カンザスシティ・チーフスはこの10年間、NFLで最も成功したチームの一つであると同時に最も賛否両論を呼ぶチームでもあった。
チーフスのスーパーボウルにおける数々の勝利とAFCでの圧倒的な強さは、ファンからは歓喜をもって迎えられ、外部からは蔑視の眼差しを向けられてきた。批判の声の中には、チーフスが長年にわたって審判からの優遇を受けているという意見が囁かれていた。今回、その主張を裏付ける事実が掘り起こされたかもしれない。
2025年8月、テキサス大学エルパソ校は2015年から2023年の間の13,000件以上に上るペナルティの判定を分析した研究を発表した。10月に公表されたこの調査結果は、財政的圧力がフィールドでのルールの執行に影響を与える可能性を示している。
ここでは、この調査結果のうちチーフスに関する数字について見ていく。
NFLのレフェリーはチーフスを優遇しているのか?
この調査のデータから見ると、NFLのレフェリーはチーフスを優遇しているように思われる部分がある。
2015年から2023年にかけて、研究者らはポストシーズンの審判記録を分析対象としたところ、審判団の判定はチーフスに明らかに有利に働いていた。
この研究では、「ポストシーズンの判定は、パトリック・マホームズ時代のカンザスシティ・チーフスを不釣り合いに優遇してきた」としている。
研究結果が示すチーフスへの優遇とは?
スペンサー・バーンズ博士は、テキサス大学エルパソ校ウッディ・L・ハント経営学部の金融学助教授であり、この研究を実施した人物である。
この研究は、マホームズが先発クォーターバックになって以来のフランチャイズの収益性を例に挙げ、チーフスが有利な判定を得ることでいかに利益を得ているかを示している。そのため、審判はカンザスシティに有利な主観的判定を下す可能性が高くなるとしている。
研究によれば、NFLで最も商業的価値が高いとされるプレイオフ期間中、チーフスの攻撃陣に対する相手守備側の反則はファーストダウンにつながる可能性が著しく高く、より多くのヤードの喪失となるラフティング・ザ・パッサーやパス・インターフェアランスといった主観的な反則カテゴリーに分類される傾向が強かった。
バーンズ博士はこの結果と合わせて、2015年から2017年にかけてリーグのテレビ視聴者数と視聴率が急激に減少したことを示す数字を指摘した。この時期は、選手の抗議活動や政治的な議論が多くのファンのリーグに対する態度に影響を与えた時期だった。
そのタイミングの合わせるように2017年のNFLドラフト全体10位で指名されたマホームズは、2018年シーズン前にフルタイムの先発QBとなった。そして先発1年目にはリーグMVPと最優秀攻撃選手賞を受賞し、2年目にはチーフスを第54回スーパーボウル優勝に導いた。
マホームズが先発を務めた7シーズンで、チーフスはAFCチャンピオンシップを5度制し、スーパーボウルで3度の勝利を挙げた。
以下はマホームズが先発としてプレーした期間におけるカンザスシティのポストシーズンにおけるペナルティの内訳である。
ペナルティの実データはこちらで確認できる。
年度 | 試合数 | チーフスのペナルティ(ヤード) | 対戦相手のペナルティ(ヤード) | ペナルティによるヤードのプラスマイナス |
2024 | 3 | 16回 (125yds) | 22回 (189yds) | +64 |
2023 | 4 | 16回 (145yds) | 27回 (225yds) | +80 |
2022 | 3 | 10回 (99yds) | 20回 (144yds) | +45 |
2021 | 3 | 6回 (46yds) | 11回 (90yds) | +44 |
2020 | 3 | 21回 (207yds) | 11回 (102yds) | -105 |
2019 | 3 | 17回 (122yds) | 20回 (217yds) | +95 |
2018 | 2 | 10回 (82yds) | 16回 (131yds) | +49 |
Total | 20 | 96回 (826yds) | 127回 (1,098yds) | +272 |
注目すべきは、チーフスがスーパーボウル進出を果たした3シーズン(太字)で、ペナルティによるヤードが220ヤードもプラスになっていることだ。この数字は、ファーストダウンにつながるペナルティが相手チームよりチーフスに有利に働いた傾向と一致している。
今季ここまで3勝3敗と苦しいシーズンを送っているチーフスにとっては、この先の戦いぶりに向けられる視線がより一層厳しくなりそうな研究結果と言えそうだ。
原文:Do NFL referees favor Chiefs? What college study shows about officiating during Patrick Mahomes era in Kansas City
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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