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スーパーボウル三連覇を目指すパトリック・マホームズの活躍はNBAのレジェンド、マイケル・ジョーダンに匹敵する?

Bill Bender

石山修二 Shuji Ishiyama

スーパーボウル三連覇を目指すパトリック・マホームズの活躍はNBAのレジェンド、マイケル・ジョーダンに匹敵する? image

第59回スーパーボウル出場により、NFLカンザスシティ・チーフスのクォーターバック(QB)であるパトリック・マホームズはスーパーボウル史上初となる三連覇達成のチャンスを手にした。

もし今回チーフスが勝てば、三連覇に加え、マホームズはスーパーボウルを4回以上制覇した3人のレジェンドQB、テリー・ブラッドショー(ピッツバーグ・スティーラーズ)、ジョー・モンタナ(サンフランシスコ・49ersほか)、トム・ブレイディ(ニューイングランド・ペイトリオッツほか)に肩を並べることになる。

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こうした偉業から、マホームズを『エア・ジョーダン』ことNBAのレジェンド、マイケル・ジョーダンと比較する声も聞かれ始めた。

現在のチーフスの快進撃は、マイケル・ジョーダンが8年間で6回のNBA制覇に導いたシカゴ・ブルズに匹敵するものだろうか。ジョーダンがその活躍で他のNBA選手のタイトル獲得のチャンスを阻止したように、マホームズも他のクォーターバックのチャンスを奪っているのだろうか。マホームズはジョーダンのように愛されているのか、嫌われているのか。

「誰にだって応援したくないと思うチーム、贔屓されていると感じるチームがあるだろう」と、チーフスのワイドレシーバー(WR)であるディアンドレ・ホプキンスは1月27日、スポーツニュースサイト『The Score』に語った

「敵役に仕立て上げるチームもある。自分たちくらい勝っていると敵役に選ばれるのは簡単なことだ」

「パトリック・マホームズが敵役? トム・ブレイディやマイケル・ジョーダンと同じことだ。30年近く経っているのに、人はなぜいまだにMJのプッシング(1997-1998年シーズンのNBAファイナルでジョーダンがユタ・ジャズのバイロン・ラッセルをかわして沈めた決勝シュート)のことを言い続けているんだ? 彼が最も偉大な選手だからだ。マイケルが6度目のタイトルを手にしたとき、彼が勝つのはもう飽き飽きだと思ってた人もいただろう」

マホームズはそんなジョーダンの領域に到達しているのだろうか? ここでは2人のポストシーズンでの活躍を比較していく。

関連記事:第59回スーパーボウルの見どころ・勝敗予想オッズ|2/10 チーフス vs イーグルス(外部配信)

パトリック・マホームズvsマイケル・ジョーダンの比較

マホームズのポストシーズン成績

チーフスは今季のAFCチャンピオンシップゲームでビルズを32-29で下し、マホームズはカンザスシティでのポストシーズン通算成績を17勝3敗とした。マホームズはこれまでにチーフスをスーパーボウルに5度導き、6シーズンで4度目のスーパーボウル制覇を果たすチャンスを手にしている。マホームズがまだ29歳であることを考えるとこれは驚くべき快挙と言える。

ジョーダンのポストシーズン成績

ジョーダンは1984年から1998年の13シーズンでシカゴ・ブルズを6度のNBA制覇に導いた。ブルズはジョーダン在籍時のプレーオフシリーズで30勝7敗、NBAファイナルシリーズでは6戦全勝という成績を収めた。シカゴは1991年から1993年、1996年から1998年の2回にわたって『スリーピート』(NBA三連覇)を成し遂げた。

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パトリック・マホームズ vs AFCのQBたち

マホームズはAFCプレーオフで先発として14勝2敗という驚くべき数字を残している。マホームズをポストシーズンで破ったAFCのクォーターバックは、2018年のAFCチャンピオンシップで37-31でカンザスシティ・チーフスに勝利したトム・ブレイディ(ペイトリオッツ)と、2021年のAFCチャンピオンシップで27-24で勝利したジョー・バロウ(シンシナティ・ベンガルズ)の2人だけである。ちなみに、いずれの試合もオーバータイムの末の決着だった。

