FIFAワールドカップ 歴代ハットトリック達成者一覧:2022年大会ではエムバペが決勝戦史上2人目の偉業達成

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及川卓磨 Takuma Oikawa

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12月18日(日本時間19日)に行われたFIFAワールドカップ・カタール2022決勝で、フランス代表のキリアン・エムバペは生涯最高級のパフォーマンスを披露した。リオネル・メッシを擁するアルゼンチンに敗れたものの、ひとりで3ゴールをあげてPK戦に持ち込んだのだ。

82分のセンセーショナルなボレーシュートのゴール、そして2本のPKを決めたことで、エムバペはワールドカップの歴史に名を刻んだ。

1ゴールなら運かもしれない。2ゴールならスキルだ。では、3ゴールなら? もはや伝説だ。

W杯決勝でハットトリックを達成したキリアン・エムバペ

エムバペは81分にPKを冷静に決め、フランスにとって最初のゴールをあげた。GKエミリアーノ・マルティネスが伸ばした手をかすめてのゴールだった。マルティネスは指先でボールに触れたものの、エムバペのシュートの力を阻むことはできなかった。

もしもエムバペの1点目が運だったとしても、2点目はスペシャルだった。浮き球をきれいにボレーで合わせ、ゴール右下隅に突き刺し、2-2の同点としたのだ。エムバペの輝かしいキャリアにおいて忘れられることがないだろう素晴らしい一発だった。

117分にPKでさらにネットを揺らし、エムバペは歴史的なパフォーマンスを見事に締めくくった。ゴールの左下隅に決めると、エムバペは喜んでコーナーフラッグへと向かった。

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W杯決勝におけるハットトリック

ハットトリックを達成したことで、エムバペはサッカー史上最も偉大なタレントのひとりであることを確かなものにした。ワールドカップ決勝でハットトリックを記録した史上2人目の選手となったのだ。

1人目の選手は、特にイングランドでは説明不要だろう。1966年の決勝でハットトリックを達成し、サッカーの母国を初めての、そして現時点で唯一の優勝に導いたジェフ・ハーストだ。

W杯決勝で2ゴールを決めた選手たち

サッカーの歴史に名を刻んだのは、エムバペだけではない。彼のクラブのチームメートであるリオネル・メッシも、ワールドカップ決勝で2得点をあげた8人目の選手となった。以下の8選手はいずれもトロフィーを掲げている。

W杯決勝で2ゴールを決めた選手
選手対戦相手最終結果得点時間
リオネル・メッシ2022アルゼンチンフランスアルゼンチン 3-3 フランス23', 108'
ロナウド2002ブラジルドイツブラジル 2-0 ドイツ67', 79'
ジネディーヌ・ジダン1998フランスブラジルフランス 3-0 ブラジル27, 45+1'
マリオ・ケンペス1978アルゼンチンオランダアルゼンチン 3-1 オランダ38, 105
ペレ1958ブラジルスウェーデンブラジル 5-2 スウェーデン55', 90'
ババ1958ブラジルスウェーデンブラジル 5-2 スウェーデン9', 32'
ヘルムート・ラーン1954西ドイツハンガリー西ドイツ 3-2 ハンガリー18', 84
ジーノ・コラウッシ1938イタリアハンガリーイタリア 4-2 ハンガリー6', 35'
シルヴィオ・ピオラ1938イタリアハンガリーイタリア 4-2 ハンガリー16, 82'

W杯の歴代ハットトリック達成者

ワールドカップの歴史でハットトリックが記録されたのは計53回。49選手が達成している。複数の試合で達成したのは、ジュスト・フォンテーヌ(1958年)、ゲルト・ミュラー(1970年)、ガブリエル・バティストゥータ(1994年と1998年)だ。

最もハットトリックが多かったのは1954年のスイス大会で、8つのハットトリックが記録された。そのうちのひとつは同じ試合で実現している。オーストリアが7-5でスイスに勝利した一戦で、Theodor WagnerとJosef Hugiの2人が達成した。

