1月16日、マンチェスター・シティは、クリスタル・パレスの主将であるマーク・グエイを、約2,000万ポンドで獲得に動いていると移籍専門ジャーナリストのファブリツィオ・ロマーノ氏が伝えた。
パレスの監督を今季で退任予定のオリバー・グラスナー氏は金曜の記者会見で、グエイが今週末のサンダーランド戦のメンバーに入らないと明かし、その理由について「他クラブへの移籍が最終段階にある」と説明した。
グラスナーは移籍先を明言しなかったが、マン・シティの指揮官ペップ・グアルディオラも、マンチェスター・ユナイテッドとのダービーを前にした会見でこの移籍について語ることを避けた。
しかし、BBCスポーツを含む複数メディアは、グエイが1月の移籍市場でボーンマスから加入したアントワン・セメンヨ(移籍金6,400万ポンド)に続く、シティの今冬2人目の補強になると報じている。
セメンヨは加入後2試合で2得点を記録。シティは4つの大会でタイトルを争っているが、プレミアリーグでは首位アーセナルに勝ち点6差をつけられている。
では、なぜ10度のイングランド王者は、このタイミングでイングランド代表CBの獲得に動いたのだろうか。
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なぜマン・シティはマーク・ゲイを獲得したのか?
負傷者続出
2025年、グアルディオラ監督体制下では前例のない規模の選手入れ替えが起こり、シーズン序盤のシティは過渡期にあるチームのように見えた。
11月29日から12月27日にかけて公式戦8連勝を記録するまで、指揮官は勝ちパターンを模索していたが、その過程で例年よりもローテーションは少なかった。特にセンターバックでは、ルベン・ディアス がプレミアリーグ最初の20試合中19試合で先発。負傷で開幕3試合を欠場したものの、ヨシュコ・グバルディオル が14試合で相棒を務め、アストン・ヴィラ戦では左SBとして90分間プレーしている。
しかし1月4日のチェルシー戦でディアスがハムストリングを負傷し、復帰は2月中旬以降に。さらに同試合でグバルディオルは腓骨骨折の重傷を負い、今季残り試合を欠場する可能性が高く、クロアチア代表としてのW杯出場も危ぶまれている。

すでにジョン・ストーンズも離脱中のため、シティはワトフォードにレンタルしていたマックス・アレインを呼び戻し、直近3試合では20歳のアレインと、昨年1月にRCランスから3,360万ポンドで獲得した21歳のウズベキスタン代表アブドゥコディル・クサノフがCBコンビを組んでいる。
このクサノフ獲得自体、2024-2025シーズンを壊滅させたディフェンス陣の負傷者続出への対応だった。ディアスとグバルディオルの負傷後は、本職CBのナタン・アケが左SBを務めているが、カラバオ杯準決勝第1戦ニューカッスル戦では左脚を厳重にテーピングした状態で途中交代している。
昨季の崩壊を繰り返すことへの警戒は当然であり、若手2人が健闘しているとはいえ、プレミアリーグでの経験豊富なグエイが「今すぐ使える」存在として魅力的なのは明らかだ。
また、セメンヨの獲得からも分かるように、スポーツディレクターのウーゴ・ビアナ氏は、前任のチキ・ベギリスタイン氏よりも柔軟に補強を行っている。ただし、25歳のグエイは短期的な穴埋めにとどまる存在ではない。
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守備陣の再構築
グエイが加入となると、シティのトップチームにはディアス、グバルディオル、クサノフ、アレイン、アケ、ストーンズと合わせて7人のCBが在籍する。短期的にはグバルディオルは離脱しており、ストーンズも復帰時期は未定だ。
ディアスが戻れば選択肢は多いが、来季以降を見据えると、ストーンズとアケが契約満了で退団する可能性は高い。アケには今月の移籍話もあり、グエイ加入後に噂はさらに加速するだろう。
その視点で見れば、グエイは本来なら今夏に獲得したかったCBであり、契約残り6カ月とエティハドの負傷事情が重なったことで前倒しになった補強と言える。ディアス、グバルディオル、グエイ、クサノフ、台頭してきたアレインは、2026-2027シーズンに向けた堅固な陣容となる。また、攻撃的なラヤン・アイト=ヌーリ以外に本職SBが少ないため、クサノフが右、グヴァルディオルが左に回る可能性も考慮すべきだ。
コストパフォーマンス
もし今夏に実績ある代表クラスのCBを獲得すれば、2023年8月にRBライプツィヒからグバルディオルを獲得した際の7,700万ポンド超が必要になった可能性が高い。
契約残り6カ月という状況で、その4分の1程度の金額でゲイを獲得できる機会は、見逃せないものだった。

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ホームグロウン枠
重要な要素ではないが、グエイの加入はプレミアリーグおよびチャンピオンズリーグのホームグロウン枠の面でも好影響を与える。
両大会では25人枠のうち非ホームグロウンは最大17人まで。UEFAでは8人のホームグロウンが必要で、そのうち4人は15~21歳の間に同クラブで3年間在籍していなければならない。
今季のシティはCLで非ホームグロウン枠が上限に達しているが、グエイとロンドン生まれのガーナ代表セメンヨの加入は、さらなる問題を生じさせない。
2025年1月以降のマン・シティの移籍金総額は?
