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【NFL】今シーズンの本命はどこだ? 開幕2連勝、2連敗したチームの実力診断

Vinnie Iyer

石山修二 Shuji Ishiyama

【NFL】今シーズンの本命はどこだ? 開幕2連勝、2連敗したチームの実力診断 image

NFLにおいてレギュラーシーズンで好調なスタートを切ることがプレイオフ進出に向けてどれほど重要かは、過去の数字が物語っている。

1970年のNFL合併以降、シーズンを2勝0敗でスタートした419チームのうち269チーム(64.2%)がプレイオフ進出を果たしている。2024年シーズンでは2勝0敗の8チーム中7チームがプレイオフに進出し、プレイオフ進出を逃したのはシアトル・シーホークス1チームだった。

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2023年シーズンには8チーム中6チームがプレイオフへ進出した。2022年まで遡れば、2勝0敗のスタートを切った5チーム全てがプレーオフ進出を果たしている。カンザスシティ・チーフスはこれら3つのグループ全てに該当し、2勝0敗からスーパーボウルに出場した59チーム中33番目と34番目のスーパーボウル制覇を果たしたチームとなった(成功率57.6%)。

0勝2敗と出遅れたチームの統計はさらに衝撃的だ。1970年以降、開幕2連敗したNFL422チームのうちプレーオフ進出はわずか43チーム(10.1%)しかない。昨シーズンで言うと、ボルチモア・レイブンズ、ロサンゼルス・ラムズ、デンバー・ブロンコスがこの逆境を跳ね返してプレイオフ進出を果たした。しかし2023年で言えば、0勝2敗の8チーム中でプレイオフに進出したのはAFC南地区を制したテキサンズだけだった。同様に2022年もベンガルズが5チームで唯一のプレイオフ進出チームだった。

ここでは、今年の2勝0敗と0勝2敗となった各チームの状況、結果が実力通りなのかをチェックしていく。

2勝0敗のチーム:開幕2連勝の実力は本物か?

フィラデルフィア・イーグルス

イーグルスは本拠地で開幕戦で地区内ライバルのダラス・カウボーイズを下すと、第2週のカンザスシティ・チーフス戦では試合の大半を支配し、昨シーズンのスーパーボウル再戦にも勝利した。昨季ほどの派手さはないが、確実に結果を出している。言うまでもなく、イーグルスは今シーズンもプレイオフ、そしてスーパーボウルの有力候補と考えられる。

グリーンベイ・パッカーズ

これも簡単な予想だ。パッカーズは現在、NFLで最も圧倒的な守備力を発揮している。ジェフ・ハフリー守備コーディネータの下、パッカーズの守備陣にはマイカ・パーソンズ以外にもパスとランの両方をストップする戦力が揃っていることを示して見せている。マット・ラフルアー・ヘッドコーチはレギュラーシーズン69勝33敗(勝率.679)の成績を残し、7シーズンで6度目のプレーオフ進出を目指している。2021年以来となる地区優勝を勝ち取る可能性を秘めた彼らもプレイオフ、スーパーボウルの有力候補と言える。

バッファロー・ビルズ

ビルズはレイブンズを劇的な逆転勝利で下し、ジェッツには一方的な試合で圧勝した。強豪相手には終盤まで力を温存し、格下相手には手加減しない。QBジョシュ・アレンとRBジェームズ・クックは、かつてのQBジム・ケリーとRBサーマン・トーマスを彷彿とさせ、ついにスーパーボウル出場が現実味を帯びてきた。AFCの常連として実力を発揮してきたビルズだが、今年はこれまでにない脅威を感じさせる。

ロサンゼルス・チャージャーズ

ブラジルでのチーフス戦を制し、レイダース戦も落とすことなく、地区内対決で2連勝を達成した。次はブロンコス戦が控えており、これに勝てばAFC西地区で早々にリードを築くチャンスだ。チャージャーズはジム・ハーボー監督の下で2年連続のプレーオフ進出を目指す有力候補であるだけでなく、QBジャスティン・ハーバートがこの好調ぶりを維持できれば、ついにカンザスシティから地区優勝を奪い取れるかもしれない。

