「ベスト・キッド」の続編シリーズ「コブラ会」がネットフリックスで人気爆発のわけ

Bill Bender

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コブラ会はけっして死ぬことはない(訳者注:映画「ベスト・キッド3」内のセリフ)。

「コブラ会」は2020年になっても生き残っている。2018年にユーチューブで始まった同名ドラマシリーズが先週末にはネットフリックスに登場し、9月2日現在でもこの動画ストリーミング・サービスにおけるナンバー1トレンドであり続けているのだ。

このシリーズは名作映画「ベスト・キッド」の続編として、ジョニー・ロレンス (ウィリアム・ザブカ)とダニエル・ラルーソ (ラルフ・マッチオ)のライバル物語を新たな世代へ届けるものだ。最初のシーズン1,2はすでにネットフリックスで公開され、シーズン3は2021年に登場する。

この新シリーズを見ることを止められない人々にとっては、「ベスト・キッド」の人気が復活した理由は明らかだろう。「コブラ会」を見逃すべきではない5つの理由を挙げてみた。

 

ジョニー対ダニエル

「ベスト・キッド」が公開されたのは1984年だ。「コブラ会」が40年近く前のオール・バレー空手選手権での恨みをモチーフとしている設定は馬鹿げているように見えるかもしれない。それならば、輝かしい高校時代の思い出を友達と話し合ってみてはどうだろう。この番組は80年代に裏庭でクレーン(鶴)・キックを練習した世代にとってはたまらないものなのだ(「コブラ会」ではそのサウンドトラックを使っている)。

ジョニーとダニエルの役柄は完璧に演じられ、ファンを感情移入させる。子供の頃は誰もがダニエルを応援しただろう。だが、ジョニーは本当に悪役なのか?という議論は、「コブラ会」が公開される前からさえ、ユーチューブでは行われていたのだ。

この新番組は2人の役柄をある意味では逆転させる試みもしている。ジョニーが良い人で、ダニエルが悪い人なのかを決めるのは難しい。逆もまたしかりだ。

別の言い方をすれば、この2人は昔の恨みを忘れることができない屈折した大人なのだ。この2人が演じるシーンはどれも完璧で、彼らはけっして旧作のままの陰と陽の関係を引きずっているわけではないことが分かるだろう。

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ファン・サービス

リバイバル作品の問題は完璧さを求める熱狂的ファンのあら探しにも対応しなくてはいけないことだ。「スター・ウォーズ」のファンなどはまさにそうだ。この番組ではそうならないことを祈る。

実際、「コブラ会」はオリジナル版映画を覚えているファンに必要以上とも思えるほどのサービスをしている。回想シーンはいささか過剰なくらい登場しているのだ。

故パット・モリタ氏が演じたミスター・ミヤギの回想シーンも何回かある。ジョン・クリース役を演じるのはマーティン・コーヴだ。長い恨みと言えば、クリースはベトナム戦争で戦い、そしてダニエルをまだ追いかけている。確かに馬鹿げているかもしれない。

このシリーズは過去の懐かしい場面を挟みながら、新たな展開へと進んでいく。

シーズン1でダニエルの娘であるサマンサ(メリー・モウサー)が「バナナラマ・パンケーキ」を頼むシーンなどでは目を見開くことになるだろう。その後でCruel Summer(訳者注:バナナラマの80年代のヒット曲)が流れるのだ。

 

いじめ問題について

旧作でも新シリーズでも共通しているのは、いじめが中心的なテーマとしてストーリーが展開することだ。米国政府のいじめ対策機関「StopBullying.Gov」によれば、12歳から18歳までの思春期にある子供のうち、約20%がいじめを経験しているということだ。

オリジナル映画ではダニエルがジョニーとコブラ会の仲間たちからいじめを受けた。あのダッチとトミーを忘れたものはいるだろうか? そこでは身体的ないじめが中心だった。

「コブラ会」ではサイバーいじめについてもっと焦点を当てている。現在のソーシャルメディアと不平等社会においては、そちらの方がより深刻な問題なのだ。

幸か不幸か、それまでインターネットに詳しくなかったジョニーも、否応なくそのことについて学ぶことになる。

オリジナル映画よりさらに強い口調ながら、新シリーズではいじめの悪影響について親が思春期の子供に言い聞かせるべきメッセージを発している。

それは良いテレビ番組がするべきことではないだろうか?

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世代間ギャップの解消

「コブラ会」はGeneration X(1965~1980年生まれ)、Generation Y(1980~1995年生まれ)、そしてGeneration Z(1996~2015年生まれ)を結びつけることができる稀有なテレビ番組の1つだ。

Generation Xのジョニーをそれより若い世代と異なる目で見なくてもいい。ジョニーが彼らの弟子たちに述べたいくつかの「学校や職場で聞くには不適切な」スピーチは、かつての大人世代が子供たちを頭ごなしに叱った言葉とは違う類のものだ。

この番組はさまざまな視点からの楽しみに溢れている。ジョニーと新しい弟子のミゲル(ゾロ・マンデュエーナ)の関係もそうであるし、ダニエルとロビー(タナー・ブキャナン)との関係はさらに複雑だ。実はロビーはジョニーの息子なのだから。そしてダニエルの娘サマンサの存在も大きい。サマンサは幼いころから遠ざかっていた空手の世界に引き寄せられ、争いの中に巻き込まれていく。

そう、まるで「90210」のような学園ドラマの要素があり、それ以外にもこの番組は懐かしさを求める人々にもアピールする理由があるのだ。

バランスを求めて

オリジナル映画「ベスト・キッド」においてダニエルを導いたミスター・ミヤギの教えは新シリーズでも生かされている。

モリタ氏は1984年にはアカデミー助演男優賞にノミネートされたが、それはけっして高すぎる評価ではなかった。ミスター・ミヤギの教えは現在でも色褪せてはいない。

それだからこそ、「コブラ会」は面白いのだ。すべての主要人物たちは人生と空手のバランスを見つけることに苦しんでいて、30分間のエピソードはその次のエピソードへと繋がっていく。

この番組をどうか心ゆくまで楽しんでほしい。シーズン3が待ち遠しくなるだろう。

エリザベス・シュー演ずるアリ(オリジナル映画でのダニエルのガールフレンド)は登場して、このドラマに花を添えるだろうか?

(翻訳:角谷剛)

Senior Writer

Bill Bender

Bill Bender is the 2025 president of the Football Writers Association of America. He graduated from Ohio University in 2002 and started at The Sporting News as a fantasy football writer in 2007. He has covered the College Football Playoff, NBA Finals and World Series for SN. Bender enjoys story-telling, awesomely-bad 80s movies and coaching youth sports.