方で、シャビ・アロンソ監督も同じくクラブを知るクラブ内部の人間だったはずだ。だが彼はバイエルンでプレーし、ペップ・グアルディオラ監督から影響を受け、ブンデスリーガで監督を経験し、そしてそうした「大きな理想」を持ち込んでしまった。

戦術面での「型」にはめる試みを経て、レアル・マドリードは再び“個の力”に頼る戦い方へと回帰した。アルベロア監督は内外で選手に配慮した言葉を選ぶだろう。戦力と資金力でリーガ屈指の優位性を持つマドリーは、多くの試合で勝利を重ねる可能性が高い。そうして周囲は「ひとまず順調」と受け止めることになる。

そしてアルベロア監督がチャンピオンズリーグを制覇できなければ、再び同じサイクルが繰り返されることになる。

アンチェロッティ氏とジダン氏のもとで積み上げたチャンピオンズリーグでの成功は、別の側面を見えにくくしている。レアル・マドリードはラ・リーガの「二強」争いにおいて、必ずしも十分な頻度で優勝してきたわけではない。とりわけ、バルセロナが財政問題を抱えている時期においては、その点がより際立つ。

それでもレアル・マドリードは「自分たちのやり方」を貫く傾向が強い。異なるタイプのリーダーとして招いた指揮官を、その“異質さ”を理由に手放した今回の決断は、そうしたクラブ体質を象徴している。

▶Amazonでサッカーグッズをチェック!

原文:Why did Real Madrid sack Xabi Alonso? Three reasons for coach's exit after Super Cup loss to Barcelona
翻訳・編集:浄見耕志(スポーティングニュース日本版)

✍️この記事はいかがでしたか? 読後のご意見・ご感想をぜひお聞かせください

関連記事

News Correspondent

News Correspondent