2024-2025シーズンに13試合で1勝という深刻な不振に陥ったシティは、2025年夏に予定していた再建の一部を前倒しした。
グエイの想定移籍金2,000万ポンドに加え、現在レンタル中のヴィトール・レイス、ジュマ・バー、スヴェレ・ニュパンの移籍金も含めると、過去12カ月で14人に総額4億4,290万ポンドを投じている。
ただし、2024年夏にはアトレティコ・マドリードへフリアン・アルバレスを8,150万ポンドで売却するなど、1億3,580万ポンドの黒字も計上している。
また、エデルソン、ケビン・デ・ブライネ、カイル・ウォーカー、ジョアン・カンセロ、イルカイ・ギュンドアンといった4連覇を支えた主力も2024年8月以降に退団。ストーンズ、アケ、今季エヴァートンにレンタル中のジャック・グリーリッシュも2026年夏に続く可能性がある。
一方で、ジェームズ・マカティー(ノッティンガム・フォレスト/3,000万ポンド)やヤン・クート(ドルトムント/2,520万ポンド)の売却により、約1億ポンドの収入も得ている。
それでも移籍の活発さには、プレミアリーグによる「115件の財務違反疑惑」が未決着であることから、懸念の声が多い。2009~2018年に及ぶ違反容疑で2023年2月に起訴され、2024年12月に独立委員会での12週間の審理が終了したが、クラブはすべての不正を否定している。
2025年1月以降のマン・シティの獲得選手
| 日程 | 選手 | 前所属クラブ | 移籍金 |
| 2025年1月20日 | アブドゥコディル・クサノフ | RCランス | 3,360万ポンド |
| 2025年1月21日 | ヴィトール・レイス* | パルメイラス | 2,960万ポンド |
| 2025年1月23日 | オマル・マルムシュ | フランクフルト | 5,900万ポンド |
| 2025年1月27日 | ジュマ・バー + | バジャドリード | 510万ポンド |
| 2025年2月3日 | ニコ・ゴンサレス | ポルト | 5,000万ポンド |
| 2025年6月9日 | ラヤン・アイト=ヌーリ | ウルブス | 3,180万ポンド |
| 2025年6月10日 | マーカス・ベッティネッリ | チェルシー | - |
| 2025年6月10日 | ラヤン・シェルキ | リヨン | 3,400万ポンド |
| 2025年6月11日 | タイヤニ・ラインデルス | ACミラン | 4,630万ポンド |
| 2025年7月17日 | スヴェレ・ニーパン# | ローゼンボリ | 1,250万ポンド |
| 2025年7月29日 | ジェームズ・トラッフォード | バーンリー | 3,100万ポンド |
| 2025年9月2日 | ジャンルイジ・ドンナルンマ | パリ・サンジェルマン | 2,600万ポンド |
| 2026年1月9日 | アントワーヌ・セメンヨ | ボーンマス | 6,400万ポンド |
| 未定 | マーク・グエイ | クリスタル・パレス | 2,000万ポンド |
| ============= | 合計 | ============== | 4億4,290万ポンド |
*ジローナにレンタル中
+ニースにレンタル中
#ミドルズブラにレンタル中
原文:Why are Man City signing Marc Guehi? Crystal Palace captain adds to £443m splurge since January 2025
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)
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