サンフランシスコ・49ersはカイル・シャナン体制下で2度、スーパーボウル制覇にあと一歩まで迫っている。だが、第54回スーパーボウルと第58回スーパーボウルのいずれもパトリック・マホームズ率いるチーフスの前に終盤競り負けて敗退した。
これまで輝かしい歴史を築いてきた49ersはチーム史上6度目となるロンバルディ・トロフィーの獲得が待たれている。そしてこの2025年シーズン、31年間続いた空白期が終焉を迎え、新たなトロフィー獲得が実現すると考えるに足るだけの根拠がある。
かつて、NFLのチームが本拠地でスーパーボウル制覇を果たすことは考え難いことだった。本拠地に最も近いスタジアムでのスーパーボウル制覇は、ジョー・モンタナ率いる49ersがサンフランシスコから45マイル離れたスタンフォード・スタジアムでダン・マリーノ率いるマイアミ・ドルフィンズを破った第19回スーパーボウル大会だった。
ところが、第55回スーパーボウルでバッカニアーズは本拠地タンパでチーフスを破って勝利し、続く第56回スーパーボウルでロサンゼルス・ラムズがベンガルズを下して、2年続けて本拠地でのスーパーボウル制覇を成し遂げた。
49ersは第50回スーパーボウルをリーバイス・スタジアムで開催した。スーパーボウルの50周年を記念するにふさわしい舞台だった。それから10年、49ersがプレーオフからスーパーボウルまでサンタクララに留まり、バッファロー・ビルズを破って3チーム目として名を連ねるための条件が整いつつある。
49ersはオーバータイムの末に25-22の痛恨の敗戦を喫した第58回スーパーボウルから抜けきれないまま、故障者が続出する苦しい2024年シーズンを送り、プレーオフ進出を逃した。だがその見返りとして、49ersは今季有利なスケジュールを手にし、かつ必要とされたチーム自体の変革も実現することができた。
どんな指標で見てみても、49ersが2025年のNFLレギュラーシーズンで最も楽な17試合の対戦カードを手にしたことは間違いない。49ersの今年の対戦相手で2024年にプレーオフ出場を果たしたのは、ラムズ(第4週・第10週)、バッカニアーズ(第8週)、テキサンズ(第8週)の4試合しかない。
ディビジョンをまたがっての対戦スケジュールも、NFC南地区とAFC南地区という最も楽な対戦相手との組み合わせとなっている。また、去年は6勝11敗でNFC西地区最下位に沈んだことから、ブラウンズ、ベアーズ、ジャイアンツといった地区最下位チームとの対戦も組まれている。
フィールド上に目を移せば、RBクリスチャン・マキャフリーが怪我から復帰することで、49ersはかつて手にしていたハイレベルの攻撃のバランスと爆発力を取り戻し、QBブロック・パーディを力強く後押しするだろう。また、ロバート・サラーが守備コーディネーターに復帰し、ディフェンスの戦術設計に加わったことで、DEニック・ボサとLBフレッド・ワーナーを中心に守備陣は大きく改善されることが見込まれる。こうした変化によって今季49ersは今季の楽なスケジュールを軽々と突破していくはずだ。
つまり、49ersはホームフィールド・アドバンテージとプレイオフのトップシード獲得に一番有利な状況にある。ディビジョナル・ラウンドへのシード権を得られれば、あとはホームで2勝するだけで、第60回スーパーボウルへの出場権を獲得できる。チーフスとの再戦となると悪夢は蘇るかもしれないが、49ersは三度目の正直でスーパーボウルを制することができる条件は整ってくる。
対戦相手として予想するビルズもまた49ers同様、ここ数年スーパーボウル制覇を期待され続けてきたチームだ。昨年のリーグMVPのQBジョシュ・アレンは絶好調で、強力なラン攻撃と強力なプレッシャー・ディフェンスを持つビルズは、チーフス、レイブンズ、ベンガルズといったライバルを突破するだけの自信を身につけている。
ただ、マキャフリーやジョージ・キトルをはじめとしたベテラン選手たちを抱える49ersに、現在の主力陣でリングを獲得する時間は多くは残されてはいない。ブロック・パーディにチームをスーパーボウルへ導くだけの力があることはすでに証明済みだ。あとは49ersが再度スーパーボウルまで辿り着き、壁を乗り越えて勝利を手にするには、万全のコンディションを維持することが何より大事になる。
49ersが抱えるこの切迫感は、バッカニアーズ、ラムズ、イーグルスに続いてNFCのチームがスーパーボウル制覇を果たすための原動力となる。49ersが優勝し、ビルズが敗れるスーパーボウルは、どこか80年代から90年代への転換期を彷彿とさせる。しかしこの対戦が実現する道筋は十分にある。
原文:Why the 49ers are Sporting News' pick to win Super Bowl 60 at home
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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