一方、マホームズ率いるチーフスの前にポストシーズンで複数回敗れたクォーターバックはジョシュ・アレン(バッファロー・ビルズ)だけだ。ビルズは、マホームズとアレンが出場したプレーオフでは0勝4敗と負け続けている。

また、マホームズは2023年のラマー・ジャクソン率いるボルティモア・レイブンズとのAFCチャンピオンシップゲーム、2022年のジョー・バロウ率いるベンガルズとの試合でもチーフスを勝利に導いた。アレン、ジャクソン、バロウの3人はマホームズの前に合わせて1勝6敗という結果に終わっている。 

その他、マホームズとプレーオフで対戦して敗れたAFCのクォーターバックには、アンドリュー・ラック(インディアナポリス・コルツほか)、デショーン・ワトソン(クリーブランド・ブラウンズほか)、ライアン・タネヒル(テネシー・タイタンズほか)、ベイカー・メイフィールド(クリーブランド・ブラウンズほか)、ベン・ロスリスバーガー(ピッツバーフ・スティーラーズ)、トレバー・ローレンス(ジャクソンビル・ジャガーズ)、トゥア・タゴヴァイロア(マイアミ・ドルフィンズ)、C.J.・ストラウド(ヒューストン・テキサンズ)がいる。

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マイケル・ジョーダンvsイースタン・カンファレンス

ジョーダンがNBAでイースタン・カンファレンスを制するには、少し時間がかかった。ブルズは1985年から87年の間、第1ラウンドでミルウォーキー・バックスに1度、ボストン・セルティックスに2度敗れ、1988年から90年の間はピストンズの前に3年連続で敗退した。この時点で、ジョーダンが在籍したシカゴのプレーオフでのシリーズ戦績は5勝6敗だった。

状況が一変したのは1990-1991年シーズン、ジョーダンが6度の優勝の最初を成し遂げたシーズンだった。ここから先、ジョーダン率いるブルズがプレーオフシリーズで敗れたのは一度だけだ。1995年のイースタン・カンファレンス準決勝、オーランド・マジックとのシリーズに敗れたのだが、これは一時引退していたジョーダンがシーズン途中で現役復帰を果たした年だった。1990年から1998年の間、ブルズはプレーオフで計25回のシリーズにおいて勝利を収めている。

ブルズはジョーダン在籍時、ニューヨーク・ニックスをプレーオフで5度破っている。当時のニューヨークには殿堂入りセンターのパトリック・ユーイングがいた。このライバル関係は、マホームズにとってのジョシュ・アレンとバッファロー・ビルズに相当すると言える。ニックスは、ジョーダンが一時引退していた1994年にNBAファイナルに進出した。

また、ジョーダンはイースタン・カンファレンスのライバルだったクリーブランド・キャバリアーズを4回、マイアミ・ヒートを3回下している。

6回のNBA優勝を果たす過程で、ブルズは、デトロイト・ピストンズ、クリーブランド・キャバリアーズ、ニューヨーク・ニックス、オーランド・マジック、マイアミ・ヒート、インディアナ・ペイサーズといった強豪チームを破ってきた。当時のペイサーズには、殿堂入り選手のレジー・ミラーがいたが、彼もジョーダンが引退するまでNBAファイナルに進出したことはなかった。

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スーパーボウルでのパトリック・マホームズ

パトリック・マホームズのスーパーボウルでの戦績は3勝1敗、その3勝すべてでスーパーボウルMVPを受賞している。

チーフスは第54回スーパーボウル(2020年)でサンフランシスコ・49ersを31-20で下して優勝したが、翌シーズンの第55回スーパーボウル(2021年)ではトム・ブレイディ率いるタンパベイ・バッカニアーズに31-9で敗れた。

そして今、マホームズは三連覇を達成するチャンスを手にしている。チーフスは第57回スーパーボウル(2023年)でイーグルスを35-32で、第58回スーパーボウル(2024年)で49ersを25-22で破った。マホームズのスーパーボウルでの勝利は、ジミー・ガロポロ、ジェイレン・ハーツ、ブロック・パーディといったQBたちとの対戦だった。

