■6年目・横山陸人投手、今季は自己最多50試合登板
プロ野球のドラフト会議が23日に都内で行われ、116人(支配下73人、育成43人)が指名を受けた。1位競合となりロッテが交渉権を獲得した健大高崎高の石垣元気投手や、ソフトバンクが交渉権を獲得したスタンフォード大の佐々木麟太郎内野手は引き続き話題を集めそうである。
上位で指名された選手が注目されるのは当然のこと。ただ、下位指名の選手にも飛躍のチャンスは十分にあり、後に球界を代表する名選手となった例はいくらでもある。
日米通算4367安打を放ったイチロー氏は1991年ドラフト4位でオリックス入団。2年連続世界一へ突き進むドジャース・山本由伸投手も2016年ドラフト4位でオリックス入りと、上位で指名される存在ではなかった。
ロッテもドラフト4位で指名された選手が大成するケースが多い。初芝清氏、渡辺俊介氏はチームの中心選手として活躍し、益田直也投手は最多セーブのタイトルを2度獲得し、通算248セーブと名球会入りが目前に迫っている。
専大松戸高から2019年ドラフト4位で入団した横山陸人投手も“ロッテのドラ4は大当たり”の系譜を継いでいる。6年目の今季はキャリアハイの50試合に登板。8月下旬からは上半身のコンディション不良で離脱した益田に代わってクローザーを担った。
「そういう場面を任せていただけるのは本当にうれしいこと。お試し期間というか、(益田不在で)誰も(クローザーが)いないから僕がやっている感じだと思います。そういう状況でもしっかり結果を出していきたい。そういうポジションを確立できるようにやっていきたいですし、確立してからもっと緊張感が生まれてくると思います」
シーズン終盤にそう話していた右腕は最終的に2勝4敗12セーブ20ホールドを記録。防御率2.08の安定した投球で2025年のシーズンを終えた。
昨年までは通算4セーブ。抑えの経験はあったものの「何回投げても凄く大変だと感じます」と厳しい役割であることを自覚する。「1点差、2点差だと一発が出れば同点だったり、先発投手の勝ち星を消してしまう場面もあるしプレッシャーを凄く感じます」という中、走者を出してもいい、失点してもいいからリードを守り切るのが仕事だと割り切る度胸がある。
「リードが3点あれば2点まで取られてもいいと思っていますし、同点にならなければいいというぐらい、余裕を持って投げるようにはしています」
■4位での指名に「気を抜いていた」「驚いた思い出」
2年目の2021年にプロ初登板すると、2023年にはプロ初セーブを挙げるなど38試合登板とブレークした。昨年は43試合に登板して3勝1敗3セーブ18ホールドで防御率1.71の好成績。2023年のアジアチャンピオンシップと2024年のプレミア12では侍ジャパンにも選出されるなど、球界を代表する救援投手となっている。
小学3年から野球を始めた横山が本格的に投手に挑戦したのは中学2年の夏。当時から横手投げに近いスリークオーターだったという。専大松戸高では2年秋からエースとなり、3年春は千葉大会準優勝で関東大会に出場。3年夏は千葉大会4回戦で敗退し、甲子園出場経験はない。
6年前のドラフトで指名された際は「まだ(指名は)こないだろうと思って気を抜いていました。甲子園も出ていないし、最後の夏も4回戦で負けたので、4位にビックリしましたね。5、6位か育成での指名かなと思っていました。結構驚いた思い出があります」と振り返る。
ドラフト4位から今やチームに欠かせない主力に成長した24歳。“ドラ4は大当たり”と言われることに「そうなんですね。そこまで(ドラフト1位ほど)高い期待をされていないから、ちょうどいいんじゃないですか」と笑い「正直、自分でもプロに入る前はそんなに高い期待はしてなかったですし、それがまさかクローザーやりたいと思うようになるとは思っていなかった」と続けた。
今後はさらなる成長を見据える。「もちろん毎年毎年、キャリアハイというか常にいい成績を残していくのが大事なことだと思います。ここ1、2年だけ良かったということで終わらず、まだまだ継続してやっていきたいと思います」。結果を出し続けても、決して満足していない。貪欲に絶対的なクローザーを目指していく。
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