ワールドカップの歴史において、まったくハットトリックがなかった大会は、ドイツで行われた2006年大会だけだ。

ワールドカップにおける最初のハットトリックは、1930年のウルグアイ大会で、アメリカのバート・パテナウデが達成した。 

W杯の全ハットトリック

選手チーム対戦相手ラウンド最終結果
2022キリアン・エムバペフランスアルゼンチン決勝負 3-3 (PK戦4-2)
2022ゴンサロ・ラモスポルトガルスイスラウンド・オブ・16勝 6-1
2018ハリー・ケインイングランドパナマグループステージ勝 6-1
2018クリスティアーノ・ロナウドポルトガルスペイングループステージ分 3-3
2014ジェルダン・シャチリスイスホンジュラスグループステージ勝 3-0
2014トーマス・ミュラードイツポルトガルグループステージ勝 4-0
2010ゴンサロ・イグアインアルゼンチン韓国グループステージ勝 4-1
2002パウレタポルトガルポーランドグループステージ勝 4-0
2002ミロスラフ・クローゼドイツサウジアラビアグループステージ勝 8-0
1998ガブリエル・バティストゥータアルゼンチンジャマイカグループステージ勝 5-0
1994オレグ・サレンコロシアカメルーングループステージ勝 6-1
1994ガブリエル・バティストゥータアルゼンチンギリシャグループステージ 勝 4-0
1990トマーシュ・スクラビーチェコスロバキアコスタリカラウンド・オブ・16勝 4-1
1990ミチェルスペイン韓国グループステージ勝 3-1
1986エミリオ・ブトラゲーニョスペインデンマークラウンド・オブ・16勝 5-1
1986イーゴリ・ベラノフソビエト連邦ベルギーラウンド・オブ・16負 3-4 (延長)
1986ゲーリー・リネカーイングランドポーランドグループステージ勝 3-0
1986プレーベン・エルケーア・ラルセンデンマークウルグアイグループステージ勝 6-1
1982パオロ・ロッシイタリアブラジル2次リーグ勝 3-2
1982ズビグニェフ・ボニエクポーランドベルギー2次リーグ勝 3-0
1982カール=ハインツ・ルンメニゲ西ドイツチリグループステージ勝 4-1
1982キッシュ・ラースローハンガリーエルサルバドルグループステージ勝 10-1
1978テオフィロ・クビジャスペルーイラングループステージ勝 4-1
1978ロブ・レンセンブリンクオランダイラングループステージ勝 3-0
1974アンジェイ・シャルマッフポーランドハイチグループステージ勝 7-0
1974ドゥシャン・バイェヴィッチユーゴスラビアザイールグループステージ勝 9-0
1970ゲルト・ミュラー西ドイツペルーグループステージ勝 3-1
1970ゲルト・ミュラー西ドイツyブルガリアグループステージ勝 5-2
1966ジェフ・ハーストイングランド西ドイツ決勝勝 4-2 (延長)
1966エウゼビオポルトガル北朝鮮準々決勝勝 5-3
1962アルベルト・フローリアーンハンガリーブルガリアグループステージ勝 6-1
1958ジュスト・フォンテーヌフランス西ドイツ3位決定戦 勝 6-3
1958ペレブラジルフランス準決勝勝 5-2
1958ジュスト・フォンテーヌフランスパラグアイグループステージ勝 7-3
1954Josef Hugiスイスオーストリア準々決勝負 5-7
1954Theodor Wagnerオーストリアスイス準々決勝勝 7-5
1954マックス・モーロック西ドイツトルコグループステージ勝 7-2
1954Burhan Sarginトルコ韓国グループステージ勝 7-0
1954シャーンドル・コチシュハンガリー西ドイツグループステージ勝 8-3
1954Carlos Borgesウルグアイスコットランドグループステージ勝 7-0
1954Erich Probstオーストリアチェコスロバキアグループステージ勝 5-0
1954シャーンドル・コチシュハンガリー韓国グループステージ勝 9-0
1950アデミールブラジルスウェーデン決勝リーグ勝 7-1
1950Oscar Miguezウルグアイボリビア決勝リーグ勝 8-0
1938Harry Andersonスウェーデンキューバ準々決勝勝 8-0
1938Gustav Wetterstromスウェーデンキューバ準々決勝勝 8-0
1938レオニダスブラジルポーランドラウンド・オブ・16勝 6-5 (延長)
1938エルンスト・ヴィリモフスキポーランドブラジルラウンド・オブ・16負 6-5(延長)
1934オルドリッヒ・ネイェドリーチェコスロバキアドイツ準決勝勝 3-1
1934エトムント・コーネンドイツベルギーラウンド・オブ・16勝 5-2
1934アンジェロ・スキアビオイタリアアメリカラウンド・オブ・16勝 7-1
1930ペドロ・セアウルグアイユーゴスラビア準決勝勝 6-1
1930ギジェルモ・スタービレアルゼンチンメキシコグループステージ勝 6-3
1930バート・パテナウデアメリカパラグアイグループステージ勝 3-0 

※本記事はスポーティングニュース米国版の記事を元に日本版編集部が日本向けに翻訳・編集したものとなります。

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日本を拠点に国内外の様々なスポーツの最新ニュースや役に立つ情報を発信しているスポーティングニュース日本版のスタッフアカウント。本家であるスポーティングニュース米国版の姉妹版のひとつとして2017年8月に創刊された日本版の編集部員が取材・執筆しています。

及川卓磨 Takuma Oikawa

スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。日本大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・ウェブサイト運営等あらゆる編集業務に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長に就任し、サイトやSNSアカウントの立ち上げに携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。