■23日ドラフト会議…2年前に1位指名受けた上田の現在地
2025年のプロ野球ドラフト会議は23日に開催される。最速158キロを誇る健大高崎・石垣元気投手、大学球界屈指の強打者である創価大・立石正広内野手らが1位指名候補に挙がっている。どんな選手が上位で指名されるのか楽しみに待つファンも多いだろう。
1年間で12人しかいない“栄光のドラフト1位”。ただし、ドラ1だからといって活躍が約束されているわけではない。下位指名選手よりも出場機会などのチャンスこそ多少は多くなる可能性はあるが、入団後の“待遇”には大きな差はない。結局は、いかに結果を残して生き残るか――。当然、厳しい競争が待っている。
2023年に明大からドラフト1位指名を受けてロッテに入団した上田希由翔内野手は、1年目の昨季は右足のケガの影響もあって1軍出場は21試合にとどまった。打率.259、0本塁打、7打点は即戦力の期待を受けて入団したドラ1にとっては物足りない数字である。
「大学生の時はドラフト1位で指名されることを目指してやっていましたけど、プロに入ったら指名順位は関係ない。そういう話は聞かされていましたし、実際にそうだなと身に染みて感じています」
結果が全てとなる勝負の世界。2年目の今季は開幕スタメンに名を連ねた。開幕直後は調子が上がらず、打率1割台前半に低迷した4月下旬に2軍落ち。それでも7月に再昇格すると、その後は故障することなく1軍に食らいついた。
「ケガをしないように心がけましたし、離脱がなかったのは大きかったです。試合前はストレッチを多めにしたりケアをして、刺激を入れたりしていました」
昨年の3倍以上となる66試合に出場。出番が増え「たくさんの投手と対戦できて、同じ方法で抑えられることが減りました。その日その日でしっかり反省できているのが去年と違うところ」と振り返った。
■まさかの幻アーチも経験…正真正銘プロ1号など3本塁打
7月17日のソフトバンク戦(北九州市民)では同点の6回に勝ち越しのプロ初本塁打。だが、直後に雨が強まってコールドゲームに。6回の攻撃は成立せず、1号アーチは幻となった。
「結構取り上げてもらったり、連絡もたくさんあったので、注目してもらえているんだと実感しました」
当時は割り切ったコメントを残したが「ヒット1本、ホームラン1本が実際の成績より1本ずつ増えていたと考えたら、記録になってほしいという感じもします」と複雑な心境をのぞかせる。
そんな中「あまり引きずらずにいけたのが良かった」と8月2日の西武戦(ベルーナドーム)で正真正銘のプロ初本塁打。今季最終戦となった今月5日のソフトバンク戦(ZOZOマリンスタジアム)では4回に一時同点となる中前適時打を放った。結果的にそれが今季の最後の打席に。打率こそ.211と苦しんだが最終的に3本塁打、20打点を記録した。
「今年はチャンスをもらったので、調子に関係なく、とにかく結果を出さないといけない」
そう話していた右投げ左打ちの24歳。ドラフト1位入団の重圧については「技術の面でドラフト1位というプレッシャーを感じたことはない」という。ただチームの同期10選手(育成選手を含む)の中で、8選手は高卒か独立リーグからの入団で年下であることは気にしている。
「高卒の選手が多いので、その面では手本にならないといけないなと思います」
飛躍の足がかりはつかんだ。プロの自覚も十分にある。迫りくるドラフト会議で、仲間でありライバルとなる選手が新たに加わる。激しさを増す競争に負けてはいられない。最下位に終わったチームが再建に乗り出す中、上田も3年目となる2026年シーズンに向けて早くも必死に取り組んでいる。