マホームズはこれまでのスーパーボウルで、1試合平均267.8ヤードをパスで獲得、タッチダウン7回、インターセプト5回を記録している。

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NBAファイナルでのマイケル・ジョーダン

ジョーダンはNBAファイナルで6勝0敗、MVPを6度受賞した。最初の三連覇では、ロサンゼルス・レイカーズ、ポートランド・トレイルブレイザーズ、フェニックス・サンズに勝利し、2度目の三連覇では、シアトル・スーパーソニックス、そして2年連続の対戦となったユタ・ジャズとの激闘を制した。

スポーツ関連のスタッツをまとめた『StatMuse.com』によると、ジョーダンはNBAファイナルで1試合平均33.6得点、6.0リバウンド、6.0アシストを記録している。

マホームズとジョーダンの2人の比較をしていくと、ジョーダンにとってのカール・マローンとジョン・ストックトンのユタ・ジャズはマホームズにとってのハーツとイーグルスに匹敵すると考えられる。

ジャズは、1996-1997年シーズンに64勝18敗、1997-1998年シーズンに62勝20敗という好成績を収めた。 それにもかかわらず、1997年、1998年ともにNBAファイナルではブルズにいずれも第6戦で敗れている。 ハーツは2025年の第59回スーパーボウルでイーグルスを勝利に導き、この流れを変えることができるだろうか。

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パトリック・マホームズはマイケル・ジョーダンと肩を並べるアスリートなのか? 

誰かをマイケル・ジョーダンと比較すれば、必ず反発を招く。これまで10年以上にわたって、NBAで4回の優勝を果たし、歴代通算得点トップに立つレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)とジョーダンの比較が行われてきたが、常にそうだった。

比較する上で重要なのは、その選手が誰と戦ってきたかということだろう。ジョーダンが圧倒的な強さを誇っていたことを最もよく表す言葉は、おそらく次の言葉だ。カール・マローン、ジョン・ストックトン、パトリック・ユーイング、チャールズ・バークリー、クリス・マリン、クライド・ドレクスラーは、1992年の夏季バルセロナオリンピックのドリームチームのメンバーだった。 これらの選手の誰一人としてNBAのプレーオフでジョーダンに勝つことはできなかったのだ。

ドレクスラーは1995年にヒューストン・ロケッツでNBA優勝を果たしたが、この年はジョーダンが現役復帰したばかりのシーズンで、ブルズはマジックに敗れてNBAファイナルには進出していない。 アイザイア・トーマスとラリー・バードは、それぞれピストンズとセルティックスで優勝したが、これらのチームはジョーダンがNBAに加入する前に確立されていたチームだった。

一方のマホームズもブレイディに敗れた以外は、ジョーダン同様にプレーオフを支配してきた。

レイブンズのジャクソンはこれまで2度のMVPに輝き、今年もMVP級の活躍を見せた。ビルズのアレンは毎年ビルズをプレーオフ進出に導き、ベンガルズのバロウはここ2年間、プレーオフ進出を逃している。この3人はいずれも将来フットボールの殿堂入りを果たす可能性を秘めたクォーターバックだが、いずれもプレーオフでのパフォーマンスという点ではマホームズには及ばない。

こうしてみると、両者の比較は妥当なものと言えそうだ。

ただ、マホームズには6度の優勝でも追いつけない相手がいる。そう、ご存知トム・ブレイディだ。彼に追いつくにはスーパーボウルリングが7つ必要だ。

原文:Patrick Mahomes vs. Michael Jordan: How Chiefs QB's dominance of AFC, Super Bowl compares to Bulls legend's run
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

Senior Writer

Bill Bender

Bill Bender is the 2025 president of the Football Writers Association of America. He graduated from Ohio University in 2002 and started at The Sporting News as a fantasy football writer in 2007. He has covered the College Football Playoff, NBA Finals and World Series for SN. Bender enjoys story-telling, awesomely-bad 80s movies and coaching youth sports.

石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。