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シンシナティ・ベンガルズ

ベンガルズはジャクソンビル・ジャガーズ戦で勝利を収めるも厳しい状況に追い込まれた。開幕のクリーブランド・ブラウンズ戦では粘り強い守備で勝ちを掴んだが、ジャガーズ戦では攻撃陣が機能し始めた。ただぞれは、エースQBジョー・バロウが爪先の負傷で12週間の欠場となった後、控えQBのジェイク・ブラウニングが活躍した結果の勝利だった。それでも、ザック・テイラー監督体制下で0勝2敗のスタートが続いていたことを考えれば、2勝0敗のスタートは悪くない。

ここから4週間はミネソタ、デンバー、デトロイト、グリーンベイと厳しい対戦相手が続き、しかもうち3試合がアウェイゲームだ。バロウのいるいないに関わらず、この期間は2勝2敗で終えるのが現実的な目標だろう。そこで4勝2敗でも3勝3敗となったとしても、ベンガルズは少なくともAFCワイルドカード枠を争う有力チームとなり得る。

インディアナポリス・コルツ

コルツはホームでの開幕戦、爆発力のあるバランスの取れた攻撃、新先発QBダニエル・ジョーンズの安定したパスとランで低迷するドルフィンズを退けた。デンバー戦でも好調なジョーンズに加え、ジョナサン・テイラーのラン攻撃がさらに追い風となって、チームは決勝フィールドゴールの末にブロンコスを下した。次週の相手はアウェイでのテネシー・タイタンズ戦となる。

第4週にはアウェイでのラムズという厳しい試合が待っているが、その後はホームでラスベガス・レイダース、アリゾナ・カージナルス戦という有利なスケジュールが訪れる。AFC南地区を制するチャンスは充分にあり、それが実現できればプレイオフで上を狙うチャンスも訪れるだろう。

ロサンゼルス・ラムズ

昨シーズンのNFC西地区王者であるラムズは、若手中心の守備陣が好調なスタートを切ったほか、WRダバンテ・アダムスの加入でQBマシュー・スタッフォードやWRプカ・ナクアらパス攻撃陣も活性化している。ショーン・マクベイ・ヘッドコーチが必要な時には、信頼できるRBカイレン・ウィリアムズを軸にした効果的なラン攻撃を繰り出すこともできる。2022年に第56回スーパーボウルを制して以来ベストのチームであり、プレイオフ、スーパーボウルの有力候補と呼べる存在だ。

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サンフランシスコ・49ers

49ersはAFCにおけるベンガルズと同じ状況にいる。49ersもまた先発QBブロック・パーディが故障し、複数週にわたる欠場を余儀なくされてしまった。パーディは開幕週、シーホークスを相手にチームを逆転勝利に導いた。しかし第2週のニューオーリンズ・セインツ戦でミスから立ち直り勝利を決めるプレーを見せたのは控えQBのマック・ジョーンズだった。

49erの今季のスケジュールはリーグで最も楽なもので、今後2週間はホームでカーディナルズとジャガーズと対戦する。パーディ抜きとなったチームにとってこの2試合は楽勝とは言い難い。それでもカイル・シャナハン指揮下の強力な攻撃サポートシステムは故障者があっても強力であり、ロバート・サラー守備コーディネーター率いる守備陣はディフェンスの復調を支えている。49ersはラムズ同様、NFCを制する有力候補と言える。ちなみに両チームは第5週に対戦する。

アリゾナ・カーディナルス

カーディナルスの2勝0敗を鵜呑みにするのは難しい。その2勝がセインツとパンサーズ相手にだったからだ。両チームの合計成績は0勝4敗だ。第3週にジョーンズ率いる49ersをアウェイで倒せれば、彼らの実力を信じ始める事ができるだろう。だがその後にもシーホークス、タイタンズ、コルツ、そしてパッカーズとの試合が続く。シーズン終盤にかけてスケジュールはさらに厳しくなる。NFC西地区ではラムズと49ersが上位に控えており、シーホークスもいる。こうした状況を考えると、カーディナルスは2勝0敗のチームで唯一プレイオフ進出の有力候補とは言えないかもしれない。

0勝2敗のチーム:開幕2連敗から立て直す力はある?

