ペップ・グラルディオラ政権のマンチェスター・シティが、再び市場を震撼させている。ボーンマスからアントワン・セメンヨを6,250万ポンドで獲得した。果たして彼は本当に出場機会を得られるだろうか?
シティには各ポジションにワールドクラスの選手が2人ずついる。
今月はマーク・グエイも獲るのか? 確かに、ルベン・ディアス、ヨシュコ・グヴァルディオル、ジョン・ストーンズはいずれも負傷中で、今週のブライトン戦ではワトフォードへのレンタルから10代のマックス・アレインを呼び戻し、プレミアリーグ・デビューを果たさせた。しかし、グラルディオラ監督はいったい何人センターバックが欲しいのだろうか?
上記はマンチェスター・シティの支出や移籍方針をめぐって語られている論点を、皮肉を込めてまとめたものだ。その多くは悪意に基づく議論、あるいは注目を集めるための空虚な言説にすぎない。
とはいえ、アブダビ主導のオーナーシップという性質上、2008年9月以降のシティの支出と、それがクラブにもたらした変革は、イングランド・フットボールにおいて前例のない物語であることも事実だ。
そのため、セメンヨ、あるいは他の大型補強が行われるたびに、シティの場合は、他のプレミアリーグのビッグクラブが大金を投じた時とは異なる種類の議論が巻き起こる傾向にある。では、シティの支出は、イングランド・トップリーグの他の有力クラブと比べて、実際どのような位置づけなのだろうか。

Man City
グアルディオラ政権下におけるマン・シティの移籍支出
2016年7月に始まったペップ・グアルディオラ体制の最初の9シーズンを終えた時点で、マンチェスター・シティは移籍市場において総額19億4,000万ポンド(1ポンド200円換算で3880億円、以下同)を費やしてきた。これは、クラブが2024-2025シーズンの財務結果を公表した後、Swiss Rambleが報告した数字である。
この金額には、夏に加入したゴールキーパーのジェームズ・トラッフォードとジャンルイジ・ドンナルンマは含まれていない。そこにセメンヨの獲得が加わったことで、グアルディオラ政権下のシティの総支出は20億ポンドを超えた。
昨シーズンは、グアルディオラ時代で最大の支出額となった。FIFAクラブワールドカップ2025年大会前の追加ウインドーで獲得したラヤン・シェルキ、タイジャニ・ラインデルルス、ラヤン・アイト=ヌーリもこの数字に含まれており、さらに2024年夏と、例年になく活発だった2025年1月の移籍市場での支出も合わせると、総額は3億5,300万ポンドに達した。
昨冬には、負傷者が続出し、2024年夏にほとんど補強を行わなかった影響でプレミアリーグ優勝争いから脱落していたチームに対し、グアルディオラはオマル・マルムシュ、ニコ・ゴンサレス、アブドゥコディル・クサノフを補強した。2024年夏は、サヴィーニョと復帰したイルカイ・ギュンドアンが主な即戦力補強であり、クラブ史上最高額でフリアン・アルバレスがアトレティコ・マドリードへ移籍したにもかかわらず、動きは限定的だった。
なお、ヴィトル・レイスとジュマ・バーも加わったが、両者は現在それぞれジローナとニースにレンタル移籍している。
シーズン別移籍支出
| 2016/17 | 2017/18 | 2018/19 | 2019/20 | 2020/21 | 2021/22 | 2022/23 | 2023/24 | 2024/25 | 合計 | |
| 移籍支出 | 2億400万ポンド | 3億2800万ポンド | 8700万ポンド | 1億8000万ポンド | 1億9400万ポンド | 1億4900万ポンド | 2億2100万ポンド | 2億2600万ポンド | 3億5300万ポンド | 19億4000万ポンド |
※数値は The Swiss Ramble による
2024-2025シーズンの支出額は、グアルディオラ政権下のマンチェスター・シティにとって、1シーズンあたり2億5,000万ポンドを超えた2度目のケースとなった。1度目は、2017-2018シーズンで、この時はエデルソン、カイル・ウォーカー、ベルナルド・シウバ、アイメリク・ラポルトといった選手を獲得し、これらの選手がイングランドにおけるグアルディオラ初の黄金期チームの中核を形成した。
この2つのシーズンは、イングランド・フットボール史において、支出額がそれぞれ3番目と5番目に多いシーズンにあたる。なお、トップ2はいずれもチェルシーが占めており、2022-2023シーズンの7億4,500万ポンド、2023-2024シーズンの5億5,300万ポンドと、他クラブを大きく引き離している。
また、マンチェスター・ユナイテッドの2024/25シーズンにおける3億4,300万ポンドの支出は、このトップ5の中で、チェルシーの2シーズンの記録の間に位置する形となっている。

マンチェスター・シティの支出と純支出:プレミアリーグのライバルとの比較
この夏、注目を集めたのはシティではなく、フロリアン・ヴィルツとアレクサンデル・イサクという英国史上最高額クラスの補強を行ったリバプールだった。アーセナルもまた、大型かつ的確な補強を行い、ミケル・アルテタ監督にプレミアリーグ優勝を狙える陣容を与えている。
グアルディオラ監督は、自クラブだけが金を使っているわけではないと繰り返し強調してきたが、以下の数字はその主張を裏付けている。確かにシティは、他クラブが夢見るほどの支出能力を持っているが、直近5年間で見れば、イングランド・フットボール最大の支出クラブというわけではない。
プレミアリーグ:移籍総支出額トップ(2020/21〜2024/25)
