プスカシュ賞は、FIFAが主催する年間表彰式「The Best」の一環として授与される賞だ。2025年の授賞式は、カタール・ドーハで開催された。
この賞は2009年に創設され、ハンガリーの伝説的ストライカー、フェレンツ・プスカシュの名を冠している。毎年、世界のサッカー界で生まれた数多くのゴールの中から、最も優れた一撃を決定する賞として知られている。
FIFAは2024年、過去12か月間で最も優れた女子ゴールを決めた選手に贈られる「マルタ賞」を新設。これにより、プスカシュ賞は男子選手のみが対象となった。
ここでは、歴代受賞者や2025年のノミネート選手、そして今回の受賞者について、プスカシュ賞に関する情報をまとめている。
プスカシュ賞歴代受賞者
2025年のプスカシュ賞は、アルゼンチンのインデペンディエンテに所属するサンティアゴ・モンティエルが受賞した。ペナルティーエリア外から放った、オーバーヘッドキックが高く評価された。
Santiago Montiel, ganador del premio Puskas de la FIFA al mejor gol del año 🔥
— C. A. Independiente (@Independiente) December 16, 2025
¡Felicitaciones, Monti!#TodoRojo 🔴 pic.twitter.com/7hQ0HlKivm
記念すべき初代受賞者は、クリスティアーノ・ロナウド。2009年のUEFAチャンピオンズリーグで、マンチェスター・ユナイテッド所属時にFCポルト戦で決めた約36.5メートルの強烈なミドルシュートが選出理由となった。2024年は、2023年11月のエバートン戦で驚異的なバイシクルシュートを決めたアレハンドロ・ガルナチョが受賞している。
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— FIFA World Cup (@FIFAWorldCup) December 2, 2024
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これまでの受賞者には、ネイマール、ハメス・ロドリゲス、モハメド・サラーといったスター選手も名を連ねる。一方で、数々の個人タイトルを獲得してきたリオネル・メッシは、意外にもプスカシュ賞の受賞歴がない。
なお、プスカシュ賞を2度受賞した選手は、これまで一人もいない。また、2024年の賞には11人の初ノミネート選手が名を連ねた。この賞は、これまで大きな注目を浴びてこなかった選手が脚光を浴びる場としての側面も持っており、2022年に受賞したポーランドのアンプティサッカー選手、マルチン・オレクシーはその代表例だ。
マルタ賞が創設される以前は、女子選手もプスカシュ賞にノミネートされていた。2011年にはヘザー・オライリーが女子選手として初めて候補入りし、2014年にはステファニー・ザンブラがハメス・ロドリゲスに次ぐ2位となった。なお、スコットランド代表のキャロライン・ウィアーは、複数回ノミネートされた唯一の女子選手となっている。
| 年 | 選手 | クラブ | 試合 |
| 2025 | サンティアゴ・モンティエル | インデペンディエンテ | インデペンディエンテ・リバダビア戦 (1-0) |
| 2024 | アレハンドロ・ガルナチョ | マンチェスター・ユナイテッド | エバートン戦 (1-0) |
| 2023 | ギリェルメ・マドルガ | ボタフォゴ | グレミオ・ノボリゾンチーノ戦 (1-0) |
| 2022 | マルチン・オレクシー | ヴァルタ・ポズナン | スタル・ジェシュフ戦 (1-0) |
| 2021 | エリック・ラメラ | トッテナム | アーセナル戦 (1-0) |
| 2020 | ソン・フンミン | トッテナム | バーンリー戦 (3-0) |
| 2019 | ダニエル・ジョリ | デブレツェン | フェレンツバーロシュ戦 (2-1) |
| 2018 | モハメド・サラー | リバプール | エバートン戦 (1-0) |
| 2017 | オリビエ・ジル― | アーセナル | クリスタル・パレス戦 (1-0) |
| 2016 | モード・ファイズ・スブリ | ペナン | パハン戦 (4-1) |
| 2015 | ウェンデル・リラ | ゴイアネージア | アトレチコ・ゴイアニエンセ戦 (1-0) |
| 2014 | ハメス・ロドリゲス | コロンビア代表 | ウルグアイ代表戦 (1-0) |
| 2013 | ズラタン・イブラヒモビッチ | スウェーデン代表 | イングランド代表戦 (4-2) |
| 2012 | ミロスラフ・ストッフ | フェネルバフチェ | ゲンチレルビルリイ戦 (6-1) |
| 2011 | ネイマール | サントス | フラメンゴ戦 (4-5) |
| 2010 | ハミト・アルティントップ | トルコ代表 | カザフスタン代表戦 (2-0) |
| 2009 | クリスティアーノ・ロナウド | マンチェスター・ユナイテッド | ポルト戦 (1-0) |
プスカシュ賞2025 ノミネート選手一覧
| ノミネート | クラブ | 大会 | 試合 |
| アレランドロ | ビトーリア | カンピオナート・ブラジレイロ・セリエA | 2024年8月19日 クルゼイロ戦 |
| アレッサンドロ・デイオラ | カリアリ | セリエA | 2025年5月18日 ベネチア戦 |
| ペドロ・デ・ラ・ベガ | シアトル・サウンダーズ | リーグスカップ | 2025年7月31日 クルス・アスル戦 |
| サンティアゴ・モンティエル | インデペンディエンテ | アルゼンチン プリメーラ・ディビシオン | 2025年5月11日 インデペンディエンテ・リバダビア戦 |
| アムル・ナーサル | ファルコFC | エジプト・キャピタル・カップ | 2025年4月17日 アル・アハリ戦 |
| カルロス・オランティア | アトラス | リーガMX | 2025年4月16日 ケレタロ戦 |
| ルーカス・リベイロ | マメロディ・サンダウンズ | FIFAクラブワールドカップ | 2025年6月21日 ドルトムント戦 |
| デクラン・ライス | アーセナル | UEFAチャンピオンズリーグ | 2025年4月8日 レアル・マドリード戦 |
| リスキ・リド | ペルシジャ・ジャカルタ | インドネシア・リーガ1 | 2025年3月9日 アレマ戦 |
| ケビン・ロドリゲス | カスムパシャSK | スュペル・リグ | 2025年2月9日 チャイクル・リゼスポル戦 |
| ラミン・ヤマル | バルセロナ | ラ・リーガ | 2025年5月15日 エスパニョール戦 |
伝説のストライカー、フェレンツ・プスカシュとは?
フェレンツ・プスカシュは、レアル・マドリーやハンガリー代表で活躍したフォワードで、サッカー史上屈指の名選手の一人として知られている。
1927年4月生まれのプスカシュは、レアル・マドリーでラ・リーガ5連覇、UEFAチャンピオンズカップ3度の優勝を達成。さらに、1952年のヘルシンキ五輪ではハンガリー代表として金メダルを獲得し、2年後の1954年FIFAワールドカップではチームを決勝へと導いた。
歴史に名を残すゴールスコアラーとしても知られ、1950〜60年代に「マジック・マジャール」と称されたハンガリー代表では、その黄金期を象徴する存在だった。
プスカシュは2006年11月に死去。その功績を称え、3年後に彼の名を冠した「プスカシュ賞」が創設された。
原文:What is the Puskas Award? All-time winners for annual prize recognising football's best goal
翻訳・編集:浄見耕志(スポーティングニュース日本版)
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