Denny Medley-Imagn Images

カンザスシティ・チーフス

チーフスは昨シーズンのスーパーボウル後の不振が続き、QBパトリック・マホームズ時代で初の0勝2敗という未体験の苦境に立たされている。過去2週間でチャージャーズとイーグルスに敗れたチーフスにとって、第3週のサンデーナイトで低迷するジャイアンツと対戦するのは絶好の息抜きとなるだろう。しかし第4週にはホームでのレイブンズ戦が待ち受けており、また厳しい戦いに引き戻される。チーフスが前半に厳しいスケジュールを抱えているのは間違いないが、長期的なスーパーボウル後遺症の真の原因はそこにはない。マホームズと攻撃陣全体はもっと良いプレーができるし、守備陣も同様だ。チーフスにスーパーボウル候補の実力はあるのは間違いない。ただ、4年前のようにスーパーボウルを逃す「オフの年」になる可能性もある。

シカゴ・ベアーズ

ベアーズにとって開幕2週間は、バイキングスとライオンズという地区内対決が続く厳しいスケジュールだった。しかも守備陣はこれらの試合で全く役に立たなかった。この後、カウボーイズ、レイダース、セインツと続く3試合はベアーズが調子を取り戻すのに好都合な相手だが、まずはチームの立て直しが必要だ。2024年のドラフト全体1位指名QBケイレブ・ウィリアムズを擁するチームではあるが、今年もまだプレイオフ候補とは言えないという評価が妥当だろう。

ニューヨーク・ジェッツ

開幕週のスティーラーズ戦、ジェッツはバランスが取れた攻撃を見せた。QBジャスティン・フィールズは気持ちよさそうにWRギャレット・ウィルソンへのパスを投げ、自身のランとブリーズ・ホールの走りでランニングゲームも活性化した。しかし、この2試合のディフェンスは全体的にひどいものだった。ベン・ジョンソン・ヘッドコーチ率いるベアーズ同様、元ライオンズの守備コーディネーターだったアーロン・グレン・ヘッドコーチ率いるジェッツはプレーオフ候補とは言えないだろう。

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マイアミ・ドルフィンズ

ドルフィンズは2022年、マイク・マクダニエル・ヘッドコーチ体制の初期には攻撃的なディフェンスを伴うダイナミックなAFCオフェンスでリーグを席巻したが、今シーズンは攻守ともに完全な混乱状態に陥っている。QBトゥア・タゴヴァイロアはWRタイリーク・ヒル、WRジェイレン・ワドル、QBデボン・エイチェーンと共にチームを立て直そうと懸命に努力しているが、彼にも限界がある。そして守備陣は誰も止める事ができないでいる。プレイオフ候補から急落したことで、第3週のビルズとのサーズデイナイトフットボールを前にしてマクダニエルの首はすでに危うい状況だ。

ニューヨーク・ジャイアンツ

ジャイアンツは、ヘッドコーチがマクダニエルでなくブライアン・ダボールなだけで、状況としてはドルフィンズと同様だ。QBラッセル・ウィルソンは新人ジャクソン・ダートからポジションを守るべく最善を尽くしているが、予想通り厳しい敗戦を喫している。とてもプレイオフ候補とは言えないだろう。

カロライナ・パンサーズ

2023年のドラフト全体1位指名QBブライス・ヤング率いる攻撃陣は第2週のカーディナルズ戦で息を吹き返し、大逆転を狙ったが、安定感に欠けている。また、守備陣は全体的に見ると今年も改善されておらず、プレイオフ候補となるには程遠い。

テネシー・タイタンズ

タイタンズはブロンコスを追い詰め、ラムズにも食らいついてみせた。だが守備には穴が多すぎで、攻撃も不安定で爆発力に欠けており、2025年ドラフト全体1位指名QBキャム・ウォードの活躍だけでは足りない状態だ。ウォードは将来有望だが、チームとしてはまだ準備が整っておらず、今シーズンはまだプレイオフ候補とはなり得ない。

クリーブランド・ブラウンズ

今シーズンのブラウンズは、DEマイルズ・ギャレット以外はダメだろうと言われていたが、すでに地区ライバルのシンシナティとボルチモアに敗れ、前評判通りになってしまっている。ブラウンズがプレイオフ候補になり得ない中、ケビン・ステファンスキーがこの先もヘッドコーチを続けられるかが注目される。

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ニューオリンズ・セインツ

セインツは注意が必要な存在だ。第2週のホームゲームでは、ケレン・ムーア・ヘッドコーチの下、49ersと激戦を繰り広げる力を見せた。ただ、来年のドラフトで全体1位指名権を確実に手にするためには、今季はプレイオフ候補とは言えないセインツにとって今の状態でいる方がいいのかもしれない。

原文:NFL contenders or pretenders? Breaking down the 2-0 and 0-2 teams, from Chiefs to Bengals
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版)

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