| クラブ | 移籍支出 |
| チェルシー | 20億4000万ポンド |
| マンチェスター・ユナイテッド | 12億1000万ポンド |
| マンチェスター・シティ | 11億6000万ポンド |
| アーセナル | 11億ポンド |
| トッテナム | 9億8900万ポンド |
| リバプール | 8億9900万ポンド |
※数値は The Swiss Ramble による
同期間の**純支出(支出額−売却額)**で見ると、シティの評価はさらに良くなる。シティはリバプールとほぼ同水準で、「ビッグ6」の他4クラブよりも低い純支出にとどまっている。フリアン・アルバレスの記録的な売却に加え、アカデミー出身の有望選手を定期的に高値で売却してきたことが、この点で大きく寄与している。
プレミアリーグ:純支出額トップ(2020/21〜2024/25)
| クラブ | 純支出 |
| マンチェスター・ユナイテッド | 9億6700万ポンド |
| チェルシー | 9億6300万ポンド |
| アーセナル | 8億5800万ポンド |
| トッテナム | 7億4500万ポンド |
| マンチェスター・シティ | 5億3400万ポンド |
| リバプール | 5億3300万ポンド |
※数値は The Swiss Ramble による
移籍金は常に大きな話題を呼ぶが、**主要タイトル獲得との相関がより強いのは、移籍金総額よりも賃金総額(人件費)**であるとされている。
この点では、グアルディオラ監督時代を通じて、シティがプレミアリーグのトップに立っている。現在、シティはリーグで最も高い賃金総額を支払っているクラブであり、2019年以降の増加率でこれを上回るのはアーセナルのみだ(当時、アーセナルはシティより年間8,300万ポンド少ない賃金支出だった)。
過去には、リバプール(2017/18、2021/22)やマンチェスター・ユナイテッド(2017/18、2018/19、2021/22)が、年間賃金支出でシティを上回った時期もあった。しかし、2022/23シーズンのトレブル達成以降、グアルディオラ監督のチームはリーグで最も高給取りの集団となっている。直近2シーズンは賃金総額がやや減少しているものの、ドンナルンマ級の選手が加われば、この傾向は止まる可能性が高い。
プレミアリーグ:クラブ別賃金総額(2016/17〜)
| クラブ | 2016/17 | 2017/18 | 2018/19 | 2019/20 | 2020/21 | 2021/22 | 2022/23 | 2023/24 | 2024/25 |
| アーセナル | 1億9,900万ポンド | 2億2,300万ポンド | 2億3,200万ポンド | 2億2,500万ポンド | 2億3,800万ポンド | 2億1,200万ポンド | 2億3,500万ポンド | 3億2,800万ポンド | _ |
| チェルシー | 2億2,000万ポンド | 2億4,400万ポンド | 2億8,600万ポンド | 2億8,300万ポンド | 3億3,300万ポンド | 3億4,000万ポンド | 4億400万ポンド | 3億3,800万ポンド | _ |
| リバプール | 2億800万ポンド | 2億6,400万ポンド | 3億1,000万ポンド | 3億2,600万ポンド | 3億1,400万ポンド | 3億6,600万ポンド | 3億7,300万ポンド | 3億8,600万ポンド | _ |
| マンチェスター・シティ | 2億6,400万 ポンド | 2億6,000万 ポンド | 3億1,500万 ポンド | 3億5,100万 ポンド | 3億5,500万 ポンド | 3億5,400万 ポンド | 4億2,300万 ポンド | 4億1,300万 ポンド | 4億800万 ポンド |
| マンチェスター・ユナイテッド | 2億6,400万ポンド | 2億9,600万ポンド | 3億3,200万ポンド | 2億8,400万ポンド | 3億2,300万ポンド | 3億8,400万ポンド | 3億3,100万ポンド | 3億6,500万ポンド | 3億1,300万ポンド |
| トッテナム | 1億2,700万ポンド | 1億4,800万ポンド | 1億7,900万ポンド | 1億8,100万ポンド | 2億500万ポンド | 2億900万ポンド | 2億5,100万ポンド | 3億2,200万ポンド | _ |
※数値は The Swiss Ramble による
マンチェスター・シティは莫大な金額を投じており、それがプレミアリーグや欧州の多くのチームに対する競争優位につながっているのは事実である。しかし、上記の数字が示すように、アーセナル、リバプール、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドといったクラブも、移籍金・賃金の両面で十分に対抗可能な規模の投資を行っている。
シティが、この10年で真の違いを生み出してきたのは、資金力そのものよりも、ペップ・グアルディオラ監督という存在なのかもしれない。
原文:Man City spending under Pep Guardiola: How transfers compare to rest of Premier League 'big six'
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)
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